ラスト瑞穗。最後のゲームを勝利で飾れなかったことは残念でした。
ジャッジについてはOTC公式さんの記事を参照していただくと良いのですが、ハンドのルールだけをまとめたものがなかったため、きちんと一度まとめておきましょう。
ルールではどうなっているのか?
競技規則 2020/21
https://www.jfa.jp/documents/pdf/soccer/lawsofthegame_202021.pdf
より「第12条 ファウルと不正行為」を引用します。
ボールを手または腕で扱うハンドの反則を判定するにあたり、腕の上限は脇の下の最も奥の位置までのところとする。
競技者が次のことを行った場合、反則となる。
- 手や腕をボールの方向に動かす場合を含め、手や腕を用いて意図的にボールに触れる。※1
- ゴールキーパーを含め、偶発的であっても、手や腕から相手チームのゴールに直接得点する。
- 偶発的であっても、ボールが自分や味方競技者の手や腕に触れた直後に
- 相手競技者のゴールに得点する。※2
- 得点の機会を作り出す。※2
- 次のように手や腕でボールに触れたとき
- 手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした。※3
- 競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにある(競技者が意図的にボールをプレーしたのち、ボールがその競技者の手や腕に触れた場合を除く)。
これらの反則の範囲は、ボールが近くにいる別の競技者の頭または体(足を含む)から競技者の手や腕に直接触れた場合でも適用される。これらの反則の範囲を除き、次のようにボールが競技者の手や腕に触れた場合は、反則ではない:
- 競技者自身の頭または体(足を含む)から直接触れる。
- 近くにいた別の競技者の頭または体(足を含む)から直接触れる。
- 手や腕は体の近くにあるが、手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくしていない。※3
- 競技者が倒れ、体を支えるための手や腕が体と地面の間にある。ただし、体から横または縦方向に伸ばされていない。
- ゴールキーパーは、自分のペナルティーエリア外でボールを手または腕で扱うことについて、他の競技者と同様に制限される。
- ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内で、認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが懲戒の罰則にはならない。しかしながら、プレーが再開された後、他の競技者が触れる前にゴールキーパーが再びボールを触れる反則の場合(手や腕による、よらないにかかわらず)、相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止した、または相手の得点や決定的な得点の機会を阻止したのであれば、懲戒の罰則となる。
※1から※3はグラぽが追記(次節の(1)~(3)に相当)
問題のシーンを検証してみよう
\ P K は 取 り 消 し /
横浜FCの #田代真一 のハンドをとり一度はPKの判定が下されるも、審判団が話し合いを行い、判定が正しかったかについて審議。その後、名古屋へのPKは取り消しとなる。#GoalJ1リーグ
🇯🇵#明治安田J1 第32節
🆚名古屋グランパス×横浜FC
📺#DAZN で配信中 pic.twitter.com/hfnPFaZQ1p— GOAL Japan (@GoalJP_Official) December 12, 2020
ポイントは (1)意図的かどうか (2)手や腕に当たった直後に、得点 又は得点機会が生まれたか (3)手や腕が不自然な位置にあったか、です。
大切な事は「意図的かどうか」だけが全てではない、という事です。例え意図的でない場合でも得点(機会)になったり、不自然な位置にあった場合はハンドになります。
このシーンでは、(2)手や腕に当たったあとに得点機会にはなっていません。(3)大きく手を広げているわけではありません。
ただ、個人的にはボールに対して迎えに行っているようにも見え、もしもPKを取るとしたらその(1)が該当するのではないかと考えます。
意図があったかどうかは競技者本人にしか分かりません。そこで、審判員は主に「手や腕の動かし方」を見て意図の有無を判断します。ポイントは、手や腕がボールに向かったのか ボールが手や腕に向かったのか。手や腕がボールに向かっていればハンドの可能性が高くなります。
スローで見ている我々には、田代選手の手がボールに向かって反応しているように見えますが、スローで見ていなければわからなかったかもしれません。よく「スローではファールに見えやすくなる」と言います。そこは考慮するべきポイントです。
判定の仕組みを数式化しよう
事実x主観xルール
主審は、この3つの要素の掛け合わせによって判定を下します。
事実とは、誰が見ても判断が変わる事のない客観的な材料=手や腕にボールが当たったかどうかです。
そして主観は、審判員が主観で判断するもの=意図的か、意図的でないかです。
それにルールを組み合わせて、最終的な判定が生み出されます。
- 一瞬意図的に見えたので笛を吹いてしまった
- →アシスタントレフェリーから「不自然な位置ではないのでは」とサジェスチョン
- →取り消し
こう至ったのではないかと予想します。
問題はそれよりもマネジメント
ハンドについては、取られなかったことは上記から尊重されるべきだと思います。
ただ、審判の振るまいはどうだったでしょう。
そういった疑問をTwitterで投げさせていただきました。
ありがとうございます。
あのあたりの振る舞いでシャビエルが激昂して危険なプレーに及んでしまったと思うので、ちょっとモヤモヤしています— グラぽ -名古屋グランパスについて語り合うページ- (@grapodotnet) December 12, 2020
それについてÁrbitro あるびとろさんから解説いただきました。マネジメントの問題について詳しく解説してくださっています。必見です。
それは完全にマネジメント(審判用語でも使います・落ち着かせること)が足りていないせいだと思います。
やはりPKをなくすという重さを考えるとより丁寧なマネジメントをすべきだったと考えます。マネジメントで防げるレッドカードは存在するので、その例だと感じます。
— あるびとろ⚽審判分析 (@arbitronojapao) December 12, 2020
手前味噌で申し訳ないですが一応このシーン分析してみました
おっしゃっていたシーンでは副審と協議のために中央に向かっていました。ドロップボールを宣告する前に行くべきでしたし、フィッカデンティ監督へ説明をしっかりすべきシーンだと感じました。https://t.co/k9F1oWGuWv
— あるびとろ⚽審判分析 (@arbitronojapao) December 12, 2020
わざわざセンターラインまで戻って、フィッカデンティ監督に短い説明のみでドロップボールにまた向かうということ。選手への説明の少なさ。このあたりがシャビエルの退場を招いたのではないかと感じています。
人間は間違える生き物ですので、今回はよくなかったかもしれません。次回への改善を望みます。