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2018年明治安田生命J1リーグ第23節サガン鳥栖戦第24節浦和レッズ戦レビュー スペースを制圧する小林裕紀、スペースを作り出す丸山祐市

リーグ戦8月全勝です。もう一度言いましょう、リーグ戦8月全勝です。グランパスは中断前では想像もつかなかった6連勝を達成し、順位を13位まで上げました。さようなら降格圏。よろしく残留圏。もう少しで懐かしの中位圏。できれば僕の生きている限り二度と降格圏を体験したくないのでよろしくお願い申しあげます。

絶好調のグランパスを支えるのは文句無しに5試合10得点の”スーパーストライカー”ジョーです。ですが、ジョーの得点シーンを見たグランパスファンならおわかりのとおり、ジョーは自分のドリブル突破からシュートを決めるような『一人で何とかしちゃう』タイプではありません。ラストパスを受けて、ワンタッチあるいはコントロールしてからのシュートを決めるタイプです。つまり、

ジョーがゴールする

←ジョーの欲しいところへラストパスが出てくるようになった

←アシスト役がジョーの欲しいところを理解した

と言えるでしょう。

一方、アシスト役がそれだけラストパスを出せている=敵陣深くにアシスト役が侵入できている、と言うことでもあります。では、何故、アシスト役が侵入できているのか? それは敵陣地のスペースを制圧できているからで、敵陣地にスペースが生まれているからです。ちょうど紹介に適した事例が鳥栖戦、浦和戦にそれぞれありましたので、レビューがてら、順番に見てみましょう。

 

23節:スペースを制圧する小林裕紀

小林とスペースとの言葉が並ぶと、守備時に危ないスペースを埋めるイメージを思い浮かべるかもしれませんね。しかし、ここで言いたいのは、攻撃時に小林がどこにいて、どのスペースを埋めているかです。23節のvsサガン鳥栖戦で、非常に解りやすい状況がありました。

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試合はグランパスの4-4-2と鳥栖の4-3-3でスタート。試合開始から5~10分ほどは鳥栖のハイプレスでグランパスは押し込まれていました。

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特に右CHに入った鳥栖の福田が広範囲に動き、グランパス左サイドのボールホルダーは福田のプレスに晒されていました。ところが、そんな状況を冷静に見極めていた選手がいました。その名は小林裕紀。

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福田がプレスのために上がった後にはスペースが空いていました。空いたスペースを見逃さない小林はするするっとそのスペースを埋めに入ります。
04

小林がこのスペースに気づき、スペースを埋め・制圧したことで、グランパスの最終ライン~前線の間で中継点が発生し、攻撃が加速しました。
05

 

一方、鳥栖も危険な場所にいる小林を放置できないので、小林をチェックに行くのですが、鳥栖のFW陣はそんなに守備に戻らないため、むしろ金井やネットの使えるスペースが生まれていました。先制点はまさにそんなスペースを金井が使った結果でした。

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左サイドで金井とネットがボール保持しているところをチェックに言った福田。それによって空いたスペースを埋める小林。その後、金井から小林を中継し、児玉、前田も絡んだ美しい突破からの金井のゴールでした。

何故、そのスペースは生まれたのか

本来、鳥栖の福田のように中盤の選手が前からチェックに行く場合、守備側の他の誰かがそのスペースを埋めます。そうった動きが『連動した守備』の基本です。

 

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鳥栖は試合開始から7分前後まではそういった連動性を持って守備をしていましたから、小林の使えるスペースは生まれないはずでした。では、何故そのスペースは生まれてしまったのでしょうか? その答えは、浦和戦でもまったく同じようにスペースを生んだ丸山のとあるプレーにありました。

24節:スペースを生む丸山祐市

連動した守備をするためには、絶対に守らなければならない鉄則があります。選手の距離感の維持です。

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24節、浦和戦で見てみましょう。鳥栖戦と同様に、開始からしばらくの時間、浦和がかなり前から守備をしてきていました。前からの守備をするためには、距離感を維持するために、後ろも一緒に上がる必要があります。

 

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このように、概ね30mを維持しなければ、前から後ろまで連動した守備はできません。浦和も、そして鳥栖も、試合開始から5分~10分間はそれができていて、グランパスはやや押し込まれていました。中断前のグランパスならばそのまま圧殺されていたかもしれない状況でしたが、今のグランパスには中断前には無かった一つの武器があります。それが、最終ラインからの丸山のフィードです。

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DFとしては、縦一発でDFラインの裏に通されて決定機を作られるのは最も避けるべき状況の一つ。しかし、前に合わせて押し上げていれば、自分たちの裏に広大なスペースが発生するのは構造的にどうしようもないことです。そこでリスクを承知で上がるのか、裏を狙われても大丈夫なように上がらずに後ろで構えるのか、チームとしての戦い方にも関わってきますが、それ以上にDFラインの『勇気』が試される状況でもあります。グランパスのフィードが精度を欠き、あるいは通っても決めきれないようならば、浦和も鳥栖も勇気をもって上がれたのでしょうが、残念ながら丸山の高精度のフィード+ジョーや前田の決定力は無視できない・怖いものだったのでしょう。浦和も鳥栖も、丸山からのフィードが2本ほどDF裏の前線に通ったところで、DFラインが下がり始めました。

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その結果、『間延び』して、グランパスにスペースを与えた浦和、鳥栖でした。今のグランパス攻撃陣にスペースを与えたら「点を取ってください」と言うのに等しい。結果論ではありますが、浦和DFは絶対に下がらずグランパスのスペースを消すべきだったのでしょう。

最後に

攻守において、『形』が見えてきたグランパスです。それは風間監督の指導なのか、あるいは選手間の話し合いによるものなのか? 恐らく後者だと思われます。選手達自らの話し合いによって築かれたコンビネーションは、押し付けられたものではないだけに強いし、選手達自身が信じられるものなのでしょう。次はその形について僭越ながら解説したいなあ、と思いつつ、今回はここまで! ご拝読、ありがとうございました。

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