監督コメントで対戦相手の監督であるミシャが気にする言葉が出るくらい、ガンバのメンバーには疲労感があった。ぶっちゃけ、タイミングと順位状況的には非常にありがたい日程での試合となった。
ただ、疲労感よりも気になる戦術の噛み合わせもいくつかあったので、そこを中心に振り返る。
試合情報
- 2026年5月06日
- 名古屋ーG大阪:2-1
- 天候/気温/湿度:曇り / 19.9℃ / 79%
- 主審:高崎 航地
噛み合わせの重要性
ガンバにとって、3トップが守備でどうふるまうかという問題がまず先行する。稲垣が下がって4枚振る舞いは相変わらずの中、南野が基本は2度追い。それのカウンター的な形でシュミットが加わる所からスタートする。奥抜と山下が藤井、徳元に行くか行かないかのせめぎ合い。宇佐美が高嶺に張り付く形で、ボランチ2枚を浮かせてIHを消す形になった。
両脇のCBやSBに対してのプレッシャーが保持時は遅れるので、キャリーで出し手の角度がつけやすかった。
基本はこのいつも通りの展開を使いながらではあるが、7分23秒からのように稲垣が下がらない形の方が、ガンバとしてはSHの所の守備がファジーになる印象が強かった。この場面では、稲垣を外して南野が出ていくと、山下は徳元-稲垣の2択になるので、このタイミングでは原についている奥抜のように決め打ちで当たりづらい。実際はボールサイドの奥抜が原に決め打ちした事で、稲垣が下がらない形を取って逆サイドのSHの守備の所を曖昧にさせている。
ここでは前が制限できていないので、木村の縦幅を取る動きにSBが反応してCB(中谷)がスペースに反応している。しかし本来は、ボランチかSHが絞って中谷が出ていったスペースを消したいのが安牌な動きだ。今回の場面はSHがボールサイドの大外の選手のキャリーを嫌がって、ガンバの守備が2か所(逆サイドのファジーさ&中央のゲート)いびつな形になることとなった。
👍point
「4-1-5だし、宇佐美で高嶺見てボランチがIHの降りるところ見ておけば、SHが遅れて外に出ても縦を切れるしいいだろ!」が、恐らくガンバとしては事前の分析。
実際、大外から一列キャリーする事はサイドの守備の鉄則として「縦を切られ」てしまうはずなので難しい。そこでサイドを変えてきたときにプレスしてやろう! こう考えるのが自然な流れだ。
ここでガンバが予想外だったのは、稲垣が「降りる必要が無い」と判断した事と、シュミットが「逃げ口としてビルドアップに参加した」事。この2つの要素で「逆サイドでやり直しにプレスする」が機能しなくなった。
中谷のカットが流れた先の中山がフリーだった事、そしてそもそも中谷があそこでチャレンジしなければいけなかった事も、稲垣があそこまであの速さで前に入れた事も、元をたどれば「奥抜が原に早く出ていった」所が始まりだ。実際、あのタイミングまで奥抜は山下と同じような立ち位置で、藤井から原に持たれる所で動いて勝負の回数の方が多かった。
(実際こういう守備の戦術の決め打ちの所の速度感や判断のエラーの原因が、ガンバ的には疲労だったのだろうな、という同情はあるものの。)
個人的な想像でしかないが、2センターが降りない形やGKが最終ラインに吸収されている形は、前節の長崎戦のメンバーが「相手をみて形を選択する」所で試行錯誤していたポイントだった。長崎戦から繋がって完成したものであれば、勝負以外の意味でも長崎戦の価値は本当に高いものになったと思う。チームの物語の台本としても、そうであってほしいと願う。
相手守備から考える
ガンバの守備の出方の所は、10分37秒からの辺りが色味が強い。サイドのスローインからになるが、ボールサイドの大外の徳元に山下が出ていって、名古屋は逆へ流す展開。「稲垣と高嶺の所は宇佐美が根性でスライド。南野が2度追いで逆サイド」の形で、原に入るか高嶺かの所だ。
ここも宇佐美が高嶺消しながら右からスライドするので、南野も宇佐美も稲垣を気にする必要は本来は無い。キャリーコースも前から2列で消えている。しかし、南野が稲垣を気にして、藤井とシュミットの2度追いの所が機能しなかった。
守備構造上、プレッシャーをかけるタイミングがここではないのなら、この後、南野の代わりに宇佐美が出ていく事はしないと考えるのが自然だ。なので、守備の仕方としては逆サイドのやり直しでプレッシャーをかけたいのが正しいはず。しかし、南野が遅れて宇佐美が出ていく「一連のズレ」で、奥抜は出ていくタイミングが遅れた。
サッカー雑誌等でも「整理」や「原則」という言葉で表現されるガンバにとって、こういった「約束事や枠組みのガタツキ」が発生しているのは、この試合の守備の難しさを表しているのかもしれない。
原則のガタツキに加え、噛み合わせの所でSBに出ていくのをSHが遅れる事の具合の悪さが出たのが、17分19秒からの場面だ。プレスがハマったものの、そもそも守備の約束がSBにはSHの噛み合わせのようにしていた17分間から一変し、SBまでのスライドは間に合わないマンツーマンハイプレスの展開となった。初瀬が原に出ていって、美藤が外まで出ていくが間に合わず、浅野に前進を許した。
名古屋のエラーからプレスをかけたものの、これも守備基準の「逆サイドに流れるタイミング」ではあるものの…案件。原則としてSHはSBに出ていける条件下での守備機会のスイッチからは外れた条件で始まる守備だった。
守備の形の切りかえと攻撃の形
ガンバはプレスがハマらなくなったこの時間を境に、宇佐美がCBまで出ていって、奥抜、山下が明確にSBに出る守備に変更。センターの1枚の所は美藤が前に出てくる形に変更する。この形で名古屋としては地上戦が途端にやりづらくなる。25分以降、追加点まではガンバが押す時間が続いた。
守備の形だけでなく、宇佐美がCBの奥を取る動きや、美藤-高橋が縦関係も増える中で、マンマークの名古屋はマークにつきながらポジションの大きな移動(ポジション入れ替え)も必要になった。
追加点はこれまた、ガンバの守備変更の裏返しだった。通常はボランチが埋める中央。ハメに行った形から長いボールで大外に出された事で、4バック外にDFが釣り出され、美藤は最終ラインのカバーに入る。普段埋まっている所に人がいない。美藤も必死にラインを上げ直すものの、スライドは間に合わない。「クロスを上げてください」というコースがぽっかり空いていた。
攻撃のツボを押さえながら
ミシャが「守備の為の交代じゃねえ!」とインタビューにもあったが、後半は途中から5-3-2に切り替え。「ガンバがハイプレスでボランチ縦関係にするなら、高橋の両脇に選手立たせる形にしたいな」の3センター。甲田もIHポジションとって原を上げる形も。「4バックでSBが出てくるなら、永井で裏も取れるしな」と、ガンバの守備の枠組みのツボを押さえる選手投入。
追加点を取った後は5-3-2でのんびり、と行きたかったが、見事に惜しいフィニッシュが続いて、最後は攻守で孤軍奮闘していた美藤にご褒美ゴールを決められフィニッシュとなった。
試合雑感
- ミドル前の稲垣の立ち位置もだが、その後の10分55秒からの稲垣のポジションの取り直しも滅茶苦茶憎い。
- 構造上、相手が守備に付き合ってこれば大外の縦裏が確実に空く事が約束された中での浅野の起用。瑞穂の杮落としの時のヘディングで見せた短い距離の縦の抜け感や、ロングスプリントの強みが要所で出る試合となった。
- 地味に「自分のマークを押し出したらセンターに加わる」を繰り返していた和泉の役割は助かった。こういう役割+αができているマンツーマンの時は、スペースを気にしなくていいので後ろも負けない。
- 美藤が2人いたら試合展開変わってただろうな、というぐらいに、攻守であり得ない量のタスクをこなしている印象が対戦相手側からは強かった。
最後に
90分勝利のため、600万円追加。第15節終了時点で、
今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く):5600万円
TIPS:2026年4月の特殊詐欺2件の被害額が、両方約5600万円だったそうだ。
「ストップ!特殊詐欺」:





