デスク「どうもデスクです。」
喋る机:用語解説:各種スポーツ新聞の記事に出てくる「デスク」のこと。日刊ゲンダイの記者室に設置されているという噂のものが有名。「記者とその机の会話を記事にする」という斬新な取材スタイルを確立したことで知られる。喋る机記事はあくまで「記者と机の会話を書き起こしたもの」に過ぎない。その他夕刊フジや東京スポーツなど夕刊紙に登場することが多い。マジレスするとデスクは新聞社において記事の取材や編集を統括するポジションの人間のことを指す。
記者「どうも記者です。デスクよろしくです」
デスク「連敗!ラグさんの記事へも、コメントの量が半端なかった。みんな、どうにかしたいっていう想いがあるんだろうなぁ」
記者「連敗ともなると、土曜日の夜や日曜日のSNSは大荒れでしたね。」
デスク「特定の選手をやり玉に挙げて非難する方向性、もう1つはミシャはもうダメだという方向性の2種類のコメントが見られた。」
記者「正直、鹿島アントラーズには個の差を思い知らされた感じはありますが、ゲーム自体は名古屋にも勝つチャンスがある試合だったと思いました。山岸祐也のポスト直撃、稲垣祥のミドル数発、浅野雄也のチャンスとか、マテウス・カストロのオフサイドとか。」
デスク「鹿島アントラーズにも同じくらいのチャンスがあって、1個多く決められちゃったわけだな。誰かのせいにするのは簡単だが、その誰かを外せば全て解決ってわけでもないと思う。むしろ厄介なのはコメントのタイプ後者=ミシャはもうダメだっていうほうかな」
記者「今回来た質問も大まかに言えばそっちのタイプですかね。だいぶマイルドですけど。」
「正直言うと現代のテクノロジーで隅々まで相手を分析し対策を立てて試合に臨むようなサッカー界で、今名古屋が目指しているスタイルが仮にリーグで最もエキサイティングな試合を披露出来たとしても「今シーズン」の優勝へ導く最も有効な戦術ではないのではないか?…と言う不安が拭えません…… 」
デスク「そう、果たしてミシャ式は有効な戦術ではないのかどうか、それを考えて見よう」
最強の戦術は存在するのか?
記者「そもそもこのあたりの話って、前にも記事にしませんでしたっけ?」
デスク「いくらなんでもこの記事シリーズ3本、下手な文字の大きい書籍なみに長すぎるんで、
読んでない人のほうが多いと思う。もうちょっとやわらかめに進めていこう」
記者「ミシャ式は解析されている、っていうのがデスクの結論でしたよね。そういう不安はよくわかります。
ということは質問の通りってことですか?」
デスク「質問の通り、と言える部分はある。
だが考えて欲しい。解析されるのは、ミシャ式だけではないよ。
どのチームも解析されたらキツイ。
躍進したチームが1周終わった次の対戦では苦労する、なんてことはよくあることだ。」
記者「ワールドカップでも見ましたけど、たとえばアルゼンチン代表なんか、なにをしてくるか判っている。でも止められない。で決勝まで行っちゃいましたよね。」
デスク「最終的にはその域まで完成度を上げていかなきゃいけない。
残念だけど、いまのグランパスは完成度が高いとは言い難いな」
記者「今のグランパスも後方からきれいに前進できれば5トップにボールを届けられます。しかし、そこを相手に消されるとキツイですね。」
デスク「でも長谷川健太前監督のときなんかはサイド回しが中心だったが、
1.シャドーが降りて受ける
2.サイドで中山克広・木村勇大がよくやる「レイオフ」を使って一気に前進する
3.藤井から左サイドへ、高嶺から右サイドへ、サイドチェンジで浮いた前線にボールを届ける
といった3つの方法を使い分けられるようになってきている。そこは進歩だな。」
用語解説:レイオフ:前線の選手が相手を背負ってボールを受け、自分では前を向かず、近くの味方へ落として前進につなげるプレー。中山克広と木村勇大のコンビネーションでは、木村が収めて中山へ落とし、そのまま次のスペースへ動くような形がよく見られる。
記者「サイドから前進しようとしてもパスがずれる。
一度前線に当てて、レイオフで横へ落とすところを狙われる。
ロングボールを蹴っても、毎回正確に味方へ届けられるわけではない。
そういうところもうまくいっていなかったのがアントラーズ戦だった気がします。」
デスク「和泉竜司や山岸祐也が難しいボールを素晴らしいトラップで収めた場面もあったが、あれを毎回求めるのはさすがに難しい。
グランパスがやろうとしたことをプレッシャーでいつも通りにやれなくする。それがアントラーズの採った対策だったんだと思うんだよな。
そういう意味では、「相手に研究されている」という感触は、自分にもあるよ。」
記者「正直、鹿島戦を見ても「もうこのサッカーでは無理だ」とまでは、自分は感じませんでした。」
デスク「むしろ感じたのは、やろうとしていることが完全に封じられたというより、その攻防の中で鹿島との技術やプレー精度の差が出たということだな。」
記者「わかります
● ファーストタッチがあと少し良ければ。
● パスがあと50cmずれなければ。
● 相手が寄せてくる前に半歩早く判断できれば。
● 受ける選手と出す選手のタイミングがもう少し合えば。
そういう場面がかなりあったと思います。」
デスク「これはある意味、悲観材料でもある。
戦術を用意すればすぐ解決する問題ではなく、選手一人ひとりの技術、判断、そして11人の連係を積み上げなければならないからだ。」
記者「希望はないんですか?」
デスク「あるよっ(ニッコリ)。」
デスク「「構造的にどうやっても前へ進めない」のと、「やり方はあるけれど、まだ精度が足りない」のとでは、かなり意味が違う。」
記者「「選手がもっと上手くなればいい」ってことですか?」
デスク「いやいや。それで終わらせちゃいけない。
相手がビルドアップを狙ってくるなら、できる工夫はあるはずだと思うんだ。」
- GKをどう使うのか。
- シャドーが下りたとき、その次に誰が空くのか。
- 中央を閉じられたら大外をどう使うのか。
- ロングボールを使うなら、その次のセカンドボールを誰が拾うのか。
- 相手が名古屋対策のために人数を使ったことで、逆にどこが空いたのか。
記者「なるほど、「対策への対策」を増やしていく必要があるわけですね。」
デスク「風間さんのときも、フィッカデンティさんのときも、長谷川健太さんのときも、ずっとそう。サッカーは対策の対策を繰り返すスポーツだよ。」
記者「毎度のことですが、気が遠くなる思いです。」
デスク「俺は今の状況を
「ミシャ式が攻略されてしまった」
というより、
「ミシャ式を知っている相手との、次の段階の勝負が始まった」
だと思っている。」
記者「では、質問にあった「今シーズン優勝するために、これが最も有効な戦術なのか」という問いについてはどうでしょうか?」
デスク「そもそも最も有効な戦術なんてあるだろうか?
よく言うのが、もっとリスクを抑えたサッカーをすれば勝点が増える可能性もある。
逆に、いま積み上げているものを途中で捨てれば、かえってチームの強みまで失ってしまう可能性もあると思うんだ。」
記者「「優勝するための正解の戦術」がどこかにあって、それを選べば優勝できる、というほどサッカーは単純ではないってことですよね?」
デスク「知られないで勝負できるのは、最初の3ヶ月だけ。それ以外はイコールコンディションだ。そうなるな。くりかえすが、大事なのは、自分たちのやり方を相手に知られたあと、それでも上回れるチームになれるかだと思う。」
記者「そこが今季の名古屋を見るうえで一番面白く、一番重要なポイントですね。でも開幕連敗ですし、不安はぬぐえないのが正直なところです」
デスク「ビルドアップを引っかけられたときの失点リスクは、優勝を目指すのであれば放置できない問題なのは確かだな。アントラーズですら90分ハイプレスは続かなかったが、ハイプレスが続く間のビルドアップをどうするのか、これが課題になるな。」
記者「ミシャ式で、3-4-2-1から4-1-5に変形してWBなどが5になろうとして上がったところで、ビルドアップに対してハイプレスをかけると、局所的な数的優位で+1を作られてしまいます。この方法でショートカウンターを喰らう、という形とその亜種での失点が続いています。
この相手の対策に対する対策はどんなものが考えられますか?」
デスク「既にここで記事にしてあるんだが、シーズン前に書いたものなので、既に取り入れてくれているものもある。GKもDFラインに参加した上での最終ラインの枚数調整とかな」
記者「昨シーズン終盤のシュミット・ダニエルもはじめていましたが、今シーズンはピサノが頑張ってくれていますよね。」
デスク「まずは、自陣内(ディフェンシブサード)で簡単に奪われないようにするのが一番なのだがそのための方法だよな。そこで出てきているのが4-1-5の1(アンカー)に森島司起用をするという待望論だ。」
記者「それはSNSでめちゃめちゃ言われてますよね。僕も何で起用されないんだろうって思っています」
デスク「本当の理由はわからない。が、清水戦で興味深いデータがある」
記者「パスは21本中21本成功・キーパス1などさすが!と思わされましたが、ヒートマップがかなり小さいですね。」
デスク「攻撃は守備から始まるものなので守備貢献も少なく、あまり関与できていない、というのはポジションがセントラルな以上、少し解せない。ヒートマップの小ささもどういう事情があるのか不明だ。走行距離は20分出場で2.5kmなので、11kmペースだ。運動量がないわけではない、パスも出せている。すなわち良さは出せているが、同時に弱点も出たのが開幕戦だったのではないだろうか。それが先発で出せない事情なのでは、とも思う。」
記者「厳しく守備に行けない事情がある・・・?」
デスク「正直外部からはわからない。でもそもそも森島司、J1百年構想リーグでも1節から5節まで欠場、6節も後半から。14節から17節まで欠場し、18節も30分だけの試合出場。靱帯などの怪我なら、そんな短期間で戻れないので、どこかに長時間、そして激しいコンタクトプレーができない原因があるのだと思う。調子のいいときは本当にいいプレーをしてくれているんだけどな」
記者「そういえば、ハムストリングみたいな筋肉や、靱帯が悪いとかじゃないのに欠場がよくあったといえば、西野監督以降の田口泰士がそうでした。たしかグロインペイン症候群・・・!」
デスク「そう断じることは危険だ。我々は実際に見ている医師ではないので、なんらかの事情を抱えている可能性がある、というだけしか言えない。ただ、ターンだとかを多用する中盤の選手に多い症状なんだよな」
記者「今現在はプレーできるレベルにはあるけど、また無理をかけて、完全に壊れて離脱になるのが怖い、というあたりが起用に慎重な理由になりますか。」
デスク「あくまで想像に過ぎないが、そういう可能性もある。ただアントラーズ戦で出場機会がなかったのは、ミシャらしくはないかもしれないが、佐藤瑶大を入れて勝ち越すよりも守って勝ち点1を獲りにいったからだと思う。攻撃全振りのシチュエーションだったら森島司を入れたと思う。」
記者「ビルドアップの出口をどうするか問題の対策はほかになにが取れるでしょうか」
デスク「そうだな。こちらの記事で書いたことは実は結構トライされている。」
ビルドアップ・守備関連の提言はこの4つ
提言1:後方の組み立てをワンパターン化しない ボランチの下がる動き(サリーダ)を固定せず、GKを組み込んだ「4-2-5(0-4-2-5)」など、相手のプレス状況に応じて後方からの運び出し方を柔軟に選択する。
提言2:人につかれるなら、こちらから人を動かして迷わせる 相手のマンツーマン守備に対し、シャドーやWBらのポジションを入れ替えてマークを迷わせたり、優位なマッチアップを意図的に作って突破する。
提言3:持たされたときの出口を、先に用意しておく 自陣に押し込められた際の回避策として、GKからのロングボール+こぼれ球回収、縦パスの差し込み、速いサイドチェンジなどの明確な手順を事前にチームへ仕込む。
提言4:クロス守備は、原則より先に担当を決める 外された際の二次的なクロッサーへの規制、ファーサイドのWBの対応基準、GKのハイクロス処理範囲など、役割分担を具体化する。
記者「ビルドアップ関連の記事の提言1から4にあった、降りる人を固定しない、GKの組立て参加、速いサイドチェンジ、プレスを誘って背後を取る、なんていうのは鹿島アントラーズ戦でもよく見られました。」
デスク「人間が考えることはやはり多かれ少なかれ似てくるものだと思う。」
記者「できることって、まだ残ってるんでしょうか?」
デスク「やりはじめてはいるが、もっとやろうぜっていうのはあるよ」
記者「たとえばどんなでしょうか?」
デスク「基本的にはプレスに来るっていうことは、どこかにスペースができるってことだ。たとえばたまに藤井陽也がやるプレー。相手がCBにはプレス、アンカーにはマーク、カバーシャドウでパスコースも消す、WBへのパスコースも消すと対策してきたなら、センターバックがドリブルでプレスを剥がして持ち上がる。」
記者「あ!アントラーズ戦でも藤井陽也が持ち上がって、中山にパスを出してそのままゴール前に飛び込んでクロスにヘディングっていうのがありましたね。」
デスク「そう。あきらかにアントラーズはそのシチュエーションに困っていた。ただもちろんセンターバックがやらかすと、大ピンチになる。
もう1つは、プレスに来たら、プレスの背後を使う。」
記者「これもアントラーズ戦で、原のところにプレスが来たら、原から藤井陽也に浮き球のパスを出して、フリーの藤井陽也がビルドアップをする、っていうのがありました!」
デスク「そう。できるんだよ。でも中途半端に空いたスペースに蹴るだけじゃ拾われてフリーで攻められる可能性も高い。」
記者「でも、味方が都合のいい場所にいるとは限りませんよね?」
デスク「そこで味方が貰いに行ってくれることが大事なんだと思う。
相手を右へ集めて、左で攻める(あるいはその逆)を徹底する。その第一歩がコレだな。」
記者「そうですねぇ・・・ほかにありますか?」
デスク「プレス回避でよく言われるのが「ロングボール」だ。」
記者「でも、ロングボール蹴っては回収される無限回収の道が・・・」
デスク「そう。雑にロングボールを蹴るだけではそうなる。山岸祐也に競らせるだけではだめ」
記者「じゃあどうしたらいいんです?」
デスク「ロングボールを使うなら、
● 山岸が競る
● シャドーが落下点へ
● 片方のWBもセカンドへ
● アンカーも少し前へ
● 逆側WBはカウンター対策として残る
くらいまでセットで設計する。
そうすると、ロングボール → セカンドボールを3対2で回収っていう形ができあがる。それくらいやらないと」
記者「なんかできてないような気がしますね・・・」
デスク「FIFAも、ハイプレスに対しては「around(外す)」「through(通す)」だけでなく、「into(プレス背後へ入れる)」「onto(前線の選手へ空中球を当て、競る・ワンタッチでつなぐ)」「beyond(最終ライン背後へ飛ばす)」という複数の出口をGKが選ぶことを整理している。FIFAトレーニングセンター(グラぽはよく記事のネタに使わせて貰ってる)が推奨しているくらいなので、グランパスも一度基礎に立ち返って、ロングボールをうまく使えるようにならないといけないと思う。」
記者「だいぶ整理できたと思います。第3戦どうなりますかね?」
デスク「ガンバ戦、恐らくピサノと荒木のアジア大会日本代表対決になる。ピサノも燃えているはずだ。荒木があまり得意としているようには見えない、GKからのパス出しでハイプレスをいなして欲しいな。」
記者「もう2試合やってるので、お互いに「相手はなにを狙ってくるのか知っている。その上でどうする?」という勝負ですよね。」
デスク「俺の予想を超えた、新しい可能性を見せてくれることを期待している。」
記者「次節、コーチ陣も頭を今捻っていることでしょうし、その頑張りを期待したいですね。」
デスク「いろいろ想像してみるのも楽しいな。みんなの予想も教えてくれると嬉しい」
記者「次の試合はみんなで喜びたいですね」
デスク「次の試合でみんなで乾杯できることを祈ろう。では」






