伝統の一戦。
安城市陸上競技場にて、10月22日19:00に開催されたEL ALPAROSSOと名古屋稲穂隊の熱戦のレポートと簡単な講評をお送りする。
前半
名古屋稲穂隊ボールでキックオフ。
右サイドハーフにボールを出してポゼッションしようとするが、センターサークル付近にカットインしたところをカットされ、ショートカウンターを食らう。
2分左サイドで名古屋稲穂隊が仕掛けるが2人抜いたところで3人目に止められる
一方で名古屋稲穂隊は再三左ウィングの突破から繋いでチャンスを作るがクロスの先に枚数が足りない。
5分ALPAROSSOが右サイドから左脚クロス、ヘッドで合わせるが惜しくも枠を逸れる
そこからのカウンター、名古屋稲穂隊FWが抜けだしてGKと1:1になるもここは惜しくもオフサイドの笛が。連続した決定機の応酬も
8分名古屋稲穂隊5番が負傷退場。その隙を縫ってALPAROSSOが攻めたてるがなんとかCKに逃れる。CKからシュートもゴールを割ることができない。
10分ALPAROSSO右シャドーが抜けだしてシュートも防がれる。
その後くらいから名古屋稲穂隊はサイドに人をかけて中盤中央が空いてきてしまう。しかし人数をかけた左サイドから11分に決定機。左サイドライン際で1人ぬいてクロスもクロスからシュートはミートしない。
前半飲水タイム後
飲水タイムに名古屋稲穂隊はメンバーを大きく入れ替える。助っ人陣を下げて中盤の底にやるせない鯱を配置。ALPAROSSOは動かず。
飲水タイムをはさんで16分ALPAROSSOのFWが抜けだして倒れるがノーファール
ここからはALPAROSSOの攻勢が一段と強まる。もともとハイラインでコンパクトな守備からのカウンターが持ち味だったが、名古屋稲穂隊がそのハイラインを越えることができなくなってくる。無限にボールを回収されるパターン。
ALPAROSSOも攻めたてるが、ゴールを割ることができない。シュートに至るまでの工夫が、クロスかスルーパスしかないのが気になる。
21分ALPAROSSOの決定機、キーパーが飛び出して弾いたところ拾われてシュートもDFが決死のクリア。
CKの3連続もなんとか集中した守備で名古屋稲穂隊が守り切る。
その後もALPAROSSOの猛攻が続くが26分には右サイドからカットインした右サイドハーフの左脚ミドルをキーパーが弾いたところをFWに詰められ、ALPAROSSOが先制。
EL ALPAROSSO1-0名古屋稲穂隊
少しガクッときたのか名古屋稲穂隊の中盤がルーズになる。そこをたたみかけたのがALPAROSSO。29分右サイドをALPAROSSO 11番が攻めたてる。コーナー付近でスローインになるが、そのスローインの流れで名古屋稲穂隊の選手が左サイド奥でパスミスしたところを奪われ、センターバックを振り切ったALPAROSSOのFWがキーパーとの1:1を冷静に決めて、2点目を挙げる。
EL ALPAROSSO2-0名古屋稲穂隊
ATには名古屋稲穂隊PAであわやPKというシーンもあったがノーファール。
前半終了。
後半
2点のリードを奪ったALPAROSSOは疲れの見えた28に代えて14を右ウィングに投入。
後半名古屋稲穂隊のバックラインも上がり、少しコンパクトになる。
前半とは異なり、右サイドでゲームを作る。いくつもチャンスを作るが決めきれない。
逆に上がったラインの裏をALPAROSSOが突く。
後半6分左サイドからの名古屋稲穂隊のミドルがポストを叩くが惜しくもゴールを割れない。
一度裏返されるが7分、右サイドからのサイドチェンジ収めた左サイドハーフが弾丸シュートをたたき込み、名古屋稲穂隊が1点を返す。
EL ALPAROSSO 2-1 名古屋稲穂隊
得点で勢いづいたのか、名古屋稲穂隊の中盤のフィルターが機能するようになる。逆にALPAROSSOは名古屋稲穂隊のゴール前になかなか侵入できない。
13分にも枚数をかけた攻めで名古屋稲穂隊が決定機を作るもキーパーが防ぐ。
後半飲水タイム後
ここまで右ウィングの入れ替えのみだったALPAROSSOがここで大きく選手を入れ替える。序盤から鋭い上がりを見せていた27を右ウィングに上げ、トップ下の7番をセントラルMFに下げた攻撃的采配。仙頭啓矢的な配置だ。
飲水タイムでALPAROSSOが息を吹き返すと攻撃の応酬に。出入りが激しくなる。
16分名古屋稲穂隊のシュートはキーパーが弾く。
22分パス一本でALPAROSSO左サイドが抜けだしシュートも防がれる。
25分もALPAROSSO左サイドがドリブルで抜けだしてシュートも枠外。
27分枚数を掛けて名古屋稲穂隊がPAの中央を割り、シュート。これが決まり、同点
EL ALPAROSSO 2-2 名古屋稲穂隊
このままタイムアップ。引分けで試合が終了した。
試合に関する講評
序盤から引き締まった良い試合だった。
4-3-3ながらライン高く、コンパクトで出足の良い守備を見せるALPAROSSOと、サイドに強力な選手を置いて、個で殴りつける名古屋稲穂隊、それぞれの特徴がよく出た試合だった。
ALPAROSSOの序盤の戦術はストーミング。
参考:
ボールホルダーにきっちり複数枚かけて奪いきり、早いカウンターを仕掛ける。実は長谷川健太がやりたいことはこういうサッカーなんだろうな、と思わせる典型的なサッカー。
一方で名古屋稲穂隊はサイドに強力なプレーヤーを何枚も持ち、そこに枚数をかけて攻めたてた。現状の名古屋グランパスはマテウス・カストロと相馬勇紀・森下龍矢という強い個を活かしたサッカーをやっているが、既視感を持つプレーが多かった。
前半飲水タイム後に起きたALPAROSSO無限ボール回収タイムが発生したわけ
ALPAROSSOはそのフォーメーションの関係上中央に枚数を多く配置し、逆にサイドは強力な27番らが上がるためのスペースを空けている。
名古屋稲穂隊は強力なサイドハーフにサイドバックが絡んで複数枚でサイドを攻略しようとしていた。
結果としてサイド攻撃が上手く行っていた名古屋稲穂隊は中央の枚数が足りず、数的不利ゾーンを形成してしまっていた。失点シーンではいずれもサイドハーフが中まで入り込んでミドルを撃つことも多く見られていた。
このような数的不利が発生しているとクリアを無限に回収され、つらい時間が発生してしまうことになる。丁度アウェイ京都サンガ戦の後半のような状況だ。そのなかでミスが発生してしまうと失点に繋がってしまう。
ただ、数的不利があるということはどこかで数的優位が発生しているわけで、そこを耐えて数的有利ゾーンにボールを繋げればチャンスになるし、実際後半に名古屋稲穂隊が獲った得点はピッチ上の盤面を裏返してからの速攻で仕留めたもので、風間八宏理論を彷彿とさせるような得点だった。
両チームへのこれからの期待
EL ALPAROSSOはコレクティブ(組織的)で、守備も複数枚できっちりとあたることができていた。モダンなストーミング型のチームとして、コンパクトで出足の良い守備が出来ていることは財産だと思われるし、それを是非磨いて行って欲しい。この日はメンバーがなかなか揃わなかったということも聞いているがそれでこの質が出せることは素晴らしい。一方であれだけのチャンスを演出していても2得点というのは寂しいところ。FWの11番はスキルフルで運動量も高く素晴らしい選手だと思うが、本職はサイドプレーヤーとのこと。今後は玉田圭司のように1トップでもできるサイドプレーヤーとして、良いところで決められる選手になって欲しい。
名古屋稲穂隊は勝利至上のチームではないと思うが、2世代にもわたった選手層というのが良い。こういう活動は長く続けていくことが大事で、Jr.世代の選手が2人参加していたり、幅広い年齢層を受け入れられる地盤があるところが稲穂隊の良いところだと思う。もちろんある程度勝利なども欲しいところだと思うが、なによりも楽しくやれることが大事。その先に勝利があると良い。稲穂隊がやっている活動は素晴らしいと思っているので、その一環としてこれからも続けていって欲しいし、それを応援したい。適宜足りないところは助っ人に頼っても良いと思う。選手が変わらず、続けていくことで積み上げができてくる。それが稲穂隊の宝物になっていくと思う。期待している。
最後に
本当のクラシコのように、これからもこの試合がずっと続きますように。