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二択を迫るコンサドーレとリスクを取ったグランパス 2023年J1リーグ第15節 北海道コンサドーレ札幌戦マッチレビュー #grampus #consadole

応援のエンジンがかかる前の電光石火の一撃に湧いた札幌戦。札幌独特のスタイルに翻弄されながらも勝ちを拾うことが出来た。

試合情報

北海道コンサドーレ札幌・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
北海道コンサドーレ札幌・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

マテウスを一列下げて構えるような形を取る名古屋。それに対して札幌は最終ラインに岡村と、やや下がり目に宮澤を置き、荒野を永井とキャスパーの裏に配置。

菅野を含めた4人でボールを保持する姿勢を見せる事で名古屋のプレスを躱す形を取りに来た。

名古屋側も荒野を浮かせたくないので、センターの2人のどちらかが前線のプレスに連動する形で荒野にプレッシャーをかける。このマッチアップができあがったなかで、名古屋が苦労したのが札幌のビルドアップ部隊から外れていた田中駿汰と福森という両ハーフバック(サイドのセンターバック)の存在だった。

田中駿汰と福森が立ったのは名古屋の3バックとは異なり、かなり高めの位置。基本的には3センターの両端に対峙する場所。この場所に立つ2人が名古屋のプレスに対する脱出口となった。

そして、田中駿汰と福森の脱出口が消せない理由は名古屋のウイングバックとセンターの関係性と札幌がとったサイドの対名古屋システムにあった。

田中と福森に対応したい名古屋の守備だが、センターの3人のうち誰かが動くと、中央にスペースを与える事になる。本来名古屋の守備はセンターがプレスに連動する時は、名古屋はウイングバックを中央に絞らせてスペースを埋める事が多い(内田や和泉がよく行なう守り方)、しかし、札幌は名古屋のウイングバックに人を当てる事で中央に絞らせず、サイドで「ピン留め」する形を取った。

前半の札幌が作ったビルドアップの仕組みと逃げ道
前半の札幌が作ったビルドアップの仕組みと逃げ道

名古屋は札幌が攻撃をやり直すタイミングでプレッシャーをかけようと試みたが、そのタイミングでも札幌は手札を仕込んでいた。

攻撃時にサポートに上がる宮澤は攻撃のやり直しの場面では後ろのリスク管理部隊に参加していないため、最終ラインに降りてくる。その時を狙う名古屋だが、やり直しの場面ではやり直すサイドとは逆のサイドのセンターバックが降りて来て、サポートに入っていた。(例:08:12~ 岡村と宮澤にプレッシャーに行く名古屋の前線に対して田中が降りてサポートに入る)

プレスの匂いが感じられると、サポートに降りている逆サイドの札幌の選手へと、名古屋のセンターがプレスに行く。すると名古屋の中央のラインが空く状況が作られる。

名古屋のプレスを誘って中央を使った刺し込むようなパスが浅野へ入るような状況も。

札幌の最終ラインに参加する「球が出せる能力がある選手達」が活きるような設計が為されていた。

差し込むようなロングボール
名古屋のプレスを誘って中央を使った刺し込むようなロングパスが浅野へ入る

札幌の長いボールの配球を効果的にしたのは小柏と浅野のランニングの仕方。

解説の大森さんもおっしゃっていたが、この二人が“斜めにランニング”することでセンターバックの両脇の2択を押し付けた。

編注:左サイドで例えると、森下は金子を抑える必要がある。そこに浅野が斜めにランニングしかけてくると、そこに付いていこうとすれば最終ラインに大きなスキマを空けることになる。そこで森下龍矢にマークを渡そうとすると金子がフリーになるし、米本に任せたら小柏や駒井がフリーになる。枚数をかけて仕掛けられると難しいのがこういう選択の判断になる

センターバックに対して選択肢の押し付けを増やすことでセンターバックの守備のサポートにウイングバックが入らないといけないような展開を作り、名古屋側はウイングバック同士で押し込まれる上に「下がらないといけない状況」まで作られる事に。

そうなると札幌はウイングバックやインサイドハーフの選手達がポジションを入れ替えながらボールを持つ事が容易になる。

どうしてもサイドが押し込まれるように見えた原因も札幌のFWの動きに関係していた。

後半戦

後半になり札幌は荒野と駒井の位置をかなりはっきりと入れ替える。センターバックがボールを刺し込んでいた前半に比べて駒井が受けて出す場面を増やした。荒野、菅、福森を稲垣、マテウス、和泉に当てて貼り付けることで米本の周りにスペースを作り、田中、駒井、浅野、小柏が米本の周りに侵入する形を作った。

人が侵入してくるようになったので、名古屋は守備の陣形を横にスライドさせてスペースを埋める形を取った。その形を取る事で札幌の両側の大外が1枚余る形となり、すこしでも守備陣にズレが生じると、そのタイミングで駒井に楔を打ち込まれる。外側を縦に侵入されてから逆の外を使われるといった展開が増えていった。札幌の金子の得点はそのような仕組みのなかからうまれた。

右サイドを膠着させ、米本拓司の周辺のスペースを使う
右サイドを膠着させ、米本拓司の周辺のスペースを使う

後半の早い時間帯でルーカスや中村を投入したのは外の強みを作る為で、駒井がゲームを動かす変化をつけてからの札幌の目的は明確だった。

試合雑感

  • 米本がサイドに流れる展開が何回か見られた。ひっくり返されたらピンチ!の展開もあったが、リスクを取って2得点に絡む活躍
  • 今回の試合は相手の形に対して後半で構造自体の修正を入れられなかった。なので酒井、長澤、内田が投入された意図も恐らく前半と変わらないタスクを求められた。しかし、芝の影響なのか他の選手の消耗が激しかったのと、後半から構造の修正をしたのは札幌だった。
  • 修正された時の試合の作り方をどうするのか?は要確認
  • 名古屋は基本的に長いボールで少ないDFに回収させてそこからプレスの形。最速で得点したことでわざわざ持つ必要が無くなった事もあるだろうが、そこまでプレスがきつい相手では無いのでもう少し持つチャレンジをしても良かったのかもしれない。
  • 代表に招集された森下。クロスを上げる前に顔を上げていられるなら良いボールが出せるように。新潟戦のアシストも今回のマテウスへのパスも出す前に顔が上がっていた。おみくじクロスが減少したのは良い傾向

最後に

梅雨時期ですがホームが続く6月になります。雨にも負けず風邪にも負けず。

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