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ヤクブ・シュヴィルツォクとはどんな選手なのか #Kuba40 #grampus

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山﨑凌吾の負傷離脱から間もなく、ポーランドGKSピアスト・グリヴィツェからヤクブ・シュヴィルツォクの獲得が発表されました。

ヤクブ・シュヴィルツォク選手は、先月2021年6月に開催されたユーロ2020にも出場した現役ポーランド代表です。

https://www.youtube.com/watch?v=ni8I1UP2Ulk

グランパスの求めるFW像(復習)

これまで何度も書いている話ですが、グランパスが求めるFWは、ビックリするほどタスク過多です。

  1. クロスやパスを収めてシュートする(ストライカー)
  2. クロスやパスを収めて他のアタッカーにラストパスを出す(ポストプレー)
  3. ゴールキックやロングフィードを収めて他の選手に繋ぐ(ポストプレー)
  4. プレスをかけて相手のセンターバックの自由を奪う(1st ディフェンダー)
  5. 相手の守備を剥がしてドリブルしたり、守備の穴を突いて得点に繋がるプレーをする(チャンスメーカー)
  6. プレスの方向と枚数が限定されるサイドで勝負し、振り切ってクロスを上げたり、カットインしてシュートする(チャンスメーカー)

金崎夢生は昔、6(チャンスメーカー)の選手でしたが鹿島アントラーズ時代には純粋な1(ストライカー)になり、名古屋グランパスでは1よりも2、3(ポストプレー)4(1st ディフェンダー)へと変化しつつあります。

山﨑凌吾は金崎夢生と同じようなプレーを求められるうちに、徐々にそれに慣れてきたように思います。

ストライカーらしいストライカーがいないのが問題なのですが、グランパスでやるからにはポストプレーヤーの役割も、1stディフェンダーの役割もそこそこはこなして貰う必要がある。というのが難しいところでした。

ただ、状況が変わりました。チームは直近5試合で挙げた得点はオウンゴールの1点のみ。得点力不足という課題を突きつけられた形になります。

大森征之スポーツダイレクター 7月20日ヤクブ シュヴィルツォク選手移籍加入囲み取材 | インサイド・グランパス

ージョアン シミッチ選手以来の外国籍選手の獲得となります。ご時世的に難しい中でも海外から選手を呼んでくるに至った理由を教えてください。

チームがフィニッシュの部分で非常に苦労しているのもありましたし、そこはシーズン当初から重要なポイントでもありました。ただ誰でもいいわけではありません。おっしゃるように今の世の中の事情を含めても獲得を望んでいるという、強い想いをクバに伝えました。私が今まで経験した中で一番難しい交渉になったんじゃないかと思います。当然彼も日本というヨーロッパから離れた場所に来ることは、それなりにトライだと思いますし、そのほかにもいろいろな話があった中で、最終的に日本で、グランパスで活躍するんだという想いになってくれたというところで、それくらいパワーのある交渉にもなりました。そういう想いで獲得しました。

ストライカーが必要だ、という合意がチームのなかで作られた、ということでしょう。

ヤクブ・シュヴィルツォク選手はどれだけ評価されているのか?

Jakub Swierczok – 選手プロフィール 2021

ヤクブ・シュヴィルツォク選手の市場価値はtransfermarktの試算では300万ユーロ

名古屋グランパス – クラブプロフィール

グランパスではダントツの1位になります。2位が140万ユーロのマテウス、3位が120万ユーロの中谷進之介とシャビエルが続きます。

Jリーグ全体でも300万ユーロより高い選手というのは酒井宏樹(浦和レッズ)とリンコン(ヴィッセル神戸)だけです。

J1 League – Top marktwaarden 2021

彼はこれまでブンデスリーガなどでの活躍はあまりありません。ポーランドか、ブルガリアリーグ、ドイツ2部での活躍がほとんどです。とはいえ、266試合出場118ゴールは立派なものです。

2歳若いとは言え、キャスパー・ユンカーが130試合49ゴールと比べて、まったく遜色はありません。

ちなみに彼が活躍したリーグはどれくらいのレベルなのでしょうか。

https://www.kickalgor.com/ の計算したリーグランキングは以下の通りです。

  • 19位:デンマーク スーペルリーガ(ユンカー)
  • 28位:ノルウェー エリテセリエン(ユンカー)
  • 31位:ポーランド1部 エクストラクラサ
  • 32位:J1リーグ
  • 34位:ブルガリア パルヴァ・リーガ
  • 39位:ドイツ2部

J1リーグとポーランド1部はほぼ同格の評価がされていることがわかります。逆に田中碧選手(川崎フロンターレ)が移籍したドイツ2部は39位。リーグランクとチームはかならずしも連動しませんが、ポーランド1部の選手だからといって過小評価は出来ない、ということは理解いただけるのではないでしょうか。

体格面はどうなのか?

ユーロ2020の登録では身長179cm、日本での登録は184cm。

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このレヴァンドフスキと並んでいる写真、ヤクブ・シュヴィルツォクは少し前にいるので大きめに写っていますが、実際に並んだときの写真を見る限り、185cmのレヴァンドフスキより少しだけ小さそうなので、180cmから182cmくらいという身長になりそうです。

体重は86kgとのこと。とにかく身体が分厚い!

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日本では当たり負けはしなそうです。

ちなみに公称の身長と体重を並べると以下のようになります。

  • ヤクブ・シュヴィルツォク 184cm 86kg
  • 金崎夢生 180cm 70kg
  • 山﨑凌吾 187cm 82kg

プレー面ではどうなのか?

EUROの試合ではどうだったのか

昨晩、WOWOWでEURO2020を見直してみました。ポーランド代表ではまだ6キャップしかありません。どうしてもポーランド代表はレヴァンドフスキがいるとレヴァンドフスキにボールが集まってしまうので、難しい立ち位置でした。特に、守備ラインとの駆け引きをしたいのに、自分にはあまりボールが出てこないので結果的に無駄走りになったり、レヴァンドフスキと使いたいスペースが被ったり、という感じでした。

それでもスウェーデン戦64分に20cmくらいオフサイドでゴール取消があったこと、84分の同点ゴールの組立てに関与したこと、92分に惜しいヘディングシュートを放ったことなどは記憶に留めてもいいでしょう。(すべてのタッチをメモしていたのですが、さすがにそれは面白くなさそうなので掲載はしません)

リーグではどうだったのか

リーグではコンスタントに毎年ゴールを重ねています。

JAKUB ŚWIERCZOK BOHATEREM! | Piast – Górnik | SKRÓT | Ekstraklasa 2020/21 | 24. Kolejka

1:25スルーパスに抜けだして、利き足ではない左脚で、強烈なゴールを決めています。

ゴールにならなくても常に守備ラインとの駆け引きを欠かさないタイプです。

3:10にクロスに抜けだしてシュート。これはポストに阻まれますが、オウンゴールを誘っています。

Świerczok zabawił się w polu karnym! Mina Brzęczka mówi wszystko | TO BYŁ GOL! #41

ゴール前、2回の切り返しでDFを転ばせ、左脚で強烈なシュートを決めています。

Jakub Świerczok – Goals & Skills – 2020/2021 HD

こちらが一番新しいゴール集ですが、シュートの上手さが際立ちます。

まとめると、プレースタイルは以下のようになると思います。

  • ラインとの駆け引きで抜けだしたい=スルーパスを出してくれる選手が欲しい
    • 縦に抜けて左脚でニアぶち抜きか、切りかえして右脚ズドン
    • パサーのいるチームのカウンターサッカー向き
  • ボックス内で受けたら右脚で巻いてシュートが好き
  • 身長で圧倒できる選手じゃないので、低いクロスに脚やダイビング気味のヘッドで合わせるプレーもできる
  • DFに囲まれても結構キープできる
  • 自分でパスを出したり、クロスを上げたりというプレーは得意ではない

先の分類で言うと、以下のような評価です。

  1. ○:クロスやパスを収めてシュートする(ストライカー)
  2. △:クロスやパスを収めて他のアタッカーにラストパスを出す(ポストプレー)
  3. △:ゴールキックやロングフィードを収めて他の選手に繋ぐ(ポストプレー)
  4. △:プレスをかけて相手のセンターバックの自由を奪う(1st ディフェンダー)
  5. ×:相手の守備を剥がしてドリブルしたり、守備の穴を突いて得点に繋がるプレーをする(チャンスメーカー)
  6. ×:プレスの方向と枚数が限定されるサイドで勝負し、振り切ってクロスを上げたり、カットインしてシュートする(チャンスメーカー)

ストライカーとしては十分。スウェーデン戦でもポストを何回もしていましたが、DFの寄せの速いスウェーデン相手では効果的なポストはできていませんでした。例えば2枚に囲まれてキープしていたが、落としが味方に繋がらないとか。

1stディフェンダーとしての要素は、積極的にやっていたものの、上手くはありませんでした。ライプツィヒにも所属するスウェーデンの10番エミル・フォルスベリとの1:1、簡単にかわされてシュートに持ち込まれていたりもします。フォルスベリは相手が悪いとも言えるかもしれませんが、少なくとも山﨑凌吾ならもっと守備はできたと思われるので、守備では少し落ちる、と思っておいた方がいいでしょう。

チャンスメーカーのタイプではありません。

性格面はどうなのか

まずは彼のインスタを見て下さい。Jakub Świerczok (@swierczok70) • Instagram photos and videos

ヤクブ・シュヴィルツォクのインスタ
ヤクブ・シュヴィルツォクのインスタ

自分は釣りをしないのですが、釣りは「時間をかけて駆け引きをする」ものだと思っています。DFとの駆け引きを細かくやっている様子は、まさに釣りで養われた感覚なのでは?と思ってしまいます。

ちなみに2020年3月、ガールフレンドとともに散歩しているときに73歳の女性が倒れているのを見つけ、道路から避難させて救急車を呼ぶなどしたことで表彰されたとのことです。心優しい選手なのだな、と思わされました。

なぜヤクブ・シュヴィルツォクは日本に来たのか

ヤクブ・シュヴィルツォクはなぜ日本に来たのでしょうか。グラぽの想像は以下の通りです。

  • クラブの思惑:転売によって利益を得たい!
  • ヤクブ・シュヴィルツォクの思惑:28歳にもなって、EURO2020にも出場できた。今が一番の売り時だろう。一番高く買ってくれるところに行きたい。

現地報道では移籍金200万ユーロ+出来高、恐らく年俸も80万ユーロを超えてくるでしょう。まさに一番高く買って貰えるタイミングに違いません。しかも契約は2023年末までの長期契約!

ポーランド代表は現監督パウロ・ソウザが継続するかどうかはわかりませんが、2トップで、レヴァンドフスキが1枠FWを抑えてしまうことが確定的です。レヴァンドフスキは32歳ですが、おそらくまだ数年は代表に残るでしょう。1歳下のミリクがいて、その次の3番手争いのさなかに居るというのが立ち位置だと思います。

  • 日本に来るデメリット:代表の3番手FW争いから一歩後退してしまうこと

来年にはカタールワールドカップが控えています。おそらくカタールワールドカップのメンバー入りは狙っているところでしょう。その中での移籍は賭けです。

ここで活躍できないと代表から遠ざかってしまう可能性があります。一方で大活躍できればキャスパー・ユンカー同様、ヨーロッパでの評価も上がる可能性があります。

高いサラリーを得つつ、代表定着を狙いたいところでしょう。

補強は動いていた!

今回、山﨑凌吾の怪我は、もしかすると条件の上積み要因になったかも=契約の決定要因になったかもしれませんが、実は5月頃から動いていたということが明かされました。

大森征之スポーツダイレクター 7月20日ヤクブ シュヴィルツォク選手移籍加入囲み取材 | インサイド・グランパス

クラブとしてずっとFWをリストアップしなければいけない中で何人かリストアップして、その中で必ず獲らなければいけない選手というところで、最終的に獲得できました。ゴールというところは期待されると思いますけど、特徴は彼の万能なFWとしての能力。技術やフィニッシュにおけるところもそうですけど、あらゆるテクニックというところ、ヘディングの強さもそうですし、技術だけに限らずフィジカルの強さも兼ね備えています。常に落ち着いていて、闘うという強いメンタリティも持っています。探すのに本当に苦労しましたが、このような形で獲得できたので非常に期待しています。

現役ポーランド代表FW獲得の名古屋、大森SDは更なる補強に意欲「CBの補強が非常に重要になってくる」

大森SDによると、様々な選手をリストアップする中で、プレースタイル、監督が求めるもの、ほかの選手への影響、さらにはコロナ禍も相まって、交渉は例年にない困難を極めた。具体的な交渉が始まったのは5月に入ってから。初の極東アジアでのプレー、代表活動への影響など多くの不安を持っていたという28歳FWに対して、ベルギー代表DFトーマス・フェルメーレン(神戸)らの活躍を例に出すなどして、慎重に交渉を進めていったという。

おそらくリーグを戦う中でどういう選手が必要なのか、という摺り合わせをしながら、慎重に選考を進めていたのだと思われます。最初から今回はヨーロッパ狙いだったことはキャスパー・ユンカーの報道の頃からわかるところだと思います。だからこその「夏の移籍ウィンドウ」だったのでしょう。

ヤクブ・シュヴィルツォク獲得の意味

ヤクブ・シュヴィルツォクの移籍金200万ユーロ+年俸も合わせれば恐らく3億円超の投資を行いました。また、上記囲み取材では以下のような発言もありました。

ーFWの選手が加入した会見でお聞きしづらいですが、ほかにも補強ポイントはあると思います。補強についての見通しや現在の状況を教えていただけますか?

皆さんご存知のとおり、シーズンの途中に丸山(祐市)選手、キャプテンが大きな負傷を抱えてチームを離れました。この後、ルヴァンカップやリーグ戦、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)、天皇杯とすごく大きなチャンスがあるので、そういった意味でもセンターバックの補強は非常に重要なポイントになってくるのかなと考えています。

と、いうことはおそらくこの夏に今回の3億超に加えてDF補強費用も足して、5億円超の投資を行うことになるということです。このレベルの補強するという事はまだまだタイトル争いも諦めないということです。

そういった強いメッセージを今回は受け取りました。期待したいと思います。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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