グラぽ

名古屋グランパスについて語り合うページ

メニュー

グランパスファミリー的「ゆく年くる年 2020」

はじめに:ご挨拶

皆さん、こんにちは。ken44です。

先日、「シーズン通してのレビューを書いてみないか?」とのお誘いを受け、筆を執ることにしました。とは言っても、あくまで1サポーターが、1年を通して(主にピッチ外で)印象に残ったこと、それについて自分なりに考えたことを、つらつらと書いていくだけです。職場や仲間で忘年会をしたり、あるいは親戚で集まったりするのを躊躇っている方が多いと思います。そんな皆様に、少しでも暇つぶしのネタを提供できれば幸いです。

別れ、出会い、そして再会

グランパスファミリーの2020年は、バンディエラ候補であった和泉竜司の移籍というショッキングな「別れ」から始まった。彼の移籍に対して多くの人々が悲しみ、怒り、あるいは「もう他人だから」と関心を失ったふりをした。しかし、別れがあれば新たな「出会い」そして時に嬉しい「再会」があるのがこの世界である。稲垣祥、山﨑凌吾、阿部浩之、オ・ジェソク。石田凌太郎、三井大輝、吉田晃。そして、マテウス、相馬勇紀、金崎夢生、秋山陽介(ここに金井貢史を加えられないのは悲しい)。特に阿部や稲垣は、和泉退団の喪失感を埋めてしまうほどに、ファミリーの心を掴んだように感じる。彼らの貢献がどれほど大きなものををもたらしたかについて異論はないだろう(そして具体的にどう素晴らしかったのか?については優秀なレビュワーの皆さまが書いてくださるはず)。

https://twitter.com/dazn_jpn/status/1282274981381115905?s=21

そして来季に向けて、現時点(12/26夜)では太田宏介と千葉和彦の退団、そして柿谷曜一朗、木本恭生の加入が発表されている。選手登録の枠や報道を見る限り、別れはまだまだ覚悟しなければならないだろう。今オフも「別れ」を惜しみつつ、「出会い」や「再会」への期待に胸を躍らせて開幕を待ちたい。

そして、「別れ」とくれば、外せないのがパロマ瑞穂スタジアムだ。

少しだけ自分の話をさせてもらうと、自身の都合や入場制限のために、おそらく今季瑞穂に赴くことは不可能であろうと考えていたが、奇跡的に(具体的に言えば、どうしても名古屋に戻らなくてはならない要件が複数あり、かつそれが瑞穂で試合のある日と連続しており、さらに試合が行われる時間帯は自由だった)大分戦を観戦することができた。

確か5年ほど前だったと思うが、初めに移設/改修の話を聞いた時には「へえ。まあ古くなったしね」くらいの気持ちであり、正直に言えば夏くらいまでは現実味が湧かなかった。しかし次第に終わりが近づき、「残り〇試合」と煽られれば、あの古く、狭く、不便なスタジアムでも愛おしくなるものである。「#ありがとう瑞穂」と共に皆さんが発信する思い出を見ながら、僕も自分の記憶を振り返っていた。言われてみれば9年前、自分のグランパスとの「出会い」も瑞穂でのことだった・・・。

しかし、名古屋グランパスが誕生して28年。ファミリー=家族は随分と増えた。それに対して瑞穂というホーム=家は、たくさんのファミリーが集うには随分と手狭になってしまった。

永遠の別れではない。長年の疲れを癒し、また新しい歴史を刻んでいくための準備をするだけだ。6年後にまた「再会」できる。だから今は。

「またあなたに会えるのを、楽しみに待って・・・さようなら!」

https://twitter.com/ken44aau/status/1337674071639670785?s=21

コロナ禍とグランパス、そして私たち

また、今季を振り返る上で、コロナ禍がサッカー界にもたらした影響について考えないわけにはいかない。

サッカー界に限らず、「この危機を皆で乗り越えよう」という主旨の言説を目にすることが多い。それ自体は間違っていないと思う。一方で僕は、「辛い思いをした分、人は強くなれる」といった考え方があまり好きではない。「辛い思い」を押し付けることを正当化する者、思考停止した者の常套句だからだ。ガールズデーで配布されたユニフォームの背中を飾ったエア・アジアは日本事業からの撤退を余儀なくされ、オ・ジェソクは現在(12/27夕方)退団が噂されているが、もしそれが現実のものとなれば彼はこのまま一度もスタジアムで自身のコールを聞かないままチームを去ることになる。何がどうひっくり返っても、コロナ禍のために失ったもの、そして「明治安田生命J1リーグ2020シーズン」が戻ってくることはない。残酷な事実を前にして、そんな空虚な言葉は何の慰めにもならない。少なくとも、「辛い思い」の末に得たものがあったとして、それは明らかに失ったものと釣り合っていないのである。

では、私たちにできることは何もないのだろうか。

いや、そんなはずがない。そんなことがあり得ていいはずがない。

今シーズンを振り返って改めて感じたことの1つが、私達自身の当事者意識の重要性である。

例えば、今シーズンのとあるホームゲーム。グランパスの快勝の一方で問題視されたのは、試合後のサポーターの振る舞いだった。選手が場内を周回する際に柵の近くに密集し、結局密を作ってしまっており、Twitter上ではそれを良しとしない多数の声が上がった。またそれがクラブにも届いたのか、次の試合ではすぐさま着席ルールについての再確認と呼びかけが行われ、またサポーターもそれに協力した。「新しい観戦様式」の下では、私たちの意識やモラルがより問われることを思い知った出来事である。

より前向きなものに目を向ければ、「#リアクアさんに洗えぬものなどない」というハッシュタグがそうだ。マスコット総選挙の際に、スポンサーであるリアクアさんがくだらない言いがかりを受けたことがきっかけであったと記憶している。いつしかそれは様々なキャンペーンを通してスポンサーとTwitter上のファミリーの合言葉となり、果てにはクラブそのものを巻き込む波を起こした。(※筆者は結局タンブラーは当選しなかった。)そういえば、昨年の日産スタジアムでの「ロッソジャッロギャラクシー」もサポーター主導だった。ピッチ上で戦い、勝つために努力をするのはあくまでも選手たち。しかし一方で、応援はクラブの財産になる可能性を秘めている。(参考:https://grapo.net/2019/04/16/9591/)

サポーターがクラブの価値を、自身の応援物語を創る。~私がロッソジャッロギャラクシーを扇動した理由~

全てのサポーターが私財と時間を以てクラブに奉仕するべきだ、と言いたいのではない。僕が言いたいのは、ちょっとした気遣い、ちょっとした行動で、名古屋グランパスを、スタジアムを、より快適でより魅力のある空間に変えていくことは不可能ではない、ということだ。

さらに言えば、コロナ禍は私たちが何の疑問もなく享受していたサッカーのある日常が、突然(それも思った以上に簡単に)揺るがされ、失われうるという事実を私たちに突き付けた。そのような状況の中で、過剰な受け身の姿勢を捨てることが求められるのかもしれない。全員が「消費者」であるだけでは、大好きなサッカーを守れない。

もう1つの栄誉

ピッチ外の成果として、観客動員にも触れたい。今シーズンのグランパスはリーグ戦17試合でのべ145,472人の総入場者数を記録し、これはJリーグの全チームの中で最多となった。入場者数最多はチームとしては2度目で、1度目はアーセン・ヴェンゲル監督がピクシー、小倉隆史らを擁するチームを率い、天皇杯を制して初タイトルを獲得した1995年まで遡る。

もちろん、今年のグランパスにもたくさんの愛される選手、素晴らしい能力を持った選手がいた。しかし、当時のピクシーほどのスター性、カリスマ性を備えた選手がいるか?と問えばノーだろう。残念ながらイニエスタが所属しているのはグランパスではなくヴィッセル神戸である。そのように考えれば、「普通の選手たち」のチームが掴み取った栄誉であり、1995年とはまた違った意義を持つ。

さらに、他にも意義があるとすれば、「声を出せなくてもスタジアムが埋まった」ということかもしれない。かく言う自分自身も、普段であればゴール裏で跳ねてチャントを歌っている人間だが、それができない状況で、それならスタジアムにわざわざ行く必要はないか、と考える層が一定数存在したはずだ(少なくとも筆者は一定数そうした声を聞いた)。しかし蓋を開けてみれば、そんな懸念はどこへやら。クラブがここまで取り組んできたことは間違っていなかったのだという証明の1つになったのではないだろうか。声は出せない、それならばとGLAPという「共通言語」で圧倒的なホームの空気を生み出した。

確かに、長い中断期間と無観客試合が明けた反動、そしてチームの好調あるいは終盤の薄氷を踏むような順位争い、といった要素はあった。しかし少なくとも前者は全チームに対して同様の条件であり、また豊田スタジアム一本ではなくキャパシティーの小さいパロマ瑞穂スタジアムも使いながら、という(集客面では)マイナス要素を抱えている。

むしろ、集客に関わった全てのスタッフ、ボランティアそしてスポンサーの皆様に「ありがとう」そして「おめでとう」と伝えたい。これは紛れもなく、長い時間をかけて信頼を蓄積し、万全の感染防止策を講じた上で「次も、何度でも行きたい!」と思わせるような仕掛けを追求し続けたクラブの勝利だ。

おわりに:期待、そして感謝

2020年、グランパスはリーグ戦3位という戦績を収め、ACLへの挑戦権を掴み取った。また入場者数1位という別の誇るべき結果も得た。

不安はある。あの物理的な意味で「密」なスタジアムはいつになったら戻ってくるのか、今でも不透明。コロナ禍による社会の停滞がさらに長期化するようであれば、今年かなり無理をして支援してくださったであろうスポンサーとの関係も安泰とはいかないかもしれない。チームは二足の草鞋を履く負荷に耐えられるだろうか・・・?

しかし、それを上回るのが期待だ。2021年、私達を待ち受けるのはどんな「出会い」なのだろう。久しぶりに挑むアジアの舞台で、どんな物語が生まれるのだろう。名古屋グランパスは、私たちにどんな景色を見せてくれるのだろう。そしてその一部は、既に述べた通り僕たち自身にかかっているのかもしれない。今は想像の域を出ないが、悪い事ばかり考えても仕方がない。

また、今年1年お付き合いくださった皆様に感謝を申し上げます。

特にTwitterが荒れた時(主に負けた後ですが)綺麗事のようなことばかりを抜かしている割には僕自身が毒を吐きたくなるようなことも少なくありませんでしたが、その度に皆さんのポジティブさに救われたり、時にはクスリとさせてもらったり、あるいはたしなめてもらったりと、色々な形で救われました。心の底から感謝しています。

また、まさかあのグラぽページで自分が文章を書く機会をいただけるなんて、今でも不思議な気分です。僕は戦術論や技術論の話は当然できませんし、Jリーグ開幕当初からチームを追っているわけでも、別の特定の分野に詳しいわけでもありません。これといって特徴のない、ただの1ファミリーです。新しい情報を何一つ与えられていないにもかかわらず皆さんから反応をいただけた時は本当に嬉しかったですし、何より皆さんに思い出を振り返る機会や話のタネを少しでも提供できたのであれば、これ以上のことはありません。

2021年もスタジアムに、日本に、アジアに、そして私たちの心に、名古屋の風が吹き荒れることを願って。

皆さま、良いお年を。

ken44 @ken44aau 

在りし日の瑞穗

About The Author

ken44
赤鯱さんと赤イルカさんな東京世代。関西住み。アウェイゴール裏中心。ユニ歴は36/17 #grampus #DORED
Follow :

Leave A Reply

*

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE