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名古屋グランパスについて語り合うページ

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Per aspera ad astra.

すでに青井さん @Nacky_FENGCD にも、総括「風は去り、西より旅人来る」を書いて頂いていますが、私からも少し書かせて下さい。被っている分もあれば、主に、ファミリーの皆様への僕のメッセージです。

Per aspera ad astra.

「ペル・アスペラ・アド・アストラ」と発音します。

per(ペル)は前置詞で、「を貫いて」「を通じて」を意味します。

aspera は、「困難な」を意味する形容詞です。ここでは中性名詞としての意味を持ち、「困難」を意味します。

ad は前置詞で、「の方へ」の意味を持ちます。

astra は「天、星座」を意味する名詞です。転じて、「栄光」を意味することもあります。

まとめると「困難を乗り越えて、栄光を獲得する」という意味で解釈できます。

ちょうど今、上映されているブラッド・ピット主演の映画「アド・アストラ」と、先日最終回を迎えたアニメーション「彼方のアストラ」でどちらもこの言葉が引用されています。

今、名古屋グランパスは困難に喘いでいます。わたしたちファミリーは、乗り越えることができるでしょうか。

なぜここまでの苦境に陥ったのか

開幕当初、ハイスピードで勝ち点を積み上げていった名古屋グランパス。これはひょっとして、と期待した方も多かったのではないでしょうか。

青井さんにフットボリスタで書いて頂いた記事、「名古屋グランパス好調の要因は守備戦術にあった」のなかで、序盤の好調の原因は、「即時奪回」「攻守一体」が実現できるようになったから、と説明していただきました。わたしもそれは100%の同意ですが、「このサッカー、名古屋が強いって言われる夏場にできるのかな?」とも思っていました。即時奪回には強度の高いプレスと運動量が必要ですが、それがキープできるだろうか。まだ起きてもいないことを書いて他の人に心配はかけたくなかったので書きませんでしたが、不安はありました。

選手の質を担保できないとJ1では勝ち続けることはできない

しかし夏場よりも早く、丸山祐市と米本拓司の離脱でサッカーがおかしくなってしまいました。

どんなに素晴らしい戦術であっても選手の質がなければ、それを実行することはできません。

逆に選手の質が担保されていれば、戦術がうまくいっていなくてもある程度は勝つことができます。(あくまでもある程度は、です)。

名古屋の攻撃の要、ジョーとシャビエルが怪我の後遺症に悩んでいます。センターラインの米本拓司と丸山祐市が居ませんでした。これだけで去年の夏の連勝を支えた選手の質が担保できなくなってしまいます。これが苦境に陥った原因の1つ目。

変化をし続けられないとJ1では勝ち続けることはできない

もう1つは、シーズン通して好調のチームが出てこないのが今のJリーグだということ。序盤好調だったチームも、今のJリーグでは研究されて対策されてしまいます。去年のサンフレッチェ広島、FC東京、そして今年の名古屋グランパス。

なぜそんなことが起きるのでしょうか。風間さんはあまり気にしていないようでしたが、名古屋がJ2に落ちている間にこの数年で大きな進歩をしたのが、いわゆる「スカウティング」の分野です。どんな名選手であってもプレーの癖は数試合で見抜かれ、好き勝手にプレーができないのが現代のサッカー。ましてや風間さんのチーム、対策は楽だったでしょう。

なぜなら風間さんの考え方は、「どんなに相手が弱点を突いてきても、最高に強ければ勝てるんじゃない?」という考え方だからです。

それだと、本当に圧倒的な選手の質が必要なのですが、それも難しい。

ではどうやって対策を回避するか。止める蹴るに加えて、もう一つ、これが重要な「外す」というプレーの原則はキープしつつ、やり方を変えていくしかありません。

そこで言う変化をもたらせるのは、たとえば補強なわけです。名古屋グランパスは13~4名のコアなメンバーは揃いましたが、やり方を変えたときにマッチできるメンバーが揃っているとは言い難いのが現状です。

鹿島アントラーズにしても、横浜Fマリノスにしても、FC東京にしても、上位のチームは「え、この選手が途中から出てくるの?」というような控えがいます。名古屋グランパスでいえば相馬勇紀がそこにあたりましたが、いなくなってしまいました。

やり方を変えるための選手がいない、という問題がつきまといました。2016年末に20名以上の選手を放出してしまったツケは、まだ払い切れていません。そのあとも気前よく選手を放出し続けていることも原因の1つかもしれません。

選手を鍛えるのには限界がある

今いる選手を鍛えればいいじゃないか、というように考える方もいます。鍛えることができることにも限界があります。攻撃に特徴のある選手は数多くいますが、守備に特徴のある選手の絶対数は少なかったと思います。しかも守備的な選手を放出しつづけました。足りなくなったのは守備的ポジションなのに、攻撃的選手しかいない、というのでは難しいでしょう。攻撃的ポジションの選手を鍛えてコンバートはリスクがあります。相馬勇紀の移籍はサイドバック、ウィングバック起用が気に入らなかったのでは、と個人的には思っているくらいです。

では守備的ポジションの選手を鍛えるというのはどうでしょうか。風間さんは、プレーの品質を上げることにはかなり熱心ですが、本人がやりたいプレーではないものをやらせることに、強い忌避感を持っている人でした。

変化し続けることができなかったグランパス

今いる選手に新しいタスクをやらせることをしないなら、異なるタスクができる選手を補強することになります。(選手をどんどん入れていくことを好まない方もいるかもしれませんが、大きなクラブというのはそういうものです。)

昨年は、その時点で不足していたポジションを補強し、夏らしいサッカーができるように変化することができましたが、今年は補強は太田宏介と山田康太のみ。ともすれば「キャスティング主義」などと揶揄されることもある風間さんのサッカーでは、やり方を変えることはできませんでした。

「いつも通り。」グランパスのファミリーであれば、耳慣れた言葉ではありますが、それだけではダメだったのかもしれません。

名古屋は選手の止める蹴るの「基本技術」を磨いた。徹底的に。

他のチームは選手の技術だけじゃなく、チーム全体でスカウティングなど、総合的にチームを強化する道を選んだ。

グランパスも抜本的に変わるべきときがきたのかもしれません。

困難を乗り越えて、その先へ

2017年以降、名古屋グランパスの観客動員はとてつもなく増えています。これは、どうしてなんでしょうか。風間さんのサッカーが魅力的だったから、っていう意見もありますが、それだけでこれはないでしょう。清水さんたちを中心にはじめた、営業の新しい取り組みが上手く行っている、これは大きいと思いますが、それだけでもないでしょう。

ではこれだけ多くの人がグランパスに惹きつけられたのは何故なんでしょうか。

2016年にグランパスは壊れてしまいました。

ここに残りたい、と言って泣いた監督は去り、

見慣れた選手はほとんどいなくなってしまいました。

もっとキツかったのは、ファミリーの数名が「こんな誰も見たことがないグランパスなんて、グランパスじゃない」って言って、去ってしまったこと。

でも、新たにプレーヤーが集まり、小西社長が来て、清水専務(現)が来て、なにかが変わるぞって期待ができるようになりました。風間さんが来て、僕らの常識とはかけ離れたサッカーをはじめたことにドキドキだけじゃなくてワクワクもしました。

いったん焼け野原になってしまったけど、そこに「新しいグランパス」ができあがって行くこと、その「物語にこそみんな引き込まれたのではないでしょうか。

みんな、勝ったり負けたり、なかなか冴えないグランパスでしたが、新しいグランパスを作っていく物語を楽しんでいるから今も人がたくさん試合にやってくるのではないでしょうか。わたしはそう思っています。

今回、馴染みの監督が解任されるという、物語の起承転結で言えば、「転」にもなるような大事件が起こりました。

でもまだ物語は終わっていません。僕らも参加しているこの物語。ちょっと凹んでいる人も多いと思います。不安になっている人も多いと思います。

でもグランパスのファミリーみんなで、この困難を乗り越えて、このストーリーをハッピーエンドに繋げましょう。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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