
2026/27シーズンも10試合が終わりました。シーズンも26%が終わったこともあり、この時点で見えてきた名古屋グランパスの各ポジションの要件=満たすべき条件を整理してみましょう。
GKの要件
ビルドアップ(攻撃)
- 最後尾の出し手として数的優位に加わること
最終ラインは3バックですが、相手の1トップや2トップに対してGKを含めた4人でボールを回す場面が多く、GKはCBの1枚に近い扱いです。 - プレスを受けても落ち着いてボールを持てる足元
相手のプレスは、GKが関与して剥がすのが前提です。ここで蹴らされると、ウイングバックやシャドーを高く上げた配置が活きません。 - 左右のCBが開いたときの中央の受け手になること
CBが幅を取ると、GKの前に空いたスペースができます。GKはそこへのパスコースの確保や、ボランチへの縦パスの判断を担います。 - ロングフィードの精度
相手が前から捕まえにきたときに、逆サイドのウイングバックやシャドーへ対角に蹴る選択肢が必要です。ショートで繋ぐだけでは相手に読まれます。
グランパスに来て、ミシャが一番変えた部分がここなのかもしれません。たとえば西川周作選手は正確なキックで前線に直接ボールを届けていましたが、ピサノアレクサンドレ幸冬堀尾やシュミット・ダニエルはCBと同じラインで攻撃の組み立てに参加するようになりました。
ロングフィードの精度ではピサノが、プレスを受けた時の落ち着きはシュミット・ダニエルのほうが上回っているように見えます。
守備
- 広い守備範囲とスイーパー的な動き
ミシャ式は最終ラインが人を捕まえにいくため、DFが前に出た背後にスペースができます。GKはその裏へのボールに対して、ペナルティエリア外まで飛び出して処理することを求められます。 - ラインの高さに合わせた立ち位置
常にボールの動きとラインの位置を見て、高めのポジションを取る必要があります。ラインが高いのにGKが深いと、間延びして中盤が空きます。 - 裏へのボールに対する判断の速さ
出る、出ない、クリアかキャッチかの判断が遅いと、そのまま決定機を許します。 - 1対1とカウンター対応
数的不利で守る場面が出やすい形なので、シュートストップに加えて、1対1での間合いの詰め方やコースの消し方が重要です。 - ラインの統率とコーチング
マンツーマンの受け渡しは、DF間の声だけでは整理しきれません。全体が見えるGKが、マークの受け渡しや押し上げの指示を出します。
いわゆる一般的なゴールキーパーのスキルです。シュートストップやハイボール対応などで、わずかにシュミット・ダニエルのほうが上を行っているように思います。
サイドCBの要件
左右のサイドセンターバックはセンターバックとサイドバックを両方兼ね備えた役割を果たす必要があります。
ビルドアップ(攻撃)
- 幅を取って開くこと
ボールを持つと、左右のCBはサイドに開いて相手のFWとの距離を広げます。中央のCBとGKだけでなく、サイドCBが開くことで、ボランチやシャドーがパスを受ける間のスペースができます。 - ボールを持ち運ぶ力
相手の1列目のプレスをドリブルで越え、そのまま相手陣内まで運ぶことが期待されます。高い位置まで上がれるかどうかで、ウイングバックやシャドーとの距離が変わります。 - 縦パスと対角のパスの質
ボランチやシャドーへの縦パス、逆サイドのウイングバックへのロングパスが武器になります。左CBは左足、右CBは右足で蹴れる選手が基本で、利き足と配置が合っているとキックの角度を作りやすくなります。 - 攻撃参加の判断
ウイングバックの内側を追い越すインナーラップや、サイドでのオーバーラップに関わる場面があります。出ていくタイミングと、戻れる距離の判断が必要です。
この中で一番重要だと思っているのが「ボールを持ち運ぶ力」です。序盤左CBに徳元悠平が起用されていた理由と、高嶺朋樹が起用されている理由もここにあります。右CBでは原輝綺も野上結貴もできます。ウイングバックが比較的高い位置をとることがを多いのでそこに届けられる位置までは持ち運べないといけません。
サイドCBの原も徳元も高嶺も、たとえばセレッソの横山夢樹のような抜いていくドリブル(レガテ)ができるわけではありません。パスでもドリブルも使い分けながら前にボールを持ち上がることが求められます。ここ数試合で目立つのが、焦って前に無理目のボールをつけるのではなく、最終ラインの3人とサイドCBの2人でパスを回しながらなんどでもやり直して相手の隙ができることを待てるようになったことです。それができるだけの落ち着きも重要な要素と考えられます。
高嶺・原・徳元が得意なのはビルドアップ段階でのドリブル(運ぶドリブル/コンドゥクシオン)です。これは、「相手を動かし、味方を動かし、パスコースを創り、前進の確率を上げる」という効果を持ちます。
ボールを持った選手が前に出てくると、相手の誰かがそれを止めに来なければなりません。止めに来た選手がもともと見ていた味方がフリーになるので、そこへパスを出せば前進できます。パスだけで回していると相手は待って構えていられますが、運ぶ選手がいると相手の守備に判断を迫ることができます。
もう一つは、パスの角度が変わることです。少し前に運ぶだけで、それまで通らなかった縦パスのコースが開く場面があります。
ミシャ式では、左右のCBが開いて高い位置まで運ぶことが前提になっています。サイドCBが運べないと、ボールが最終ラインで横に回るだけになり、ウイングバックやシャドーを高い位置に置いた配置が活きません。相手が前からプレスに来たときも、パスの出しどころを消されてしまえば、蹴って逃げるしかなくなります。
チームの調子が良いときはサイドCBの2人のポジションが高くなります。DAZNのハーフタイムや終了後に表示される平均ポジションの図を見てみるとなるほど、と思うはずです。
守備
- 広いエリアでの対人対応
ミシャ式の守備は、ボールを奪いにいくためにサイドCBが前に出ます。相手のFWやサイドの選手に付いて、ペナルティエリアの外まで出ていく場面が多くなります。 - 背後のスペースのカバー
ウイングバックが高い位置を取るので、その裏のサイド(ハーフスペース)を埋めるのもサイドCBの仕事です。ここを使われるとカウンターで一気に危険な形になります。 - 1対1の強さとスピード
数的同数で守る形になりやすいため、対人で負けないことと、裏に出されたボールに戻れる脚力が求められます。 - 中央CBとの距離感とスライド
ボールが逆サイドにあるときは、中央CBやGKとのバランスを見ながら絞ります。距離が離れすぎると、ライン間にスペースができます。 - 5バック化したときの対応
守備時にウイングバックが下がって5枚になる形では、サイドCBが相手のウイングやサイドバックの受け渡しを担当します。
サイドCBはかなり上がることになりますので、裏を取られてしまうとすぐにピンチになります。広いエリア、背後のスペースだけでなく自分が上がったときのリスクマネジメントが重要になります。
野上結貴WBがハマっているのは、野上もサイドCBができるため、ポジション的に入れ替わって動くこともできるし、CBがどういう動きをして欲しいのかを理解しているから気配りが素晴らしいからではないかと思います。
中央CBの要件
ミシャ式の3バックの中央に置かれるCBは、サイドCBが前に出て相手を捕まえにいく分、後ろに残ってバランスを取る役割を担います。ゴールキーパー、中央センターバック、セントラルMFの3枚で最終ラインを構成します。攻撃では、最終ラインから前線へボールを渡す中継点になります。
ビルドアップ(攻撃)
- GKとボランチをつなぐ中継点になること
左右のCBが幅を取って開くため、中央のCBは最後尾の中心に残ります。GKからボールを受けて、サイドCBやボランチへ散らす判断が求められます。 - 縦パスで相手の1列目と2列目の間を通す技術
相手のFWが2枚なら、その間から前に出すパスで、プレスを剥がします。ボランチやシャドーへ縦に入れられるかどうかで、攻撃の速さが変わります。 - プレスを受けても落ち着いてボールを持てる技術
相手のFWが寄せてきても、1タッチで逃がすか、運んで外すかの判断が必要です。足元の技術が低いと、GKを含めた最後尾の数的優位が活きません。 - ボランチとの位置関係の調整
ボランチの1枚がDFラインに降りてくる形では、中央CBの立ち位置も動きます。お互いに被らず、縦のパスコースを塞がないよう調整します。
守備
- 背後のカバーリング
サイドCBが前に出て相手に当たるとき、その裏のスペースを埋めるのが中央CBです。出ていく選手の位置を見ながら、自分がスライドして空いたところに入ります。 - 広い範囲の守備範囲とスピード
ラインが高く、裏にスペースができやすいため、裏へのボールに対応する脚力が求められます。GKとの距離感を保ち、ボールを先に処理する判断が必要です。 - 空中戦と対1トップの対応
クロスやロングボールの競り合いは、中央CBの仕事です。相手の1トップを1人で見る場面も多く、競り負けないことが前提になります。 - ラインの統率とコーチング
最終ラインの押し上げや、マークの受け渡しの指示を出します。GKと並んで、後方から全体が見える立場にあります。 - サイドCBとの連動
サイドCBが飛び出したときにすぐカバーに入り、戻ったらまた形を整えます。この連動が崩れると、2枚の間やサイドの背後を使われます。
補足
サイドCBは運ぶ力や攻撃参加が評価されやすいのに対し、中央CBは判断と配球、守備の統率が中心になります。浦和で中央CBに入った那須大亮が、高さと対人の強さ、ラインの統率などでモデルになるかもしれません。
ウイングバックの要件
ウイングバックの基本的な要件
ミシャ式のウイングバック(WB)は、攻撃ではサイドの幅を一人で担い、守備では最終ラインに下がって5バックの一角になります。ピッチの縦を往復する運動量が前提で、攻守の切り替えのたびにポジションが大きく変わります。
- 幅を取り続けること
攻撃時はタッチライン際に立ち、相手のサイドバックを引きつけます。これでシャドーやサイドCBが使える内側のスペースが広がります。 - 縦の往復を繰り返せる運動量
攻撃で高い位置まで上がり、ボールを失えば最終ラインまで戻ります。これを90分続けられる体力が要ります。 - サイドでの1対1とクロスの質
相手のサイドバックと1対1になる場面が多く、突破かクロスで終わらせる力が求められます。 - ハーフスペースへの入り方の判断
シャドーが外に流れたときは内側に入り、逆にシャドーが中にいるときは外で幅を取ります。この入れ替えの判断が連動の質を決めます。 - 逆サイドのボールに対するファーへの詰め
ボールが逆サイドにあるとき、ファーサイドでクロスに合わせる動きが得点につながります。 - 守備時の5バックの形成
ボールを失ったらすぐに戻り、最終ラインの両端に入ります。戻る速さと、相手のサイドの選手への対人守備が必要です。
攻撃重視のときの起用(中山克広、マテウス・カストロ、甲田英將、浅野雄也ら)
相手の守備を崩すことが優先される試合では、攻撃面で違いを作れる選手が置かれる、と考えてよいでしょう。特に右シャドーに守備に長けた選手を置いて、攻撃に全振りする場合などにこのパターンを採用します。
- 縦への突破力とドリブルでの仕掛け
サイドで1対1を作り、自分で相手を剥がしてクロスやシュートまで持ち込む力が中心になります。 - 決定機に絡む終わらせ方
クロスの精度に加えて、ペナルティエリア付近でのシュートやファーへの飛び込みなど、得点に直結する動きが期待されます。 - カットインとパスの選択肢
外で幅を取るだけでなく、内側に入ってシャドーやボランチとパスを交換する形もあります。 - 守備面のリスク管理
攻撃に比重を置く分、戻りが遅れると裏を使われます。後ろのサイドCBやボランチが、カバーに入れる配置を保てるかどうかが条件になります。
相手のサイドの攻撃力が高いときの起用(野上結貴、和泉竜司ら)
相手のサイドの選手に対して、守備の安定を優先する試合に置かれる選手としては、野上や和泉が挙げられるでしょう。実際柏レイソル戦では和泉は久保藤次郎を完封しました。
- 対人守備の強さと戻る速さ
相手のウイングやサイドバックとの1対1で負けないことが前提です。攻撃に出ても、すぐに戻って5バックの形に入れる必要があります。 - 相手の攻撃の起点を抑える位置取り
相手のサイドの選手を自由にさせないために、高い位置で前を向かせない対応も求められます。 - 攻撃での幅取りとつなぎ
突破力より、幅を取って相手を引きつけ、ボールを失わずに前線へつなぐ動きが中心になります。 - シャドーやボランチとの連携
内側の選手と距離感を保ち、守備でも攻撃でも形が崩れないようにします。
起用の分かれ方は、相手のサイドの攻撃力だけで決まるとは限りません。組み合わせるシャドーの特徴や、負荷の高いポジションなので、前節からの疲労、ボール保持を重視する試合かどうかも影響すると思われます。
セントラルMF/ボランチの基本的な要件
ミシャ式のセントラルは2枚で、最終ラインとシャドー、ウイングバックをつなぐ位置に立ちます。攻撃では配球とバランス取り、守備では中央のスペース管理とカウンターへの備えが主な仕事になります。
- 最終ラインからボールを引き出すこと
相手のプレスが強いときは、1枚が最終ラインに降りてビルドアップに加わります。降りるタイミングと、相手のFWの間で顔を出す位置の判断が必要です。 - 縦パスと斜めのパスの精度
シャドーやウイングバック、1トップへのパスが攻撃の速さを決めます。相手の2列目と最終ラインの間に通せるかどうかが評価の分かれ目です。 - 後ろ向きと前向きの切り替え
受けたときに前を向けるか、1タッチで逃がすかの判断が早いほど、最終ラインの負担が減ります。 - 2人の役割分担と立ち位置の調整
1枚が降りたらもう1枚が前に出る、といった入れ替わりが前提です。2人が同じ高さに並んで縦のコースを塞ぐと、パスが通らなくなります。 - カウンターへの備え
ウイングバックやシャドーが高い位置にいるため、ボールを失った直後に中央を締める役割があります。相手の中盤の選手へ前を向かせない対応が求められます。 - 広い範囲の守備とセカンドボール回収
守備時は5-4-1のブロックの中央に入り、中央のスペースを埋めます。サイドCBが前に出たときの空いたスペースを埋めるカバーも必要です。 - 運動量と球際の強さ
攻撃から守備への切り替えで中央を走り続けるため、運動量は前提です。
リンクマンとしての役割(森島司)
森島司のようにリンクマンの性格が強い選手がボランチに入ると安定する理由は以下のような役割が、悪いときは前後分断になりがちなミシャ式に必要だからではないでしょうか。この役割は森島司だけでなく小野雅史もできると思われます。
- 最終ラインと前線の間をつなぐこと
CBからのパスを受けて、シャドーやウイングバックの足元に届ける役割です。受ける位置を細かく変えて、パスコースを作り続けます。 - ライン間でボールを受ける動き
相手の中盤と最終ラインの間に入り、前を向いて仕掛けるか、味方に預けて次の動きに入ります。 - シャドーやウイングバックとの距離感の調整
近すぎると同じスペースを使ってしまい、遠すぎるとパスがつながりません。三角形を作る位置取りが安定の要素になります。 - ボールを失わない判断
リンクマンがボールを失うと、そのままカウンターを受けます。難しい局面でも、無理に通さず作り直す選択ができるかどうかが関わります。 - 守備での連動した動き
前線の選手と一緒にプレスをかける、パスコースを切るなど、最初の守備の動きも求められます。
浦和の阿部勇樹や柏木陽介、広島の青山敏弘や森崎和幸が、ミシャ式のボランチの例としてよく挙げられます。配球が得意なタイプ、守備のバランスを取るタイプ、リンクマンタイプで、セントラル2枚の組み合わせはこれまでのチームで固定ではありませんでした。現時点では守備のバランスを取る稲垣祥とリンクマン森島司が最適解になっているように見えます。
1トップの基本的な要件
ミシャ式の1トップは、前線で一人だけ最前線に立ちますが、孤立して点を取るだけの役割ではありません。シャドーやウイングバックが前に出てくるための時間を作り、攻撃の起点と終点の両方を担います。
- 縦パスを受けて収める力
最終ラインやボランチからの縦パスを、相手のCBを背負いながら受けます。ここでボールが収まると、シャドーが前を向いてサポートに入れます。 - シャドーとの連携と落とし
収めたボールをシャドーに落とす、ワンツーで抜け出す、といった近い距離での連携が攻撃の中心になります。 - 相手の最終ラインを押し下げる動き
裏を狙う動きを見せることで、相手のCBが下がり、ライン間のスペースが広がります。シャドーが受けやすくなるかどうかは、1トップの動き次第で変わります。 - ゴール前での決定力
クロスやシャドーからのパスに対して、最後に仕留める役割です。得点数はやはり評価の大きな部分になります。 - 前線からの守備
守備のスタートは1トップです。相手のCBやボランチへのパスコースを切り、プレスの方向を決めます。
山岸祐也が入るとき
山岸といえばポストプレー。前線でボールを収めてシャドーやウイングバックが上がる時間を作る狙いでしょう。1トップがゴールを奪えればいいのですが、それだけでなくシャドーに点を取らせる役割を果たすことになります。
- 背負って受けるポストプレー
CBを背負ってボールを収め、味方に落とす役割です。ロングボールを含めて、前線に預けるところから攻撃を始められます。 - シャドーとの近い距離での連携
落としてシャドーに前を向かせる、自分が受け直してゴール前に入る、という連携で崩します。 - ゴール前での存在感
クロスに対してターゲットになり、ペナルティエリア内での勝負ができます。 - チーム全体の押し上げ
ボールが前線で収まる時間が長いほど、ウイングバックや最終ラインが押し上げられます。
永井謙佑が入るとき
永井が入るときは、相手の最終ラインの裏を狙い、スピードで相手を下げさせる狙いが前に出ていると考えられます。実際川崎フロンターレ戦でも、柏レイソル戦でも相手CBがラインを上げることを防いでいました。
- 裏への抜け出し
ボランチやサイドCBからのロングパス、シャドーからのスルーパスに対して、スピードで裏を取ります。 - 相手の最終ラインを下げさせる効果
裏を常に狙われると、相手のCBは高い位置を取りにくくなります。その分、ライン間が広がり、シャドーが受けるスペースが生まれます。 - カウンターでの推進力
守備から攻撃への切り替えで、一気にゴールまで運べる力があります。相手が前がかりのときに効果が出やすい起用です。 - 前線からのプレッシャー
スピードを生かした追い込みで、相手のCBやGKのビルドアップに圧力をかけます。
1トップのタイプによって、シャドーやボランチに求められる動きも変わります。山岸のときは近い距離での連携が増え、永井のときは裏を使ったあとのスペースでシャドーが受ける形が増えると考えられます。
ミシャのチームでは、これまで広島の佐藤寿人、浦和の興梠慎三、札幌のジェイや鈴木武蔵などが1トップを務め、それぞれタイプが異なりました。ミシャの戦術にあてはまる人材を使う、というよりも、いる人材のなかから最適な選手を選んでいるという形に見えます。
まとめ
10試合を終えて各ポジションの要件を並べてみると、どのポジションも隣の選手の動きとセットで役割が決まっていることがわかります。サイドCBが高い位置まで運べればウイングバックはさらに前に出られますし、1トップが山岸か永井かで、シャドーやボランチがボールを受ける位置も変わります。GKがCBと同じ高さで組み立てに加わるようになったのも、後ろから前へボールを送る流れに、もう一人加えるためだと考えられます。
起用を見ても、ミシャはひとつの型に選手をはめ込むより、相手や試合の状況に合わせて手持ちの選手から組み合わせを選んでいるようです。ウイングバックの使い分けや1トップの人選がその例です。現時点では稲垣と森島のセントラル、高嶺や原の運ぶドリブルがチームを支えているように見えますが、シーズンはまだ4分の3近く残っています。
ここで挙げた要件は、試合を見るときの手がかりにもなります。サイドCBがどこまで持ち上がっているか、ボランチの1枚がいつ最終ラインに降りているかを追いかけると、その日のチームの状態が見えてくるはずです。DAZNの平均ポジションの図と合わせて、残りの試合で確かめていきたいと思います。