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【事実と推論】なぜ #米本拓司 は期限付き移籍することになったのか? #グランパス #grampus

突然のニュースに、Twitter(X)のタイムラインは荒れまくりました

なにか原因を想像して怒る人、悲嘆に暮れる人、様々な反応がありました

そして間髪をいれずに翌朝のリリース

なぜ、米本拓司は移籍しなければならなかったのでしょうか?

【事実】米本拓司は干されていたわけではない

米本拓司選手の出場時間を見てみましょう。

CMF主力3選手の出場時間比較
CMF主力3選手の出場時間比較

やはり稲垣祥が軸であることは間違いありません。しかし稲垣祥も不満を漏らしていたものの、今年は敢えて稲垣祥すらも100%にはしていません。稲垣祥を中心に、時間的にも3人のローテーションで回していたことがわかります。

不可解なベンチ外がはじまった4試合を除くと、米本拓司の出場時間は56.4%、実は椎橋慧也よりも出場時間の割合は長いのです。僅差ながらも出場時間は2位。

昨年に比べれば減ってしまってはいますが、干されていたわけではありません。

【推論】なぜローテーションして、時間をシェアしなければならなかったのか?

これは明言されているものではないので、私の推論です。

私の思うクラブの課題は、今年34歳になる米本拓司と33歳になる稲垣祥の次を考えることです。

CMF選手の年齢分布
CMF選手の年齢分布

CMFに入れていますが、重廣卓也は終始IH(シャドー)での起用が続いており、内田宅哉は右CB、左WB、右WBでも起用されるため専任ではありません。豊田晃大は期限付き移籍中、吉田温紀もCMFよりも右CBでの起用が続いています

そうなると、CMFの専任は米本拓司・稲垣祥の2人しかいないことになります。彼らが年齢的にいつまでも活躍できるとは限りません。

そこを育成するか、獲得するしかないわけです。

そこで2023-24年オフは、セントラルMFに複数のオファーを送っていた形跡があります。

今年獲得できなかった上原力也(28)、高宇洋(26)、そして実際に獲得できた椎橋慧也(27)。候補者の世代は共通しており、米本拓司・稲垣祥から6歳~7歳、新人ではなく、ある程度実績も実力もある層を狙っていたことがわかります。

ですのでこの推論は的外れではなく、おそらくグランパス強化部も同じように考えていたことが想像できます。

そして、争奪戦に敗れ、獲得できたのは結局椎橋慧也1人でした。

正直、データの面からいえば現時点での実力は稲垣祥・米本拓司の2人のほうが上です。では何故椎橋慧也を米本拓司とほぼ同等レベルで起用していたのでしょうか。

【推論】選手は試合のなかで磨かれる

試合出場の機会のない選手が実力をなかなか示せないのは、今年の天皇杯ジャパン・サッカーカレッジ戦でわかると思います。もともとの実力がある選手であっても出場機会のないままでいきなりチームにはフィットしないし、成長もしないと、わたしは考えています。

実力が現時点では米本拓司のほうが上でも、成長させ、次の世代を育てる気持ちで椎橋慧也を起用していたのではないでしょうか。

同じことがいま、センターバックでも起きています。現時点の実力は野上結貴のほうが上なのは誰しも認めるところと思いますが、あえて吉田温紀が優先して起用しています。これは若い世代の選手が試合のなかで成長する可能性が高いからだと思っています。

ミスをして勝ち点を落としても、我慢して我慢して起用を続けています。今重点的に強化されているのが椎橋慧也と吉田温紀なのではないでしょうか。

目的は、世代交代の準備です。

【推論】ベテランのプライドへの配慮が足りなかったのではないか

記事を見つけることができませんでしたが、今年稲垣祥が全試合全時間ではなく、ベンチ入りしたにもかかわらず出場機会がなかった試合後のインタビューで「腹が立った」ということを語ったことが物議をかもしました。

米本拓司も昨年よりも少なめの出場時間になってきています。出場機会が少ない、という気持ちになってしまってもおかしくないでしょう。

特に実績のあるベテラン選手というのはプライドが高いのが当たり前です。理屈の上ではわかっても、それを「傷つけられた」と感じたとしてもおかしくありません。

【事実】米本拓司の談話

移籍発表から一夜明けた2024年6月28日、米本拓司からの談話がニュースで発表されました。

「前チームでは自分の実力不足もありあまり試合に出られなかった。その中で京都に声をかけてもらって、もう一回、自分自身の実力で試合に出るために、力になりたいと思って来た。」

「“力を貸してもらえるなら貸してほしいからぜひ、来てほしい”と電話で言われて“すぐ行きます”と僕も答えました。いきなり(電話が)かかってきて、いきなり決まったという感じです。」

答え合わせになりますが、やはり自分がチームの中心としてプレーをしたかった、という気持ちが強かったのではないでしょうか。

そして、プライドに配慮しながらうまく自分たちの起用の意図を伝えていく、ということを慎重にやるべきだったのかもしれません。

【事実】なぜ直接オファーになったのか?

まず、シーズン中ですので、米本拓司選手には名古屋グランパスとの契約が残っています。

契約の残っている選手についてのオファーというのは「他クラブ在籍プロ選手との契約交渉開始に関する通知書」を所属チームに対して出すことで成り立ちます

このオファーが来た場合、チームは選手に対して通知する必要がありますし、この通知以降は直接フットボールエージェント(代理人)や本人に対して直接交渉ができることになります。

チームはオファーを隠すことはできません(かつてユンカーがFKポデ/グリムトのオーナーにオファーを隠されたことで、チームと決裂したということがありました)

今回は実際に大熊GMからの直電で口説き落とされたということになりましたが、グランパスとしては正当な手段でアプローチされたら、それを受け容れるしかありません。

【事実】期限付き移籍のパターン

期限付き移籍(ローン)は、以下の3パターンで発生します

  • 1)【所属チーム主体】まだ契約が残っているが、なんらかの事情でこれ以上出場が見込めず、所属チームが活躍の場を代理人を通じて探す
  • 2)【選手主体】まだ契約が残っているが、出場機会などの不満がある。そこで代理人を通じて活躍の場を探す
  • 3)【相手チーム主体】戦力を補強したいがフリーの選手を獲得できない。契約が残っている選手を候補として交渉し、選手本人もその気になっている
    • 3a)所属チームが完全移籍では出したくない、しかし本人の意向を曲げさせても良いことはないのでひとまず期限付き移籍にする
    • 3b)相手チームが完全移籍で獲得したいが、移籍金で折り合わなかった。しかし本人の意向を曲げさせても良いことはないのでひとまず期限付き移籍にする

【推論】なぜ期限付き移籍(ローン)になったのか?

上記のパターンで言うと、現在でも3人しか専任のいないセントラルMFをチームが積極的に放出する理由はありません。ですから1)はありません。

また米本拓司選手が積極的に移籍先を探しているという形跡も見られず、2)でもありません。

となると、3)ということになります。

資金力のある京都サンガですので、3bがあるとすると、よほど別に高額な選手を獲得する予定があるのかもしれません。(既に1名獲得しています)

名古屋としては湘南ベルマーレから復帰させていることからも3aのセンもゼロではないと思われます。

わたしは3aなのでは、と信じたいです。

【推論】ではどうすべきだったのか?

世代交代を考えると、若い世代の選手を起用することは避けられません。

ですが、ベテラン選手のプライドをうまく配慮しながら起用のコントロールをすすめていくしかないのではないでしょうか

米本拓司はひとまずは期限付き移籍になりましたが、多く居るベテラン選手で同じ轍を踏まないようにしなければなりません。

それを心から祈っています

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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