踏みとどまった日
内容が悪くない時間帯がお互いにポツポツとあり、お互いボールを譲り合うような展開の試合に勝利したグランパス。来週には後半戦の山場のセレッソ戦がやってくる。その試合を前に得る物はあっただろうか?みなさんの感じるこの試合で“得たモノ”を是非教えてください!
スタメンと配置
浦和は名古屋が大勝した試合からシステムを変更し442を採用。マルティノスが初先発となった。(後々ここが最大の危険ポイントとなる。)
一方、名古屋は阿部とシャビエルの「パスの出し手」をベンチにおき、前線4枚で全てを完結させてこい!リスクは取りません!という、鉄の意志を感じるスタメン。そうなるとサイドバックは当然オジェソクと吉田という最少人数(縦の2人の関係)で連携するのが得意な人選に。
浦和の攻め所
浦和は攻撃の際、どっちかのサイドで密集を作りそこから逆へ展開(主に左から右)する形。名古屋は守備の形をスライドしないと前進を許してしまうのでスライドして構え直すか、逆へ展開した時に強く当たってボールを取るしかない。
当然そこでボールが取られれば浦和自身も選手の枚数が少ないところなため一気にピンチにはなる。
前半8分の名古屋のピンチのシーンはまさに浦和が思い描いた展開。逆に展開したときに相馬が中途半端につめてしまい名古屋の守備の形が崩れる。
名古屋のボランチ二枚のスライドが間に合っていないためマルティノスが受けて前を向く広大なスペースが出来る。形が崩れてるため名古屋は構えて待つことが出来ずに吉田がマルティノスにつめてかわされる。そこから速いクロスに興梠が合わせた。
早く逆サイドに展開出来なかった場合の攻撃の形もあった。
ボールを持っている時、浦和のサイドバック(特に橋岡)がかなり高い位置まで上がっていた。それによって相馬を引き出して、マルティノスへ配球するという形だ。
この時吉田が構えたままなら、マルティノスでラインを押し込みながら名古屋のサイドバックとセンターバックの間をスペースを米本、稲垣にケアさせる。ケアしないのであればそのスペースを使う。ケアされたら中を使う。という枠組みもボール保持の時は組んできた。
タッチライン際でサイドの選手にプレーさせることで名古屋の守備の形を横に引き延ばそうとしていた。
浦和の連携がそこまで出来上がっていなかったのもあったのだろうか。幸いにも横に延ばされた名古屋のブロックのスキマに走りこまれ続けるような展開がなかったので見た目ではたいしたことはなかったがピッチにいる選手はかなりのプレッシャーをあのスペースに感じていたはずだ。
課題を修正したものの・・・
再三の浦和の攻撃を防げた要因はランゲラックのスーパーセーブの他にもう一つある。それは名古屋の守備の時の選手の距離感だった。
敗戦したガンバ大阪戦で、中谷は「中盤と最終ラインの守備意識(選手間の距離)」のズレを指摘していた。しかしその後の清水戦、神戸戦は修正されないままここまで来ていた。
しかし、今回の浦和戦では最終ラインと中盤の距離感を適切に保ち続け、ガンバ戦で選手たちが気付いた課題は見事に修正された。が…
何かを失った。それは、ボールを取りに行くアクションとボール保持の意志だ。
35.5% – 名古屋は第20節浦和戦を35.4%のポゼッションで勝利。今季のJ1では、ポゼッションが40%を下回った4試合でチームは全勝している。強固。
— OptaJiro (@OptaJiro) October 4, 2020
今回は恐らくサイドの裏を取られたくない事もあり、ラインが全体的に低くなってしまった。そのため最終ラインと中盤の距離感が適切になった代わりに前線のプレスに連動する選手がいなくなった。
データによるとボール保持率40パーセント以下の試合はチームは負けなしという事なのでこれでいいのかもしれないが‥‥
中谷が言っていた選手間の距離のズレの修正と言うのはこれで良かったのだろうか・・・
それでは、今私の頭の中に流れている曲をお聞きください
「違う、そうじゃない/鈴木雅之」
守備陣と攻撃陣の意識の違い
少々心配なの攻撃陣と守備陣の“攻め方”の考え方が違うことだ。
試合を見返せば聞こえてくると思うが、狭いサイドを崩そうとする攻撃陣に対してセンターバックの2人が耳にタコができるぐらいに「逆サイド」と叫んでいた。守備陣(特にセンターバック2人)は「リスク」の3文字を頭から消したいように見えた。
それに従いサイドへの展開をミス。かと思えば得点は狭いところを勝負して針の穴を通してゴールを奪う。
渋々逆サイドに展開したマテウスは、腑に落ちない様子で監督となにか話している姿も見られた。
未だに前線の攻撃陣と守備陣の「したい事」のズレがあるというのは少々いただけない。インサイドグランパスでは「選手同士話し合った」と言っていたが話し合ってこの状態なのは不安材料の1つではある。一週間ある準備期間でなんとかセレッソ戦までに修正して欲しい。
良かった所
- 勝ち。(引いてくる相手に勝てたのは大きいかと)
- 相馬君!もうちょっとで爆発!?
- 早くランゲラックの銅像を立てましょう。(最近ハイボールの処理、飛び出し等が積極的になっている。まだまだ進化してくれるのか!?)
- ちょっとだけ「サスパス」の兆しが選手達に?
心配な所
- 意思の疎通がまだ・・
- 引かれた相手には相変わらず個の力頼みなのは変わらず・・・
- 縦の距離感が整理されれば、当然今度は相手からしたら横の距離感を伸ばしますよね…という分かりやすい展開
- ボールの取り所クンがまた家出してしまいました。
最後に
今節、村井チェアマンが試合へのアテンドに伴うインタビューのなかで、「新しい観戦方式の中での“禁止行為”」について言及した。解説者の方やサッカーに関わる方もその行為について言及するような状況になってしまった。
私たち名古屋グランパスの試合も収容人数制限が緩和され、複数枚チケットが取れるようになり、お友達同士でも観に行ける状況になった。
そうなった今だからこそ一度、他所ではなく自分たちに目を向けて少しだけ気を引き締め直して見ませんか?
どこの誰からも文句が出ないような「最高な環境作り」
名古屋のファミリーの力なら出来ると思う。
一週間空いてホームでセレッソ戦を迎える。瑞穂に感謝の勝ち星を1つでも沢山飾ってあげましょう。