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グランパスの攻撃力を支える『センターフォワード』とは

はじめに

現在、名古屋グランパスは4連勝中、その4試合全てで3点以上ゴールを奪い、圧倒的な攻撃力を見せています。その攻撃力の秘密、知りたくありませんか? この記事は、最近の名古屋グランパスの攻撃力について、主にセンターフォワードを軸に考察し、そして今後への期待を書いたものです。グランパスファンの方や、それ以外のチームのファンの方にも、今のグランパスってそうなんだ、と考えていただければ幸いです。

グランパスの4-4-2

4連勝中、グランパスは4-4-2フォーメーションを採用しています。ところが、4-4-2であっても同じ4-4-2ではない。35節の対FC岐阜戦の前半途中までと、それ以降とでは選手の配置が変わっています。

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変わった後の4-4-2フォーメーションでは、シャビエルと玉田とが4-4-2の2の部分、つまりフォワード(トップとも言う)を務めています。シャビと玉田のツートップ、ツートップなんですが………この二人は典型的なセンターフォワードではありません。二人とも、自分でも点を取れるけれど、味方へのパス出しや個人のドリブルキープ等のチャンスメークを得意とするタイプ、チャンスメーカーです。それではチャンスメーカーを二人並べたツートップに一体どんな意味があるのでしょうか? その意味を考えるために、まず典型的なセンターフォワードってどんな選手なのかを考えてみましょう。

我が愛しのセンターフォワード

定義の詳細はwikipedea でもご覧いただくとして、センターフォワードの使命は点取り屋です。チームで最も点を取る人です。得点を取るための身体能力、シュート技術、ポジショニング技術や相手守備との駆け引き能力に長所を持つ選手です。
自分語りで大変恐縮なのですが、私がサッカーを本格的に見始めたきっかけとなった選手はフィリッポ・インザーギ(通称ピッポ。元イタリア代表フォワード)でした。
Embed from Getty Images
あのヨハン・クライフ(元オランダ代表。選手引退後はバルセロナの監督としても有名)から

「彼はサッカーをまったくしていない。ただ常に的を射た場所にいるだけだ 」

と評されたそのプレースタイルは、自分が点を取るにはどうすればいいのか、それを突き詰めて、味方からのパスを待ちつつ相手ディフェンダーやゴールキーパーとの駆け引きに終始するものでした。
仮に9回失敗しても10回目の成功を疑わない。自分は点を取る、点を取るのは自分だと信じてプレーする。そして本当に点を取ってしまう。点取り屋の生き様です。その選手のいるところに得点の臭いが漂う、センターフォワードとはそういう選手なのです。
一方で、センターフォワードには自らの得点とは別に重要な役割があります。
味方選手に場所(スペース)と時間(プレー判断)とを与え、チーム全体を相手側ゴール近くに上げさせること……ポストプレーと言われるプレーです。長年グランパスを見てきたファンの方には、フローデ・ヨンセンやジョシュア・ケネディがよくやっていたプレーと言えばお分かりいただけるでしょうか。その二人とも高身長と大きな体格とを活かし、自陣からのロングボールを収めたり、相手ディフェンダーを背負いつつボールキープして味方に落としたりして、チーム全体を前に進める重要な役割を担っていました。適切なポストプレーを受けた味方選手は、相手陣地内で前を向いてボールを持つ状態になりやすいため、優秀なポストプレイヤーの存在は、攻撃での大きなチャンスを生みやすくさせるのです。

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例.ロングボールを適切に落としてくれれば、落としたボールを受ける選手は相手ペナルティエリア近くで前を向いてボールを持てる。

シャビと玉田のツートップから生まれる攻撃

チャンスメーカーを並べたツートップから生み出される名古屋グランパスの攻撃とは一体どんなものでしょうか。最近の試合での、攻撃が成功した場合を例として見てみましょう。

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例1.どちらか一人または両方が中盤に下がり、中盤での数的優位を得、ボールを失わずにチーム全体を前進させる。

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例2.シャビと玉田は相手ディフェンダーとボランチとの間か、もしくはそれ以下に下がり、空いたスペースへ佐藤・青木の両サイドまたは田口・小林のどちらかが入って行く。相手陣地へ完全に押し込んだ場合によく見られる形。

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例3.シャビと玉田のどちらかが通常より前に出て、そこからの落としを受けてもう片方がやや低目の位置から中央突破。対山口戦での1点目など。

これらの事例から、シャビと玉田は相手ディフェンスライン=味方最前線に張り付かず、最前線からやや下がったところから攻撃に関与していること、彼らが空けたスペースを佐藤、青木、小林、田口等が使っていることがわかります。グランパスのツートップは最前線にはいません。つまり、シャビと玉田のツートップとは、ゼロトップとも言えるのです。

グランパスゼロトップのメリットとデメリットと

メリットとデメリットとは試合中での局面や相手チーム・選手とで変化する可能性がありますが、敢えて挙げるとすれば、次のようになるのではないでしょうか。

メリット

  1. 中盤で相手守備の人数に対し数的優位を得やすい。
  2. シャビが相手にとって危険なエリアで攻撃しやすい。
  3. 攻撃が流動的になり、相手ディフェンスを混乱させやすい。
  4. 相手ディフェンスが空けたスペースを攻撃しやすい。

デメリット

  1. シモビッチや永井龍など点取り屋の選手を最前線に置く場合と比べて、個人の得点能力で劣る選手を起用することになる。
  2. シャビ玉田共に守備をほぼ免除されているため、相手ディフェンスラインに対する守備が緩い。
  3. 相手ペナルティエリアあたりにボールを放り込んでも何ともならない。適当な攻撃はできない。

最近のグランパスの攻撃力は、特にメリットの1番目と2番目とが最大限に発揮された結果でした。ところが、そのメリットに大いに関わるシャビが負傷してしまいました。

ゼロトップだけでは戦えない。

グランパスのゼロトップはシャビと玉田とを同時期用する場合にのみ成立していました。むしろシャビと玉田とを同時に起用し、かつ攻守のバランスが比較的整うのがこの形で、この偶然にも調和の取れた布陣は風間監督の苦肉の策だったのかもしれません。しかし本稿を執筆する直前の10月15日湘南戦でシャビは負傷してしまいました。負傷したシャビの代わりに誰を使うとしても、シャビと同じ仕事のできる選手はいません。他の選手ではゼロトップが成り立つとは考えられないだけに方向転換を余儀なくされます。また、シャビが怪我をしていなかったとしても、イエローの累積等でシャビか玉田のいずれかを欠く場合も考えられ、今後、改めて典型的なセンターフォワードを起用し戦わなければなりません。

グランパスのセンターフォワードに期待しよう

名古屋グランパスには佐藤寿人、シモビッチ、永井など、実績十分なセンターフォワードがいます。シャビの代わりに彼らを出場させ、玉田+誰かのツートップになるとするならば、彼らには次のような役割を期待します。

1.相手を崩してない得点

風間サッカーと相反するようですが、キレイな点だけが得点ではありません。なんだかよくわからない流れから押し込んだり、単なるクロスをスーパーゴールに変えたり(湘南戦のシモビッチみたいな!)、いきなりミドルシュートを叩き込んだり(永井みたいな!)、そういう得点能力がチームを助けてくれます。期待しましょう。

2.シャビ玉田よりも前、最前線での起点

ポストプレーそのものですね。前を向いてボールを持った場合の爆発力を持つ青木や、アイディア溢れる玉田や、スペースを潰す・入り込む能力の小林や田口、それらの選手を活かす高精度のポストプレーがチームを前に進めます。ポストプレーでならシモビッチが最も優れているでしょう。

3.決して下を向かないこと

精神論です。得点取る仕事のセンターフォワードが下向いてる暇なんかないんです。ひたすらゴールに向かう、自分と味方とでゴールを目指す姿勢がチームに勇気を与えます。佐藤寿人そのものですよね。グランパスのキャプテン佐藤とJ1に昇格したい。チームとファンとを鼓舞してほしい。そんな風に願ってしまいます。

グランパスのセンターフォワードに期待するために中盤に期待しよう

シャビを欠く以上、中盤での繋ぐ力=相手を押し込む力も確実に落ちます。ですが、田口をはじめ、小林や青木、宮原や和泉で相手中盤を圧倒できれば問題無いわけです。相手を押し込んで、センターフォワードが相手ペナルティエリアあたりで勝負できる状況になるかどうか、それはセンターフォワード以外の選手にかかっています。

最後に、フィニッシャーにはフィニッシュをさせよう

私はよく『最後のシュートを打って点を取る役割の選手』という意味で『フィニッシャー』という言葉を使います。チーム戦術や選手構成によって、必ずしもセンターフォワードがフィニッシャーとは限りませんが、だいたいのチームにおいてセンターフォワードにはチーム最高の得点力があるはずです。グランパスにもシモビッチ、佐藤、永井、押谷、フェリペ・ガルシアなど『決める能力』を間違いなく持っている選手がいます。フィニッシュ能力のある選手にはフィニッシュしてもらおうじゃないですか。そのためには、彼らの得意な形にボールを供給できる選手が必要で、それが玉田や田口とするならば、玉田や田口がそういうボールを供給できる位置にいなければならず、そのためには小林や和泉が………と続いていきます。

自チームのフィニッシャーの得意な形にチームとして持ち込めるか、それがチームの成熟度や実力の目安の一つだと言ってもいいかもしれません。別の視点から言えば、フィニッシャーがフィニッシュできる状態にあって、実際に得点を量産しているチームは間違いなく強いのです。強いグランパスを見たいのです。ケネディのように、グランパスからまた得点王を出したいのです。

チームを前に進め自分が点を取りファンを熱くさせる………そんなセンターフォワードが誰なのか、シモビッチなのか、佐藤寿人なのか、注目しつつ今シーズンの残りを熱く応援したいですね。

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