第1戦で2-0とリードし、グランパスとしては最高の状態で第2戦に臨む。ただ鹿島アントラーズもこのままで終わるわけがない。この試合をプレビューする
鹿島アントラーズの状況
- 出場停止なし
- DF広瀬陸斗 GK山田大樹が怪我。ファン・アラーノ、染野唯月が出場微妙
- 夏のマーケットで移籍加入・放出あり
IN | OUT |
DF 安西幸輝 | MF 白崎凌兵 |
DF ブエノ | DF 杉岡大暉 |
MF 小泉慶 |
鹿島アントラーズの戦い方
相馬直樹監督になってからの鹿島アントラーズは、前線、サイドの選手をかなりローテーションして入れ替えている。その点はフィッカデンティ監督の名古屋グランパスと対照的になる。実際この6試合の守備的中盤(DH)、サイドMF、FWの組み合わせは以下のようになる。
徳島戦 | 守備的中盤 | 三竿 | レオシルバ |
サイドMF | 荒木 | 和泉 | |
FW | エヴェラウド | 土居 | |
長崎戦 | 守備的中盤 | 永木 | ピトゥカ |
サイドMF | 遠藤 | カイキ | |
FW | エヴェラウド | 松村 | |
神戸戦 | 守備的中盤 | レオシルバ | ピトゥカ |
サイドMF | 荒木 | 和泉 | |
FW | 土居 | エヴェラウド | |
清水戦 | 守備的中盤 | 三竿 | ピトゥカ |
サイドMF | 遠藤 | カイキ | |
FW | 荒木 | 上田 | |
横浜FM戦 | 守備的中盤 | 三竿 | ピトゥカ |
サイドMF | 荒木 | 和泉 | |
FW | 土居 | 上田 | |
名古屋戦 | 守備的中盤 | 三竿 | ピトゥカ |
サイドMF | 遠藤 | カイキ | |
FW | 土居 | 上田 |
- 名古屋サポからは信じられないことに、この6試合で一度も完全に同じスタメンがない。
- ローテーションからすると横浜Fマリノス戦のメンバーが中心になると思われる。すなわち荒木遼太郎先発起用は間違いない。
- 見てみると、荒木を起用してサイドMFで使う場合と、荒木をFWで起用する場合がある。
- 相馬直樹監督は、相手を見て相性を考えた起用をすると思われ、最初から点を獲りにいく采配が予想される。
- 2試合連続で土居聖真・上田綺世の起用だった。
- 機動力があり、パスレスポンス指標の高い土居聖真は決定力に優れる上田綺世を活かすために重要な役割だった。
- 相手がエヴェラウドであっても上田綺世でも相方を活かすことができる。
- ただ得点力という点では物足りないところがある。今季ここまで22先発、25試合出場とほとんどすべての試合に出場しているのにかかわらず4ゴール。
- 第1戦と違って、3点が必要な鹿島アントラーズとしてはなにか変えるとしたら、FWとサイドMFなのでは、と予想する。
鹿島アントラーズのチームスタイル
引用元: 鹿島アントラーズ 2021 チームスタイル[攻撃セットプレー] | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB
- もっとも目を引くのは攻撃セットプレー。
- 70.1は、2位の横浜Fマリノスの61.2を大きく引き離す。
- シュート率も24%と、セットプレー4回に1回はフィニッシュに持ち込んでいるのがわかる。
- 名古屋グランパスがもっとも苦手としているのは鹿島アントラーズのフィジカルコンタクトの高さだ。
- 第1戦は「ファールを比較的取りやすい村上主審」だったから名古屋に有利だったが、単なる身体的接触では笛を吹かない審判(家本主審など)の場合は気をつけないといけない。
- ボール奪取からのショートカウンター(リーグ1位:67.4)に持ち込まれるのが一番危険だ。
鹿島アントラーズのチャンスビルディングポイント
引用元: 鹿島アントラーズ 2021 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB
- 鹿島アントラーズのチャンスビルディングポイントはリーグでも上位に位置するものが多い、
- 特に攻撃系の値は軒並み上位にいる。
- 低い数値になるのはドリブル(12位)と、守備(17位)、セーブ(14位)くらいである。
- 攻撃系では唯一低いのはドリブルで、相手のドリブラーに滅法強い宮原和也ではなく、成瀬竣平を起用するのはうなずける判断だ。
グランパスの状況
- 丸山祐市が全治8ヶ月の重傷(3ヶ月目)
- 山﨑凌吾が離脱中(最低3ヶ月/2ヶ月目)
- シャビエルがハムストリング負傷(おそらく1ヶ月程度。3週間経過)
- 金崎夢生がいよいよ復帰
- ヤクブ・シュヴィルツォクが筋肉系のトラブルもベンチ入り濃厚
- 出場停止はなし
鹿島アントラーズ対策
鹿島アントラーズは3点取らなければならない。ということはどのような戦略が考えられるだろうか。
- メンバーは攻撃的な荒木遼太郎の起用など入れ替えるが、バランス重視でいつも通りの粘り強い戦い方をする
- 第1戦前半35分から45分までのような怒濤の攻撃を行ってまずは先制点を奪いにくる
この2択になると思う。相馬直樹監督の本心では1の「いつも通り」の戦い方を望むだろう。2点差は厳しいが、決して絶望的な逆転不能の得点差ではないからだ。
ただ、周囲含めたプレッシャーで、2を選択せざるを得ない可能性もある。
ただし、いかな鹿島アントラーズとはいえ、第1戦前半35分から45分までのような怒濤の攻撃を90分続けることはできない。30戦以上無敗を見せた川崎フロンターレですら、そんな試合は稀だからだ。
時間限定、おそらくは試合開始当初に怒濤の攻撃を見せてまずは1点を奪い、その後いつも通りの粘り強い戦い方をする、というのが相馬直樹監督が取る選択肢ではないか。
フォアチェックに気をつけろ
第1戦、アントラーズが普段やらない「フォアチェック(前線の選手が相手のDFに厳しくチェックをすること)」をしかけてきていた。これは5月の対戦時に小泉(現サガン鳥栖)のパワフルなプレーで名古屋DFをズタズタにされたように、実際名古屋グランパスはDFにプレッシャーを強くかけられることが苦手だからだ。(かけられてもまったく問題ないチームなど、絶好調時の川崎フロンターレくらいだが)
フォアチェックで、ゴールに近い位置でボールを奪われれば、すぐに決定機になる。おそらくアントラーズはこれがやりたい。
カギになるのが中盤でどれだけボールを奪えるか(鹿島)・奪われるのを阻止できるか(名古屋)だ。
気をつけなければいけないのは、米本拓司や稲垣祥がサイドに引っ張り出されて、手薄になったところで真ん中でボールを奪われるというパターンだ。攻撃時はポジションを外れても良いが、グランパスは今回それほど得点にこだわる必要はない。深追いはせず、きちんとマーク相手を受け渡して、ポジションを大きく外さない。
これが大事だ。中央をやらせないことを心がけたい。
セットプレーの数を減らせ
町田浩樹・犬飼智也だけで10ゴールを挙げている鹿島アントラーズ。守りに入るとセットプレーの数がどうしても多くなる。セットプレーは事故での失点というのが少なからずある。
第1戦はピトゥカのミドルにしても、荒木遼太郎のミドルにしても、いくつかあったセットプレーの決定機にせよ、グランパスはラッキーだった。どれか1つくらい入っていてもおかしくないだけのシュート数は打たれていたからだ。ミッチェル・ランゲラックに感謝しなければならないが、今回もラッキーが続くとは限らない。不要なセットプレーを与えるくらいなら、セーフティーなプレー選択をしたほうがいいかもしれない。不用意な飛び込みだけは絶対しないように。
良い試合になりますように