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私は好きにした、君らも好きにしろ -名古屋グランパス2017年前半の振り返り-

2ヶ月近くぶりの投稿になります。試合こそは見ていましたが、それ以外が大変厳しい状況で申し訳ありません。

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はやいもので、6月が終わりに近づき、J2リーグも折り返しに差し掛かっています。6月27日現在の名古屋グランパスの順位は5位、勝ち点34 得点34 失点28 得失点差+6です。首位との勝ち点差は6に開いてしまいました。

この現在の状況について、Twitterで懇意にさせていただいているりょーさん @hardworkers2011 のブログにインスパイアされながら、名古屋グランパスの2017年の前半の振り返りと、これからについて考えてみたいと思います。

2016年までのグランパスのサッカー

昨年までの名古屋サッカーのコンセプトは、

  1. 高い山脈で構成される守備陣
  2. 強力なフィルターとなる守備的ミッドフィールダー
  3. ドリブルでもスペースへの飛び出しでもこなせる強力なサイドアタッカー
  4. 少々ラフなボールでもゴールに叩き込める強力なストライカー

で構成されていたと思います。これらを称して「個のサッカー」と定義付けられることが多かったと思います。

しかし1に関して言えば闘莉王が衰え、増川もダニエルも放出され、牟田雄祐が移籍し、大武峻と竹内彬だけではJ1の鋭い攻撃を防ぐことができなくなりました。

2についてはダニルソンを宿痾(しゅくあ)のハムストリング痛に見切りをつけたあと、後任たるイ・スンヒにはダニルソンほどのフィルター能力は不足していました。

3については永井謙佑がいたものの彼の単騎では右に金崎夢生が居たときほどの成果は得られませんでした。古林将太が右サイドを期待されましたが、組織のなかで生きるタイプの彼が、徹底した個のなかでは輝くことができませんでした。

4について。シモヴィッチはディープ・ストライカーではあるものの、クロスを放り込むだけでは、それを収めてなんでもゴールに叩き込めるほどオールラウンダーでもありませんでした。

見えてきた風間サッカー

ネットでは風間八宏監督のサッカーについて、詳細かつ複雑な解説が行われているところが多いと思います。先ほどのりょーさんの記事を見てもいろいろ書かれています。もっとも重要と思われるところを抜き書くと、

名古屋のマクロ的なゲームコンセプトは、「ボールを保持=ゲームを支配」という絶対的なプレーモデルを基に成り立っている。ゲームを支配するということは、言い換えれば「ゲームを自分自身で能動的に動かすことができる」ということだ。

と、ここでしょう。

極端なことを言えばボールを保持し続けている限りは攻められない。でも相手はボールを奪いにくるよね。じゃあボールを奪われないようにもっと上手くならなきゃ駄目だよね。

1人じゃずっと保持することは難しいから、ボールを回さないといけない。そのために出し手はきっちりとボールを相手に正確に渡し、受けた側はそのボールをしっかりと止めてマイボールにする必要がある。

これさえきちんと11人ができればポジションなんか関係ない。

何故かといえば、この止める・蹴るを突き詰めると、ボールの周囲で関わっている人間だけでサッカーをするということになる。実際11人が全員ボールの周りに居たらばごちゃごちゃしてサッカーにはならない。だから、局面でボールに関わる選手たち、それをりょーさんは「小さな集合体=ユニット」と呼んでいます。

序盤は、ユニットそのものに精度が足りず、各局面で相手を上回ることに手こずっていた節があった。それは当然だ。これまで教えられてきた「サッカーの試合」に対する考え方と180度異なるからである。今までは、「相手がこうしてくるだろうから、お前はここにポジションを取って、ここを狙え。」「守備はここを気をつけろ。」「あいつは足が速いからスペースを与えないようにしろ。」など、相手の特徴を踏まえて、指示を出す指導者がほとんどだった中で、現監督は相手の出方には何も言及しない。あくまでも「自分たちがどうプレーするか」だ。

自分たちが上手にできるようにならなければ、相手のことを気にしてもしょうがない。簡単に言えば、自分たちのサッカーを、適切にプレーできれば結果はついてくる、ということでしょう。

何故風間八宏監督はこのような考え方に至ったのでしょうか。

勿論個の技術が高いほうが良い、というのは100人に聞いて100人がそうだ、と言うでしょう。さらに1対1での勝負に勝てなければ局面は打開できませんし、1対1に勝てば途端に数的優位を作ることが出来て、チャンスは広がるということも間違いありません。

これらの考え方は風間八宏監督の現役時代、ドイツでのプロ生活が長かったことの影響は少なからずあると思われます。日本に帰ってきてからサンフレッチェ広島でプロ生活を送る中で、当時のバクスター監督との間でいろいろコミュニケーション上の問題があったことは著書でも述懐されており、彼のイマジネーションを制限されたことはある意味トラウマだったのではないか、と考えています。

「わたしは好きにした。」だから局面を作る方法は仕込んで行きながら、最後のフィニッシュに至るまでの部分については「君らも好きにしろ」なのではないでしょうか。これはある意味、風間八宏監督の美学なのではないかと思っています。

名古屋が勝てないのは何故なのか

風間八宏監督に言わせれば、「まだまだミスが多い」「もっと上手くならなければならない」と言うかもしれません。でも実際にはそのミスが「意図して起こされたものだから」なのではないでしょうか。

そこについてはりょーさんも言及しています。

だがここに来て、ある一定のレベルを超えるチームに対しては、ユニット単位での脅威を発揮できていない。原因は相手側、そして自分たち、それぞれに理由を考えることができる。
<名古屋がプレーモデルを発揮できない相手の特徴>

・ユニットに立ちはだかるための組織力の向上(研究が進んで来ている)

・それを遂行する選手の能力が高い

<名古屋がプレーモデルを発揮できない自分たちの原因>

・相手の組織的な対策を上回るユニット精度を発揮できていない

・組織でのアプローチを実装していない(要は即興性が高く、再現性が低い)

一言で言えば、名古屋は2016年までは、将棋のような決まった役割の個で打開するサッカー、風間八宏監督になって組織的なサッカーになったと思いきや、マルチロールで、役割を固定しない個で打開するサッカーになった。実は「個のサッカー」のままで、「組織で追い込み、はめ込まれるサッカー」には勝てないというものです。

組織とはなんなのか

アメリカの経営学者でチェスター・バーナードという人物がいます。彼はその著書のなかで組織について以下のように定義しています。

組織は以下の3つの要素を満たす人の集まりであるとのことでした。

  1. 共通の目的をもっていること(組織目的)
  2. お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
  3. 円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)

これは、バーナードが提唱している組織の3要素ですが、これらの3つがそろって始めて組織が成立するとしています。

1の、目的についてはサッカーではチームの勝利になるはずです。これはグランパスであろうとも、他のチームであろうとも同じでしょう。2のお互いの協力も勿論しているはずです。

大きな違いは、3.情報共有だと思っています。組織だったサッカーでは、このような場合にはこうする、こういう相手にはこうする、というようなことを徹底して反復練習を行います。チームのメンバーで同じイメージ・情報を共有するのです。それぞれの役割は等価ではないかもしれません。ある意味オートマティズムのもとにチームを構築していくわけです。

組織が成立した場合、同じ目的に対して、同じイメージで協力しあいながら動いていくわけです。組織的なサッカーの典型といえば、今のJ2で言うと徳島ヴォルティスでしょうか。みぎさん @migiright8 のTweetにそれが見られます。

サッカーに絶対の正解はない

風間八宏監督のサッカーを見て、ピーキーだ、このようなサッカーでは勝てない、と切って捨てることは簡単です。普通の良い監督に、普通の組織的サッカーを目指してもらうのであれば、そこそこ勝てるサッカーになることは間違いありません。現時点ではJ2レベルを超えているシモヴィッチというストライカーを持ち、J1でやれるレベルの選手をほかにも抱えている。おそらくそれで昇格も叶うでしょう。

何故、風間八宏監督を選択したか、といえば圧倒的な個のチカラを発揮できなければ、今回昇格してもエレベーターチームになってしまうだけである、という危惧があったからでは?と予想しています。

しかし風間八宏監督のやり方では、こうやって青木亮太や和泉竜司、杉森考起らの、ある意味風間チルドレンとも言える人間が揃ってきてはいるものの、まだどうにも風間八宏監督のやり方に適合できている人間の数が足りないようにも思います。

りょーさんも指摘するように、J2に複数年いることは相当ダメージが大きなことになると予想されます。今年は例年に比べてもJ2のレベルは高くなっているとは言うものの、あくまでもJ1に比べれば個の能力は低いものになっています。

鶏口となるも牛後となるなかれ、などと良く言われますが、人間はぬるま湯に染まるもの、とも思います。名古屋グランパスには、上を目指して欲しい。

J2のレベルのサッカーをするだけならば風間八宏監督のやり方は不要です。

残された22試合、時間は限られていますが、1試合1試合でも上手くなって、昇格を掴みとって欲しいと願っています。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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