mondへの質問回答になります。
ACL-Eのレギュレーションに合わせて、Jリーグも外国籍選手枠を緩和すべきか?
簡単に決められる話ではありません。たしかに先日のACL-E決勝でのFC町田ゼルビアの苦闘を見ていると「アジアで勝つために枠を広げよう」と言いたい気持ちはわかります。ただACL-Eのことだけでは決められない問題じゃないでしょうか?
現在のJ1は、外国籍選手のクラブ登録自体に上限はありませんが、1試合にエントリーできるのは5人までです。一方、ACL-Eには外国籍選手の人数制限がなく、1試合最大23人のエントリーが可能です。大会登録は最大35人で、List Aが最大25人、若手を対象とするList Bが最大10人。List Aには最低6人のホームグロウン選手枠が設けられています。
ACL-E制覇だけを考えれば、Jリーグの外国籍選手枠を広げるメリットはあります。
外国籍選手を多く起用できれば、国内リーグの試合強度や競争のレベルが上がります。ACL-Eで使いたい外国籍選手同士の連係も、普段のリーグ戦から深められます。過密日程への対応もしやすくなり、資金力のあるクラブはアジアの強豪と対抗できる戦力をそろえやすくなるでしょう。
現行制度のまま対応するなら、ご指摘の京都のように外国籍選手を9人程度登録し、Jリーグではその中から5人を選び、ACL-Eではより多く起用するという編成が現実的だと思います。
ただし、忘れてはならないのは、JリーグがACL-Eで優勝するためだけのリーグではないことです。Jリーグ規約にも、その目的として「日本のサッカーの水準の向上およびサッカーの普及」が明記されています。
外国籍選手の出場枠を広げれば、リーグ全体のプレーレベルは上がるかもしれません。その一方で、日本人選手、特に若手選手が公式戦に出る機会を失う可能性があります。
試合に出られなければ、練習だけでは身につかない判断力や試合運び、プレッシャーの中での経験を積むことができません。GK、CB、CFなど、外国籍選手が起用されやすく、同時に出場枠が限られるポジションでは、その影響が特に大きくなる可能性があります。
サウジ・プロリーグでは、クラブが外国籍選手を10人登録でき、リーグ戦では原則として最大8人を試合メンバーに入れられます。 その結果、リーグのプレーレベルや国際的な注目度は上がりました。
しかし、今回のワールドカップでサウジアラビア代表は2分1敗でグループステージ敗退となりました。
もちろん、この結果だけで「外国籍選手が多いから代表が弱くなった」と断定することはできません。代表チームの成績には、育成、指導者、世代構成、海外移籍など多くの要因があります。
ただ、外国籍選手の増加によって自国選手がリーグ戦に出られなくなり、代表候補となる選手が実戦経験を積みにくくなる危険性は、制度を考えるうえで無視できないと思います。実際、サウジアラビア国内でも、リーグの強化が自国選手の出場機会を奪っているという懸念は出ています。
つまり、外国籍選手枠の緩和には、次の両面があります。
メリットは、リーグの試合強度が上がること、ACL-Eでの競争力が高まること、国内選手が高いレベルの選手と日常的にプレーできることです。
デメリットは、日本人選手、特に若手の出場機会が減ること、資金力によるクラブ間格差が広がること、将来の日本代表候補が経験を積む場所を失う可能性があることです。
そのため、「ACL-Eが無制限だからJリーグも無制限にする」という決め方ではなく、メリットとデメリットを検証したうえで方針を決めるべきでしょう。
仮に緩和するのであれば、いきなり出場人数を無制限にするのではなく、「試合エントリーは7人まで広げるが、同時出場は5人まで」といった段階的な方法も考えられます。あわせてホームグロウン制度や若手選手の出場促進策を強化し、日本人選手の育成機会を守る必要があります。
結論としては、JリーグとACL-Eのレギュレーションが違うこと自体は受け入れてよいと思います。
現状では、京都のように外国籍選手を多めに登録して大会ごとに使い分けることが、ACL-E対策の現実解です。ただし、それには編成コストや、Jリーグでメンバー外になる選手の管理という難しさがあります。
外国籍選手枠を緩和する余地はあると思いますが、ACL-Eで勝つことだけではなく、「日本人選手がどれだけ試合経験を積めるか」「日本代表の強化につながるか」まで含めて議論するべきです。
リーグのレベルを上げることと、日本人選手を育てること。その両方を実現できる制度を探す必要があると思います。
