三國ケネディエブスのジェットコースター
こんにちは、ken44です。
突然ですが、昨季グランパスの中で最も成長した選手と言えば、誰を思い浮かべますか?そうです、三國ケネディエブスです。異論は認めません。
しかし今季、彼は開幕から4試合連続でフル出場を果たしたものの、チームの不調とメンバー選出の試行錯誤が重なり、その立場は不安定になりつつあります。第5節ではスタメンを外れ、今季初勝利を収めた第7節と2勝目を挙げた第8節ではプレー機会がありませんでした。さらに第10節では久しぶりに後半から出場するも、スライディングを躱されて失点に直接関与。監督から名指しで苦言を呈される場面もありました。
この発言が個人技術や戦術、またはマネジメントやモチベーション維持・向上の観点から適切であったかどうかをここで論じるつもりはありません。しかし、三國選手が加入後最大の壁に直面している印象を受けます。SNS上の評価も不安定なパフォーマンスに対して辛辣であり、シーズン当初からの出来に対する厳しい声が多いようです。
そんな中、迎えた広島戦ではジャーメイン良とのマッチアップを無事にこなし、勝利に貢献しました。一安心ですね。
あの選手との苦い記憶
ポテンシャルを評価されて加入し、そのシーズンは上々の出来を見せたものの、壁にぶつかり停滞――この状況を見て、1年前に似た事態が起きていたことを思い出さずにはいられません。
そう、久保藤次郎です。彼は2年前の夏に移籍加入し、マテウスの移籍後に苦境に立たされるチームにとって、一筋の光となる存在でした。しかし、昨季は不調に陥り出場機会が減少。夏にはレンタル移籍を経て、今季初めには完全移籍という道を選ぶことになります。
当時の久保選手に対するSNS上での評価も非常に辛辣でした。グランパスのスクール出身で、クラブへの強い思いを持つ選手だった彼との別れが、後味の悪いものとなったのは、苦い記憶です。
自分が部活生の時は・・・
話が少し脱線しますが、皆さんは学生時代、部活で何かスポーツをしていましたか?ちなみに、私はバスケットボールをしていました。
もしスポーツ経験がある方(特にチームスポーツ)なら、自分や仲間の経験を思い出しながら、次のことを考えてみてください。
「下級生が試合に絡み始めるきっかけは何でしたか?」
答えは人それぞれでしょう。また、私の経験したバスケットボールは「交代による選手の入れ替えが極めて緩い」という点でサッカーとは性質が異なりますが、私の答えはこうです。
「一芸に秀でた選手が、それを期待されて試合に出る。」
共感してもらえるでしょうか?
例えば、
「お前は体が大きいから、この5分間リバウンドを全力で取りに行け」
や、
「シュートは下手だけどディフェンスが得意だから、5分間守備に集中しろ。点は取らなくていい」
というような状況です。
要するに、1つ光るものを持つ選手が指導者にその才能を見初められ、
- 限定的な責任範囲で出場機会を得る
↓ - 試合に出場することで学びを得て、成長する
⇅ - 「一芸」に対する期待をクリアする
↓ - 責任範囲が少し広がる
※タスクが増え、一時的にそれを消化できず停滞する場合もある
↓
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こうしたサイクルを経て、気が付くと主力選手になっている――そんな成長過程があるのではないでしょうか。
そういえば、アイツもそうだった
昨年のケネディも同じだったのではないでしょうか。確かに粗削りな部分はありました。しかし、対人守備能力やフィジカルの強さに光るものがあったため起用され続け、ハ・チャンレとの競争を制してポジションを確保しました。
そして今年、その分プレーに対する要求の水準――「期待」と言い換えても良いかもしれません――が高まる中で、彼は少し壁にぶつかっているのかもしれません。
久保も同じです。加入当初はスーパーサブとしてドリブル能力を存分に発揮していたものの、次のシーズンにはプレーに迷いが見られるようになり、出場機会も徐々に減少していきました。
私たちは忘れてはいけません。消化試合で失点につながるミスを犯し涙を流していた選手が、2年後には最終ラインの要となり、海を渡っていった例を。
挫折し、それを乗り越えるという経験は選手の成長にとって不可欠な要素ですね。
それも含めて愛する、ということ
現在のグランパスは11試合を終えて11ポイント。意気込んでスタートしたシーズンは、思い描いていた形とは違った展開となっており、不満や焦りを感じるのも無理はありません。このような状況下で、出来が悪かった特定の選手が批判の的となるのは、避けがたい面もあるでしょう(肯定はしませんが)。
もちろん、選手に対して厳しい視点が不要だとは思いません。ただ、「今はもがいている時期だ」と理解した上で厳しく評価するのと、感情に任せて糾弾するのは似て非なるものです。
例えば、ある試合で特定の選手の出来が悪かった場合、外部の第三者はその試合を「点」で論評しがちです。
しかし、我々サポーターは「ここまでどんな経験を積み重ねて今があるのか」という「線」の視点で捉える立場にあります。それにもかかわらず、短絡的に「点」の視点で選手を批判し、「次はやり返そう」という意欲を削いでしまうのは本末転倒です。それは、選手が成長するクラブのサポーターとしてあるべき態度とは言えません。
何より、繰り返しになりますが、それは私たち自身にとっても後味の悪い結果を招きませんか?
私はもう、第二の久保藤次郎のような経験をしたくありません。そして、藤井陽也の時のような素晴らしい思い出を、これからも何度でもグランパスと共有していきたいと強く願っています。