2015年12月8日付け中日新聞で、瑞穂陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)の改修案が浮上していることが報じられています。
名古屋市側からの案と報じられていますが、骨子を説明すると以下のようになります。
・27000人から4万人規模に
・現在8レーンを9レーンに
・ドーピング検査など、陸上競技大会運営に必要な施設を増強
一方で記事中では、名古屋グランパスが専用スタジアムを作る構想があることにも触れており、調整が必要と述べています。
瑞穂陸上競技場を改修する案だと嬉しいのは誰か?
直接利益を受けるのは陸連です。
記事中には4万人のスタジアムを作って大規模大会を誘致、とありますが、4万人のスタンドが必要な陸上競技の大会はそれほど多くはありません。
世界陸上なども川崎等々力陸上競技場などの関東開催がほとんどで、あまり現実味はありません。
比較的ありそうな大会といえば国体ですが、現在の予定は以下のようになっています。
【決定している開催地】
2015年(平成27年)・・・和歌山県
2016年(平成28年)・・・岩手県
2017年(平成29年)・・・愛媛県
2018年(平成30年)・・・福井県
【開催申請書提出順序了解している開催地】
2019年(平成31年)・・・茨木県
2020年(平成32年)・・・鹿児島県
2021年(平成33年)・・・三重県
2022年(平成34年)・・・栃木県
2023年(平成35年)・・・佐賀県
2024年(平成36年)・・・滋賀県
旋回開催は1994年ですので、単純にローテーションすると50年後、2044年の開催ということになります。
間接的に利益を受けるのは、他競技の団体です。名古屋グランパスが利用するという名のもとに競技場を整備してもらえれば他の球技を行う団体も利益を受けることになります。
最後に、嬉しいのと寂しいの複雑な感情を持つだろうのはサポーターです。
瑞穂陸上競技場は、グランパス創設からの付き合いであり、思い入れは深いものがあります。
とはいえ、パナソニック・ガンバ大阪の吹田スタジアムのあとに、フルサイズの陸上競技場を考えるのはどうか、とも感じます。
可動式席を導入という話もでていますが、そうなると専用スタジアムに比べてかなりすごい建設費用がかかりそうですね。
瑞穂陸上競技場を改修する案だと難しいのはなにか?
一番大きいのは財源です。
これまでも財源を理由にずっと改修が先送りにされてきているのに、急に財源が確保できるわけではありません。
記事中では1997年竣工の長居陸上競技場が400億円と、ミスリードを誘っていますが、97年って20年近く前との比較はナンセンスです。800億円と言われても不思議ではありません。
陸上競技場は付帯設備が多いし、可動スタンドなんてつけたら1000億円コースもあり得ます。
白川公園スタジアムの300億円構想と較べてかなり大規模な投資になることが予想されます。
白川公園スタジアム案が困るのは誰か?
一番困るのは、白川公園内にある美術館、科学館だと思われます。
移設をするにせよ、改修をするにせよ、狭い公園内にスタジアムができれば影響を受けないわけがありません。
その次に周辺のマンションの住人です。商業区域に住んでいることになるので騒音問題で大きな声を挙げることは難しいのですが、それでも気にならないわけはありません。
もう1つは、ライバルスポーツの経営者・運営者です。よりアクセスの良いところにスタジアムができれば、自社の興行の集客に影響が出ます。
もしグランパスが白川公園スタジアム案を推進するのであれば、このあたりとの意見調整が必要になってくるでしょう。
名古屋市の選択肢
利益の相反する2つの勢力があるので、どう選択するかです。
結局は、
1)税金を注ぎ込んで、瑞穂陸上競技場を建て替えるか
2)条例や周囲の施設との調整の上で、白川公園にスタジアムを建てるか
の二択です。
どう選択するのでしょうか?
20年間も無視し続けた名古屋市が今さら何を言っても無駄