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ラフプレーを減らすには〜柏MF 戸嶋選手の負傷から考えるルールとレフェリング〜

悲しいことに、2020年9月27日の試合で柏レイソル戸嶋選手が大怪我を負うトラブルがありました。悪意があってのプレーとはまったく思いませんが、ヒートアップしていてのことだと思います。

Jリーグジャッジリプレイの司会者、桑原さんからもこんな投げかけがありました。

そこになにかできることはないだろうか、という思いでOTC公式さんに依頼しました。サポーターの側からも、憎しみの連鎖を起こさないためにも、是非お読みください。

はじめに

皆さん、こんにちは。グラサポ審判&ルール担当(そんなのあるのか)のOTC公式(@Gram_Leorep)です。

最近グラぽのおかげか大変有難いことに、レフェリングやルールに関するコメントや質問を多くいただき、とても楽しませていただいています。

さて突然ですが、2020年9月27日明治安田生命J1リーグ19節 柏vs横浜FM 前半33分の戸嶋選手負傷のショッキングなシーンを目にした方も多いのではないでしょうか。

今シーズンの変則的な過密日程により選手達も消耗し、ただでさえ負傷が多くなっているこの中。

このようなラフプレーによる負傷者は出てほしくないですよね。

ということで、今回は「ラフプレーから考えるルールとレフェリング」について考えていきたいと思います。

グランパスには直接的に関係する事象ではありませんが、サッカーを愛する方には読んでいただければ嬉しいです。(なるべくグラサポの皆様にも親近感が湧くよう、例は名古屋のシーンも多めです。)

ラフプレーとは?

私の前回記事やグラぽ先生の記事で何度か登場しているラフプレー。もう一度おさらいしましょう。(もう知っているよ、という方は次の章へGo!)

皆さん、ラフプレーとなりえる反則が何種類あるかご存知ですか?

答えは7種類。「トリッピング」等の横文字表記の方が馴染みがあるかもしれません。括弧内に英語も併記しておきます。

  • チャージする。(Charging)
  • 飛びかかる。(Jumping at)
  • ける、または蹴ろうとする。 (Kicking)
  • 押す。(Pushing)
  • 打つ、または打とうとする(頭突きを含む)。(Striking)
  • タックルする、または、挑む。(Tackle)
  • つまずかせる、または、つまずかせようとする。(Tripping)

以上の7種類のファールが

「無謀に」犯された場合、ラフプレーとして警告。

「過剰に」犯された場合、危険なプレーとして退場でしたね。

「不用意に」犯されたら言わずもがなノーカード。

競技規則12条には、この「不用意」「無謀」「過剰」の定義が記載されています。(自分が先生なら、テストに出します)

  • 不用意(Careless):競技者が相手に挑むとき注意や配慮が欠けていると判断される、または、慎重さを欠いてプレーを行うこと。
  • 無謀(Reckless):競技者が危険にさらされていることを無視して、または、結果的に危険となるプレーを行うこと。
  • 過剰(Excessive):必要以上の力を用いて相手競技者の安全を危険にさらすこと。

ここで重要なのは、「負傷の度合い」は判定に考慮されないということです。あくまでも、ファールの強さ・危険度に関する判断となります。

余談ですが、「不用意」「無謀」「過剰」を判断するのはとても難しいことです。プロのレフェリーでもそれぞれの基準が微妙に異なっています。

私は趣味で、各国のリーグの退場プレー集や警告となったプレーを見るのが好きで、そのようなマニアックな趣味をもってしても、これらの差について、具体的な言葉で説明するのは非常に難しいです。色々な判定を見て、ストックをしていくしかないですね。

(語ると非常に長くなります)

私の記憶によく残っている分かりやすい「過剰」、つまり一発退場のシーンをいくつか貼っておきます。

「過剰」までではないけど、「危険だよね」というシーンが「無謀」という考え方でも、ひとまずはいいかなと思います。

  • 2020年 名古屋vs鹿島

https://youtu.be/08lR9Owfmdo

  • 2020年 神戸vs C大阪 動画では0:30頃

  • 2018年 町田vs甲府 動画では1:15頃

  • 2016年 福岡s名古屋 動画では0:39頃

柏vs横浜FM 前半33分のシーンの振り返り

さて、問題のシーンがこちら。動画では1:15あたり。

(負傷の程度が重いので、閲覧にはご注意を)

自分の見解では、PK&ラフプレーでイエローカード

理由としては、横浜FM松原選手はボールに正面からチャレンジしていた。ただし、足裏を見せての危険なアフターチャージなので、イエロー

これがボールに関係なく、脛に直接いったのであればレッドかなと。ただし、退場にする審判がいても、理解できるなという感想です。

似た事象として、2020年明治安田生命J1リーグ18節 G大阪 vs 名古屋グランパスの決勝ゴールのシーン。動画上では0:18あたり。

名古屋GKランゲラック選手がG大阪の小野瀬選手にアフターチャージ。これも微妙な強度ですが、ファールを取る主審がいてもおかしくはないと考えます。

(ただし、悪質度は柏の松原選手に比べて、大きく下がりますが)

いずれにせよ、横浜FMの松原選手のプレーはノーファール判定。

その理由としては以下の2点が考えられます。(ノーファールになった理由も、なんとなく理解できます)

  1. 場所がPAエリア内であったため、次のプレーが得点に繋がる可能性が高く、ボールの行方に目線が移った。(つまり、審判から見えていない)
  2. 場所がPAエリアということが審判の心理に影響させ、多少のコンタクトは流そうと判断した

もしもVARがあれば、上記A)の理由であれば、「見逃された重要な事象」としてVARが介入。B)の理由であれば、「明白な間違い」ではないので、VAR非介入です。

それでは、この件について追加制裁はあるのでしょうか。

その可能性と追加制裁については次の章へ。

試合後の追加制裁

サポーター歴が長い方であれば、たまに、試合後の日本サッカー協会の規律委員会で処分が出たという報道、見たことがあるのではないでしょうか?

規律委員会とは簡単にいうと、公式戦における違反行為について調査・審議・懲戒措置を決める組織です。

通常、主審によって退場や警告を受けた選手の出場停止やその他処分は、JFAの「懲罰規程」に則って決定されます。

https://jfa.jp/documents/pdf/basic/br26.pdf

ところが、例外もあります。それが追加制裁です。

追加制裁が課される要件については具体的に定まっていないものの、過去の事象から、「明白な間違え」または「見逃された重要な事象」について追加制裁が課されていることが分かります。

「明白な間違え」はシンプルです。大半が主審のカードの「人違い」です。

例えば、このシーン。

  • 2017年 町田vs名古屋

https://youtu.be/7mJuYLoD5PU

これは後日、出場停止の対象が、退場した町田の平戸選手から、実際にファールをした深津選手に変更されました。

一方、「見逃された重要な事象」についての追加制裁は、ハードルがとても高いものであると、過去のケースから言えます。

過去のケースで「極めて悪質な行為」として処分が言い渡されている例として、

  • 2019年、FC東京チャンヒョンス選手による、ボールの無いところでの相手選手への肘打ち(2試合出場停止)
  • 2015年、サガン鳥栖のキムミンヒョク選手による、金崎夢生選手への顔踏みつけ(4試合出場停止)

等です。このことから、当該ラフプレーについて追加制裁はほぼないと個人的には考えています。やはり、追加制裁はラフプレーというより、乱暴な行為が対象ですね。

VARもない、追加制裁もない、じゃぁどうすればラフプレーを減らせるの?(次の章へ続く)

レフェリング〜何故試合は荒れるのか〜

※ここからは完全に個人の見解です。お付き合いください。

ラフプレーを防ぐには、私はレフェリングが大きく影響すると考えています。

ところで、サポーターの方々がよく「主審がコントロールできていない」「試合が荒れないように、主審、コントロールしろよ!」と言っているのを目にします。

それでは皆さん、逆に「どうなったら試合をコントロールできずに荒れるのか」分かりますか?

質問を変えましょう。以下の事象が発生しました。どちらの試合が荒れる可能性が高いと思いますか?

  • ア)PA内の際どいハンドまたは、不用意なチャージが見逃され、得点のチャンスを失った
  • イ)得点に直結しない場所(サイドとか中盤とか)でのラフプレーが見逃された

実は意外とイ)だと考えています。

確かに、相手守備者のPKだったファール、見逃されたら腹立ちますよね?

でも矛先は相手競技者にはいかないかと思います。

一方で、ラフプレーが見逃された場合「さっきがファールじゃなかったから、これもノーファールだろう」と、エスカレートする可能性があります。その上、レフェリーへも当然ながら不信感が溜まります。

ここで、うまく選手とコミュニケーションが取れる主審であれば、事態は収集できるでしょう。しかし、うまくコミュニケーションが取れないと、もう目に見えています。

荒いプレーの応酬になり、レフェリーもファールやカードの基準があやふやになり、どれにファールを取ればいいのか、どれにカードを出せばいいのか分からず、最終的にコントロール不能に陥るわけです。

これが試合が荒れるカラクリです。

例えば、前代未聞とも言える、ATが18分あった清水vs神戸は皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

この試合、主審の柿沼さんは、ATまではほぼパーフェクトなレフェリングでした。しかし、AT中のラフプレーを立て続けに見逃し、収拾がつかなく大混乱が起きたわけです。

もちろん、ダービーやタイトルマッチ、元々荒いとされているチーム等それぞれの試合に特徴があります。

しかし、原理としては上記のようなものかと思います。

話を戻しましょう。それでは、荒らさない主審って、どんな主審でしょうか。

答えは明確です。ラフプレーを見逃さない主審です。見逃したとしても、コミュニケーション能力に長けている審判もそうだと言えるでしょう。(例えば、東城さん、村上さん、山本さん、佐藤さん、西村さんあたり)

実は、荒らさない主審について、私も過去に何度かツイートしております。

ここで私が「試合が荒れない」要因として言及している事は以下の2つです。

  • 基準がしっかりしていて、丁寧にファールを取る
  • ディフェンスへのファールをちゃんと見てくれる(ディフェンスへのファールをしっかり見ると、抑止力に繋がるため)

これらは全て、ラフプレーを見逃さずに試合をコントロールする条件だと思っています。逆にいうと、基準がふわっとしている主審は要注意です(誰とは言いませんが)

重要局面の判定を間違えないことはもちろん大事。

しかし、これからはVARが入ってきて(今シーズンはありませんが)、重要局面のジャッジングはテクノロジーが補完してくれます。

なので、これからより重要になることは「大きな重要な判定」よりも「着実で丁寧なレフェリング」と「選手とのコミュニケーション」だと信じています。

サポーターの皆さん、今シーズンはまだまだ、重要局面における納得のいかない判定は続くはずです。人間の目には限界がありますから。

しかし、その判定一つ一つの正誤や自チームとの相性でレフェリーの実力を図るのではなく、レフェリーがどうコミュニケーションを取ってるか、どんな理由でファールを取ったか(取っていないか)を見てみてください。

意外とジャッジを尊重できたり、レフェリーをリスペクトできたりします。

また、「カードを出さない」「試合を止めない」ことはレフェリーが目指すところではありません。

試合を「安全」に、「公平」かつ「公正」に成立させることがレフェリーの目指すところです。

その観点でレフェリーを見てみると案外面白いかもしれません。

今後より多く、フェアでタフな試合が見れることをJリーグ関係者全てに期待しています。

長文、お読みいただきありがとうございました。
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About The Author

OTC公式
東京在住のグラサポ。平日はコンサルタント、休日はグランパスのゴール裏サポ。審判マニアも兼務。⚽️🏆🇧🇷主にグランパス関連のブラジルでの報道・レフェリー関連のツイートをします。グラサポさん、他サポの方、仲良くして下さい!😄#1 #関東グラサポ U can talk to me in 🇬🇧🇵🇹🇯🇵.
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