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シュート分布に基づく2019シーズン前半戦まとめ(と,個人的仮説)

ご無沙汰しております.ゆるグラファミリーのコナカ(@konakalab https://twitter.com/konakalab)です.

今日はシュート位置の評価(簡易版ゴール期待値)に基づく2019シーズン前半戦まとめ(と,個人的仮説)をお届けします.

(データに関する注意:シュート位置のデータはFootball Lab(http://www.football-lab.jp/)の各試合結果から取得しました.オウンゴールはシュートおよび得失点には含まれていません.また,データの解釈はソースコードを読んだ私の理解に基づくものなので,誤りがある可能性があります.)

(簡易版)ゴール期待値とは?

再掲になりますが念のため定義をここで.

シュートは打たれたときの位置や選手の配置によって得点につながりやすいかどうかが異なります.ゴール正面の近くから打たれたシュートは得点になりやすく,ロングシュートはめったにゴールに入りません.シュートの成功率に関わりそうな条件のうち,シュートを打った位置のみについて,過去その付近のシュートがどの程度の割合でゴールになったのか,を集計したものを簡易版ゴール期待値(simplified eXpected Goals, sxG)と定義します.期待値を色で表したヒートマップは以前の記事(https://grapo.net/2019/04/24/9680/)をご覧ください.混同の恐れが無い場合,簡単のため「ゴール期待値」「得(失)点期待値」などと呼称します.

2019シーズン前半戦まとめ:シュート分布と得失点期待値

早速ですが,2019シーズン前半戦(17節まで)のシュート分布と得失点期待値をそれぞれ示します.得点,失点,および得失点の確率分布,の順に示します.

(名古屋の攻撃:シュート分布と得点期待値(2019シーズン第17節まで))
名古屋の攻撃:シュート分布と得点期待値(2019シーズン第17節まで)
名古屋の守備:シュート分布と失点期待値(2019シーズン第17節まで)
名古屋の守備:シュート分布と失点期待値(2019シーズン第17節まで)
各シュートから算出した得点(上図),失点(下図)とその確率.丸印が実得失点(名古屋,2019シーズン第17節まで)
各シュートから算出した得点(上図),失点(下図)とその確率.丸印が実得失点(名古屋,2019シーズン第17節まで)

実得点はほぼ期待値と同じ,実失点は期待値より若干多いです.

これらの値を,J1リーグ内で比較してみます.まずは得点期待値(横軸)と失点期待値(縦軸)のグラフを示します.

J1の得失点期待値(2019シーズン第17節まで)
J1の得失点期待値(2019シーズン第17節まで)

sxGはゴールに対して「位置をどれだけ攻略したか(されなかったか)」の量を示している指標です.この観点から攻守総合的に評価すると川崎Fが最良のチームで,その後広島,名古屋,横浜FMのグループがそれぞれの特徴を持って続く,となります.

ただし,sxGは(意図的に)シュートに対して位置以外の情報を抜き取った評価です.「位置以外の情報」には,

  • シュート時のその他の選手の配置
  • シュートを打った選手,またはゴールキーパーの技量

が含まれていると仮定します.すると,実得失点と期待値の差に上記の3項目が含まれているのではないかと考えられます.図示してみましょう.

J1の実得失点と得失点期待値との差(2019シーズン第17節まで)
J1の実得失点と得失点期待値との差(2019シーズン第17節まで)

前述の通り,名古屋は実得点は期待値の水準,実失点は期待値より若干多いという評価です.ここで注目したいのは右下の(期待値と比較して実得点が多く実失点が少ない)FC東京,大分です.特に大分は,ボール保持時に自軍ゴール近くまでのスペースを利用して展開し,質の高い好機を作り出すチームとして,今期J1で好調を維持しています(参考:「好調・大分が見せた“疑似カウンター”と“待の先(たいのせん)”」https://www.legendsstadium.com/column/01/256/).「好機の質の高さ」の重要な要素は「シュート時の数的優位および広い空間による時間的余裕」と言い換えられるでしょう.

名古屋の攻撃陣の技量は平均以上でしょうか?以下でしょうか?私は(もちろん)「平均以上」と思っています.運が特段悪いのでしょうか?それはよくわかりません.となると,「シュート時の選手の配置」に何か鍵があるのではないか,と考えております.

2018年の得失点期待値

考察の材料として,昨シーズンの得失点期待値を計算してみたら少しびっくりしました.

各シュートから算出した得点(上図),失点(下図)とその確率.丸印が実得失点(名古屋,2018シーズン)
各シュートから算出した得点(上図),失点(下図)とその確率.丸印が実得失点(名古屋,2018シーズン)

得点が各シュートの得点期待値から予測される範囲を超えています(失点も多いですが・・・).選手の技量,シュート時の選手の配置,および運いずれもがそろった良い結果としてこの得点になったのではないかと考えています.

昨年と今年を比較して,異なる点は何か?を考えてみました.具体的には,攻守ともに以下の仮説を立てています.

  • 攻撃時に押し込みすぎることでゴール前の人口密度が過密となり,攻撃陣から空間および時間的余裕が失われ,それにより個々の高い技能を打ち消してしまっているのではないか?
    • 2018年は今年ほどボール支配率は高くなく(2018年:50.5%, 2019年:58.6%),空間に余裕のあるカウンター攻撃が多かったのでは?
  • 自ゴールから離れたところで長時間ボールが保持できるのは攻撃的な守備とも解釈できるのですが,自ゴール前に空けている空間が守備陣が管理できる量を超えているのではないか?
  • 上記の特徴から,相手チームによっては「ゴール前に人数をかけて守備し,広い空間のカウンターで好機を作る」戦略が明確に有利にとなり,それを遂行されてしまっているのではないか?

ここしばらく,試合結果ではあまり良くない状況ではあるのですが,これから選手・監督・チームを挙げてどのように修正するのか(もしくは修正しないのか!)を興味深く見守っていきたいと思います.

長文ご拝読ありがとうございました.

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