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[マッチレビュー]2018年明治安田生命J1リーグ第12節セレッソ大阪戦レビュー 新井一耀が瑞穂に舞い戻った日

グランパスはセレッソ大阪と瑞穂で0-0のスコアレスドロー。大雨で風も強い悪天候の中、現地で応援した皆様は本当にお疲れ様でした。さて、連敗がようやく止まりましたね。

前節のレビューで『チームは前進した』と書いて良かった。負けなかった、引き分けたとの結果はもちろんチーム全員のハードワークの賜物ですけど、やはり新井について触れなければならないでしょう。本当に大きな戦力が復帰してくれた。新井がどんなプレーでチームに貢献していたか、見てみましょう。

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※フォーメーションは4-4-2。新井が復帰し右CBに、菅原が右SB、宮原とアーリアのセンターハーフ、青木が復帰し右SH。

新井一耀の良いところ

1.強いキックでパスを通せる

前半10分頃でした。セレッソをやや押し込んだところで、ボールがアーリアから最終ラインの新井まで戻ってきました。

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その時、新井はトラップからワンステップで左SBの櫛引へ糸を引くようなパスを通していたのです。

前節のレビューでも触れたように、今シーズンのグランパスでは同じようにセンターバック(CB)の選手にボールが戻ってきた場合、CBの選手からセンターハーフ(CH)の選手にパスを返すか、ジョーへロングボールを蹴る場合がほとんどでした。

サイドバック(SB)が高い位置を取れているのに、そこへCBからビシッと良いパスが出ることはあまり無かったのです。CBがこういうパスを出せると攻撃が途切れないので、ボールを保持して相手を押し込みたいグランパスには重要です。

 2.猛獣使い

相手FWがやや降りてボールを貰い、そこで起点を作られてしまっていたグランパス。相手FWに強く当たれず、潰しきれなかったからそういうことになっていました。

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新井一耀とホーシャは、急造コンビながら、新井自らが最後尾をカバーし、降りた相手FWへホーシャをアタックさせるという役割分担が出来ていました。専門用語では「チャレンジ・アンド・カバー」といいます。

この試合では、対人守備に強みを持つホーシャが迷い無くアタックに行ったことで、相手FWをかなり潰すことができました。FWにボールを自由に持たせないことは守備の基本の一つですから、ようやくそれができるようになりました。これは新井一耀が類い稀なるカバーリング能力を持つからこそ可能になったことでもあります。(それに付け加える要素もありますが、それは10行くらい後に)

逆になぜ菅原由勢や櫛引一紀のコンビではこれまでディフェンダーの基礎中の基礎であるチャレンジ・アンド・カバーができていなかったのでしょうか?

1つにはハイラインを維持して中盤との距離を保とうという意識がとても強かったことがあるのではないでしょうか。高いラインを維持するというだけでとても難しいです。あの守備の文化が根付いている横浜F・マリノスですら、名古屋グランパスに次ぐ失点数を記録しているくらいです。

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上図再掲:ホーシャの裏のスペースに注目

もう1つはサイドバックのカバー不足です。ディフェンス時にチャレンジ・アンド・カバーを徹底しようとすると、上図のように縦に深さを取る必要があります。すると上の図ではホーシャの裏にスペースができています。そこに新井一耀の正面にいた選手が入り込み、ホーシャが潰しにいった選手からパスが出たら、正面に誰もおらずに一気に大ピンチになります。

この場合、どうするべきか結論から言うと、サイドバックが中央にしぼり、サイドハーフが降りてきてサイドバックの位置をカバーするべきです。そうすれば相手に自由にプレーをさせないで済みます。これまで右サイドでは守備に長けた宮原和也のサイドであれば自然とカバーが出来ていました。(しかしサイドハーフが落ちてくるのが遅れて2枚目、3枚目の攻撃に対処できないということが多くありました。でもこれは別のお話)

しかも左サイドの秋山陽介の場合はそもそも攻め上がって不在のケースが多く、そうしたらカバーをするサイドバック不在のままとなり、相手の2枚目、3枚目が防げないという状況に陥ります。カバー役がいなければ、DFはチャレンジに行くことが躊躇されます。

ピンチがだいたい左サイド側から生まれていたのにはこんな理由があります。

この試合でホーシャが思いっきり勝負ができていた理由は、新井一耀のカバーリング能力だけではなく、櫛引一紀と菅原由勢が攻守の切り替えの速さを保ち、ちゃんとホーシャが気持ち良くチャレンジができるようなカバー体制を整えていたからです。

守備的選手が4人並ばなくても同じことができるように、これまでのサイドバックの選手とサイドハーフの選手には猛省を求めたいと思います。

チャレンジ・アンド・カバーについて深く知りたいと言う方は12分の動画ですが以下をご覧ください。

3.普通に跳ね返す

何度か入れられたクロスをごく普通に跳ね返していた新井一耀。

あまりにも普通に跳ね返していたのであまり印象に残らなかったかもしれませんが、『クリアに手間取っているうちにボールを再奪取され攻撃された』という場面が今年のグランパスではよく見られました。(もう見たくない)

そうならないようにクリアしきる。大事、とても大事。

そもそもきっちりとクリアしきるためには、適切な位置取りと跳ね返す技術が大事です。そういうものを兼ね備えた選手がいると、見ている僕たちの安心感が段違いです。

 

次こそは勝利を

そんな新井一耀ですが60分過ぎに交代。55分ごろから明らかに動けなくなっていましたし、本人も公式インタビューで次のように語っていました。

90分間やらなくてはいけないポジションでしたが、足が持たずに途中で代わることになってしまいました。

https://inside.nagoya-grampus.jp/inside/detail/?sid=185&cid=99

大事な大事な戦力だけど、大怪我から復帰したばかりの選手に頼るわけにはいきません。今こそ他の選手の奮起に期待したいところです。

新井一耀だけでは勝利に届かない

私(ラグ)が期待するのは、小林裕紀です。

この試合、ベンチスタートの小林は何を見ていたでしょうか。アーリアや宮原がDFラインといい距離感を保っていた前半を見て何を感じたでしょうか。

おそらく、次の横浜戦は小林と宮原のセンターハーフで挑むことが予想されます。守備のタスクをある程度宮原に任せて、小林には『司令塔』となることを期待したい、と思っています。

シャビエルや青木をもっと前で勝負させられるように小林が彼らを使えれば、きっとチームは勝利するでしょう。彼らの得点と、チームの勝利に期待し、応援したいですね。

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