お久しぶりです。
一時期話題になった謎の外国籍選手の補強を12月のコラムで推薦して、ホントに当たったら編成部に就職しようかと浮かれていたらシーズンレビューを逃しました。
2021シーズンは「なにかしらのタイトルをとれるんじゃないか!?」と、昨シーズンの成績や、新加入選手のタレント性の高さなどで心踊らせ開幕を待っている頃かと。
なので、2020のシーズンを振り返りながら、2021シーズンのポイントをいくつか上げていきたいと思います。
・ポイント1:選手の動き(連動する力)
(ここから記事としての語尾に切り替えていきます)
昨シーズン、まあ点が入らない。「ウノゼロ」や「塩試合」といった言葉はSNSで名古屋グランパスの関連のツイートを見ている人は嫌でも見かけた言葉だろう。この原因は何だったのか。それは選手の動く力にあった。
グランパスのボールを運ぶ原則(ワイドで推進していく)上、中央のFWの選手はサイドの選手のフォローにはいる事が多くなる。
この場合、次のプレーの選択肢はセンターの2枚(米本、稲垣)がトップ下を追い越して枚数を増やすか、逆サイドのワイドの選手が内側へ絞り込むことがあげられるが、前者は恐らくフィッカデンティ監督が許していない。後者はそれが出来るようになるまで1シーズンかかってしまった。
こうなってはいくらサイドでキレイにワンツーで崩そうが中央に人がいないのだ。
これはシーズン再開直後の清水戦ですでに露見した課題で、結果的に「名古屋はボールを持たせて引いていれば怖くない」状態が続き、この課題をチームのとして修正(枚数をかけるように変更する)をせずに、選手個人の意識の修正に任せた為に、対策を完了させておかなければいけないチームとの試合までには修正できず敗戦をしてしまった。(FC東京、サンフレッチェ広島etc…)
阿部や吉田豊のスーパーゴールの場所を思い出してみると最終ラインを突破出来ずに前線がピン留めした相手の最終ラインを利用してシュートしたのが良くわかる。
攻撃に枚数をかけないシステムを取るのであれば、名古屋は連動するための練度がどのチームより必要になってくる。
ポイント1における2020シーズン中での変化
ポイント1を見ている限りマイナス面しかないように見えるが、
- 山崎が前線に入ったこと
- そして“0トップ”になった事
この二つがワイドの選手に転機をもたらした。
金崎よりも分かりやすく大きく動く山崎は時にセンターの選手とポジションが被るぐらいまで落ちてくる。
そのため内側で受ける勇気が無かった相馬はいつもより大きく空いた内側で安心してボールを受け、内側に切り込みたいマテウスや前田はいつもより大きくひらけた視野を得る事になった。
山崎の整地によってシーズン終盤は助けられる事も多くトップ下の選手が低い位置でも前を向ける事も山崎効果だった。
ポイント1における2021シーズンにおける期待
20シーズンの変化に加えて話さなければいけないのは21シーズンに新加入してくる選手の存在だ。ポイント1に絡んでくる選手は柿谷、斎藤、長澤、児玉、森下辺りだろう。
柿谷は言わずもがな。個人的には昨シーズンの瑞穂でのセレッソ戦。ピッチサイド観ていた筆者の目の前で、守備の時にプレッシャーを掛けに行ってくれと周りに言われて「自分で行けや!」と激昂していたのが印象的だが、名古屋に来てからはまだ「鬼」の一面は見せていないようだ。
「あんなに守備をしてくれるんだ」味方が驚くほどFW柿谷は献身的 フィッカ流にしっかり順応【J1名古屋】:中日スポーツ・東京中日スポーツ
彼はとにかくポジション間でボールを受ける技術が笑えるぐらい上手い。相手にすると“とにかくめんどくさい”
そこからパスかシュートの二択を迫ってくる。受け方も明らかに攻撃のトリガーになるような受け方をする。
一般的なポストプレイヤーは面で受けるという表現ができるのに対して、一方で柿谷は「点で受ける」。パスが入るその瞬間に柿谷を含め全員が動き出して連動出来れば少ない枚数でも相手の最終ラインを“破壊”出来るかもしれない。
斎藤は再起を賭けた選手。他の記事で紹介されてるので詳細は省くが(齋藤学はどんな選手なのか)
メッシとしてではなくFWペドロ・ロドリゲス(元バルセロナ)のように味方の良さを引き出すために奮闘して“名古屋のペドロ”になって欲しい。
児玉。彼は2列目中央を置くシステムなのであれば必ず出番はある。阿部もシャビエルも「ケガしにくさ△」がつく選手なのでそこに上手く入ってくれれば。
長澤は今シーズン名古屋に必要な物を運んできてくれた一人と考えている。
プレースタイルはセンターとして守備能力もさることながら相手の最終ラインまで侵入できたり、サイドで推進力を持てたりと「味方の攻撃のスイッチを読み取る」のが上手い選手に感じる。去年の稲垣現象ではないが今年は長澤現象が…あると思います。
(参考映像:長澤和輝【2020 URAWA REDS PLAYERS】)
森下、彼もまた名古屋に必要なモノを運んでくれるかもしれない。名古屋は前述したとおりセンターがリスクを取りたくない。ならばサイドバックがリスク要因になってくれればいいんじゃないか?そんなお悩みに答えてくれそうなのが森下だ。
とあるサッカー分析をしている方が最近SNSでこんな発信をした
『世知辛い。サイドバックはオーバーラップとインナーラップを使い分ける時代から、大外レーンでアイソレーション要員としてもハーフスペースでライン間要員としても機能しなければならない時代か。もうサイドバックじゃないじゃん。』
専門用語をかみ砕くと、外側も内側も走れます!の時代から、サイドのストライカーも出来て、ボールもポジション間で受けれ無きゃいけないのか!という趣旨だ。
海外移籍の野望も加入時に語った森下は現代サイドバックとして、名古屋のキーマンになれるのか
(「いろんなクラブからオファー」森下龍矢が名古屋を選んだ理由は“数字”「新鮮だった」)
ボールを保持してる時にこんな形が見れたらいいですね!
・ポイント2:バレてる攻略法とちぐはぐ
昨シーズン、ここのサイトのレビューを読んでくれている方はもうお分かりかもしれないが、名古屋は2点大きな課題を残してシーズンを終えた。それは「プレスが連動できない」「攻略法がバレている」の二つだ。
まずはプレスが連動できない。という現象から。最終ラインとセンター2人の間にスペースが出来る問題。一番直近の試合でそれが目立ったのが横浜FC戦。(ハメ悩んだ 2020年J1リーグ第32節横浜FC戦レビュー #grampus #yokohamafc)
米本や稲垣は前からハメるのに連動しようとする姿がシーズン通して見えていたので、それを嫌うのは最終ラインの2枚と吉田なのだろう。リスク管理という言葉に隠れがちだが取った後のゴールまでのビジョンを作る事を前線に任せてしまっているのだと思う。攻守分業制の苦しいところだ。
サッカーは守りでは前線が一番頭を使い、攻めは最終ラインが一番頭を使う。前線が考えて守備をしないとチームは失点し、最終ラインが相手を動かさないと攻めあぐねる。
それを裏付けるのがセンターバックがボールを持たされた時のボール回しにある。相手が詰めてこれば剥がしてチームを前進させるが、能動的に相手をズラして、ズレたところに楔を打てるようなボール回しをしてるようには見えなかった。(sofascoreのデータではセンターバック2人のロングボールの数値が前年のほぼ倍)
チームの方針としてカウンターでのロングボールが増えるので数値は参考にならないが、結果的にチーム方針によって重要視されなくなった部分が勝つ為に必要になった昨シーズンだった。
最終ラインが攻撃のビジョンを持つという部分は19シーズンは持っていたモノだったので少々残念に感じる部分だ。
二点目は「攻略法がバレている」事について、これは恐らく川崎に解かれた問題でそれもルヴァンの予選の時にバレてしまっていた。そしてキッチリとリーグ戦で攻略されてしまった。(2020年J1リーグ第23節川崎フロンターレ戦マッチレビュー 試合運びの巧みさ #grampus #frontale)
『人を広げて隙間で勝負』
シーズン終盤はどのチームも綺麗にサイドに人数をかけて門をこじ開けて来た。最終的に気合で止めたが中二日や三日が当たり前に続く中でその対策を今シーズンどうするのか?監督の腕の見せ所だ。
ポイント2における2021の期待
長澤、木本が加入した事でポイント2も変化がみられるかもしれない。長澤は前述した通り前後にもかなりアグレッシブに動く選手だ。阿部の連動に合わせて後ろのスペースはセンターバックともう片方のセンターで取り所をはっきりするような変化が欲しい。木本は最終ラインより一枚前でプレー経験がある事、推進力もあるので今のセンターバックコンビよりアグレッシブなビルド。チャレンジを期待する。
補足:
一時期、柿谷と木本のサッカーテニス(ロブパス対決)の動画がバズり話題になりましたが、柿谷に取りにくいところに出されても柿谷が出しやすいところに出していた木本のパス能力、受ける力は一級品だと思います。
まとめ
今回は昨シーズン一年通して修正が薄かった点を振り返りながらその部分を新加入選手で修正しようとしているのならばこうじゃないかという話でした。
昨シーズン修正に関しては、ほとんど選手任せとなっていたので今シーズンこそ「チームで課題を修正するための変化」が出来れば御の字かと思います。
さいごに
この二つのチームとしてのポイント、新加入選手のポイントを頭において開幕戦を楽しんでもらえたらと思います。