初勝利を得るには相性が悪いFC東京とのアウェイでの試合。順を追って良くなっただけに今節こそはと思ったが、難しい試合になってしまった。
うまく行きそうな時に一撃をもらうのがしんどいがそういう一撃を受けながら成長するしかない。
今シーズンはそんなシーズンになりそうだ。
試合情報
マテウスをもう一度というよりは永井を休ませられるか？という狙いで左にマテウスを入れた3421。
2節を終えて、ビルドアップの最初のスタートさえできてしまえばという名古屋。
一方で東京は3421から442に形を動かせるような流動性を持たせた形。
お互いCMFが2枚ということもありそのポジションの選手の振る舞いに注目が集まる。
開幕の再現
東京はセンターに蓋をする形、それは川崎戦と酷似していた。
開幕節でくらったセンターに入れるスペースが無い状況だった。
その返しの手段（中央を広げる手段）として両ワイドCBがいかに広がることができるか？を川崎戦ではポイントにあげた。
今節はどうだったか？
結論から言うと中央を広げるため、CMFが受けて先に進めるためを目的とするCBの広がり方はしなかった、というより出来なかった。
なぜ中央を広げられなかったのか？東京と名古屋の配置の絶妙な組み合わせの中に原因が存在する。
東京は安齋を内田に当てる形。
一方で名古屋はマテウスを白井に当てる形。
お互いのWBが逆側で押されている状況。
その影響で原は近い位置に内田が押し込まれて立っている。
逆サイドでは徳元がマテウスに詰まって高い位置は取りづらい。
右では押し込まれ、左では押し込んだ影響でWBとCBの立ち位置が相手の守備構造に対する返しをしづらい状況ができてしまった。
東京のIHが外側に張り出してこないので徳元がエヴェルトンの裏に立つ仕草を見せたが、マテウスのサイドの張り出しが初見の宮は徳元が避けで作ったスペースに運び出しをするような選択が出来なかった。
補足
おそらく神戸戦の時のように永井、徳元の位置の入れ替わりでサイドを使う想定を宮がしていた為、ワイドに運ぶ選択を取りづらかったと考える。初見のユニット（宮、マテウス、徳元）ならチームルールを優先するのは妥当。
2失点目が約束のアドリブ具合として教材になる。
保持の場面で白井vsマテウスが徹底されていた所で攻め終わる。
その後の守備の切り替え時、東京が低いところから始め白井が降りたタイミングで人対人の約束が突然ふわついた。
仕方なく徳元が奥まであたりに行ったが裏返された。
IH対CBの約束があっただけに宮が出ていく時は当然、徳元はスペースカバーも考えて奥までは行きたくない。
しかし、気づいた時には白井がフリー（この時の白井に対する守備の切り替え担当が今年加入組の浅野とマテウスだったのも運が悪かった。）徳元の自己判断に全て丸投げだった。
原因がわかった所で修正の余地はあったのか？と言う話になるだろう。
昨シーズンまでの選手は修正のプレーの選択肢はあった。昨シーズン詰まったら見られた形、椎橋がサイドにはけたり、稲垣が最終ラインに吸い込まれる形はわかりやすい。運べないなら押し上げてしまえば多少は楽だった。
この形も外側が分厚くなって中々持ちながら攻めるという事に関しては渋くなる。今シーズンは中で逃げないという目標を掲げていると難しいプレー選択にはなる。
しかし、外を厚くする事（中央の囲みから逃げる事）が持ちながら攻めるに直結しないわけではない。
時系列は逆になるが、先制されたシーンはわかりやすい。
椎橋は外回しとゲート作りの為に囲みから外れて稲垣→マテウス、山岸のゲートを空けた。
出せないなら稲垣が一つ運んだって良い形だ。逆サイドには原も待つ。
一つ運ぶだけで「苦しい」が「楽」になるポイントだった。この楽になる一つ運ぶというプレー選択肢が「中から攻められ無い」なのか「中央で逃げてない」に感じるのか？を統一する事が得点も失点も減らす事につながる。
結果的には統一されてないが故に仕方なく無理した椎橋が割りを食った。
リスク計算と割り切りの東京with小泉
これだけ悩んだ名古屋に対して東京はどうだったかというと割り切りとリスクの計算のチームだったように見える。
東京側は高が中央にどっしり構えて小泉との位置の関係性は稲垣と椎橋に比べて前向きに縦関係が強い。
2CMFが縦関係になれるのは、名古屋が人対人にしている分スペースがある事も関係しているが、前に立つ事で人対人でもよりスペースのギャップが生まれる。
その上、プレスがハマりそうになると小泉までが最終ラインに向かって走り込んで割り切って盤面を押し返してしまう。
前線3枚が最終ラインを噛み合うだけに＋1で小泉が奥を取るかもしれない匂いをピッチに置いておく事は効果的だった。
守備に関しては、名古屋側にとって佐藤を筆頭に左サイドの守備が意外に厄介だった。
立ち位置としてはあまり特殊ではないが、「外の縦向きしか進行させない」という結果的に内側のルートを切るような形が強調された。原が負傷したシーンも佐藤が絶対に中を経由させない追い方をした上で小泉も中を切って立つ。原、内田といった剥がしやボールコントロールに自信があるような選手にとってはかなり苦しい相手となった。
苦しい場面が変わったのは和泉、内田、浅野になってから。ビルドアップの最中に和泉が佐藤に絡むことで外側のプレッシャーが減って内田（CB）が楽になる。佐藤が外に出ていくのが遅くなる。これを見ても相手のIHの振る舞いに困っていたのがわかる。
つぶやき
- いい意味で球離れが悪い（ボールを持つことを苦にしない、時間を作れる）選手達が今シーズンのジャッジ強度に苦労している。その選手達が「持って攻めよう」を担っている所が中々しんどい。
- だからこそ今シーズンの取り組みの完成が100でなければといけないのはチームもしんどい。選手もクオリティが100になる助けをチームに頼ってばかりではいけない。どこまで選手達も伸びることができるか？チーム全体が勝負の年。
- 保持率も高く山岸も復調感あるだけに何とかなりそう感の隙間に喰らう一撃で絶望より世知辛い感の方が降りかかる。
