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ウノゼロの功罪 – 楽しめこの瞬間を

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はじめに

サッカーで一番盛り上がる瞬間は?

この問いに対する答えは回答者の数だけあるが、万人が共感できる落としどころはゴールが決まった瞬間であることは疑う余地がないだろう。

それでは、

ゴールが決まれば決まるほど試合は面白くなるのか?

この問いに関しては意見が分かれるだろうが、私の考えは No だ。

私が知る限り、最も得点が多く入るスポーツはバスケットボールである。しかし、バスケットボールはサッカーなどと並ぶ世界的な人気スポーツであるが、ぶっちぎりの一番人気ではない。野球もサッカーよりも得点が入るが、バスケットボールと同様である。得点の量はスポーツの面白さを担保するものではないのだろう。

反対に、サッカーは最も得点が入らないスポーツである。サッカーを退屈に感じる理由として、「得点が全然入らない」という意見を聞く。確かにサッカーは他のスポーツと比べて得点が入らない。例えば、2020シーズンのJ1リーグで最も多かったスコアは1-0 (58試合), 次いで2-1 (43試合)であり、両チーム1点も入らない 0-0 も20試合あった。

(https://note.com/yarusenaisyachi/n/n64a558c6ce65)

程度の差こそあれど、どの国のリーグにおいても同じロースコアの傾向を示すだろう。

しかし、私は「得点が全然入らない」ことこそがサッカーの魅力の一つであると思う。

自分の部屋の匂いや香水は気にならないのに、他人の匂いが気になってしまうという経験はないだろうか?

これは馴化(habituation)と呼ばれる現象で、普段の生活で刺激(匂いなど)を繰り返し受けることで、その刺激に対しての応答が鈍るのである。感覚というものは普段との変化を鋭敏に感知するものである、そのため日常的に感じる刺激に対しての応答は弱くなる。

その一方で、特定の刺激に対して敏感になる場合もある。

「空腹は最高のスパイス」と言うように、お腹がすいている時に食べたご飯をおいしく感じた事は誰にでもあるだろう。実際に、空腹状態では味覚の感受性が上がることがアホロートル(ウーパールーパー)で報告されている。また、繁殖期の魚では異性の匂いに対して強く応答することも知られている。このように感覚は個体の生理状態によって変化するのである。

これはサッカーでも同じでは無いだろうか?

90分間で決まる得点は両チーム合わせても1-2回。つまり、ほとんどの時間帯でスコアが動いていないのである。それ故に、得点が決まるとピッチ上の選手やスタッフは皆喜び、得点者を称え、スタジアムは大きな歓声に包まれる。サポーターもガッツポーズしたり、ハイタッチやハグをかわし、感情を爆発させる。たった1得点、試合に勝ったわけでもないのに。こんなスポーツが他にあるだろうか。この感情の激動は、長い時間スコアが動かないことから生じるものでは無いだろうか。

たくさん得点が入った試合でも同じように感情を爆発できるのだろうか?

複数得点が入った時の感情を思い出してみる。

1得点目「よっしゃあああああああ!!!!!!!見たかオラあ!」

2得点目「よし!よしよし!!!」

3得点目「おっしゃ!」

と言った具合で、感情の上がり幅は1得点目が最大で、得点数が増える毎にだんだん小さくなり、いずれプラトーに達する。同じ1得点であっても、感情が最も変化するのは1得点目ではないかと考える。

ワールドカップ予選、日本対モンゴルの試合で、得点が増えるにつれて、実況・解説のリアクションが難しくなっていったことは記憶に新しい。

このように、得点数に対して感情の変化は対数関数的な増加を示すのかも知れない。

反対に、失点した場合も一番落ち込むのは1失点目で、そこから失点が増えても1失点目よりも気持ちが落ち込むことは少ないのではないだろうか。

ゴールを決めることが難しいために、その1ゴールが大きな興奮を生むのではないだろうか。

そう考えると、1-0、所謂ウノゼロは最も感情の変化量が大きいのではないだろうか?

ゴールに飢えたサポーターは感覚器の感度を最大にして、ボールを蹴る音や選手の一挙手一投足を全身で余すことなく感じ、今か今かとゴールを渇望する。そして、ゴールが決まった瞬間、それまでに貯め込んだ全ての感情を爆発させ、反対に決められた側はそれまでに貯め込んだ分だけ落ち込むのではないだろうか。

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ウノゼロの功罪

さて、昨シーズンからグランパスは組織だった守備が特徴のチームと位置づけられるようになった。その代名詞が「ウノゼロ」である。

今シーズン、メディアなどでもよく「ウノゼロ」について頻繁に取り上げられていたが、これがグランパスに取って、プラスにはたらいていたと思う。

印象的なのは米本のインタビューでの発言だ。

「1点取れば勝てるという自信が自分たちの中にある」

https://www.chunichi.co.jp/article/237887

ワンチャンスさえモノにすれば勝てるという自信があるため、多少苦しい展開でも、焦らず冷静にプレーできたのだろう。

この「ウノゼロ」はある種の強力な魔法で、0-0の状況ではグランパスの選手が自分達のペースである様に思わせる。さらに先制をすることで、この魔法は真価を発揮する。

グランパスの選手は自分たちの勝ちパターンに持ち込めたことで自信と余裕が生まれる。反対に相手チームには負けパターンに持ち込まれたことで、焦りと不安を与える。この魔法はウノゼロでグランパスが勝ち星を積み上げる毎に、メディアで取り上げらえる毎に強力になる。

ウノを決められた際の相手チームが感じる絶望感は他のクラブからの失点とは全く異質だったのではないだろうか。

その一方で、先制点を奪われるとこの魔法はひっくり返る。自分たちの自身の根幹である守備を崩されたことで不安が生じ、一刻も早く、複数得点を奪わなければという焦りが出る。

反対に相手チームは堅い守備を撃ち破ったことで、自信を持ってプレーすることができる。この作用もまた、ウノゼロが上手くいっている時ほど強く、選手たちに重くのしかかる。

言い換えるならば、ウノゼロはバフとデバフが表裏一体の呪いである。

この呪いは、上手くいき過ぎた、先制されることも、追いつかれる事もなかった故に生じたものである。

この呪いに打ち勝つためには、チームが培ってきた守備力を過信しすぎず、追いかける側に回った時の戦い方を身に着ける必要があるだろう。

The Bends

ヒトという生き物は実にシビアで、上手くいっている時には「俺は詳しいんだ」と訳知り顔

で饒舌に語るが、上手くいかなくなった途端、素知らぬ顔で手の平を返す。

4/29に豊田スタジアムで行われた川崎との一戦に対するリアクションは、注目度の高さからか想像を絶する厳しいものであった。

グランパスサポーターの中にも、川崎との差を感じ、ショックを受けた方が多くいたかもしれない。川崎はこの10年間ほとんど上位で優勝争いを繰り広げており、積み上げてきた時間や経験値が違う。

それに対してグランパスはボトムハーフが定位置で、残留争いばかりであった。優勝争いに絡めるのもちょうど10年ぶりだ。下位から急浮上したせいか、クラブ・サポーターともに優勝争いの経験値不足で浮き足立っていたことは否めない。

しかし、この10年間で、今が最も優勝に近づいている事は確かな事実である。これからも優勝争いができる保証なんてどこにもない。

浮き足立っていてもいいじゃないか。かつてない好成績を修めているのだから。応援しているクラブが少しずつ積み上げて、優勝争いを繰り広げる様を体感できるなんてサポーター冥利に尽きる出来事である。

今、全力で応援せずにいつ応援するのか。

楽しめ、この瞬間を

残念ながら、こんなに苦しい状況であっても、我々はスタジアムで声を張り上げて鼓舞することができない。

それどころか、アウェイ等々力で行われるため、GLAPすら選手に届けることも叶わない。

そんな中でも、届くかどうかわからないが、ポジティブな言葉を選手・スタッフに少しでも伝えたい、鼓舞したいという思いから、本稿をグラぽさんに寄稿した。

本稿を契機に、グランパスの選手・スタッフを鼓舞するようなメッセージがSNS上で増えてくれたらと願う。

SNSでの情報は少なからず、選手やスタッフにも伝わる。どうせ伝わるのならポジティブな言葉を伝えたい。

たとえ声が出せずとも、現地に行けずとも、共に戦いぬくサポーターが確かにいることを。

空飛ぶ鯱

ホームでの大敗、世間からの厳しい評価、完全アウェイでの直接対決

今まさにグランパスは崖っぷちで逆風を浴びている。

しかしながら、逆風がふいている時こそ、高く飛べるのである。

飛行機があんなに高く飛べるのも凄まじい空気の抵抗があるからこそなのだ。

未だかつてないほど厳しい状況で行われるこの1戦をモノにできたら、グランパスはもっと高く飛べるような気がするのだ。

ここまで書き連ねた私のポエムが、ただのポエムで終わらぬよう、共に戦おう。

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About The Author

やるせない鯱
お初にお目にかかります。やるせない鯱(
@xuyzRSLkBfdhAYC
)と申します。
簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
生まれも育ちも大都会豊橋、名古屋市在住のB自由席が指定席のグラサポです。
中学校にサッカー部がなかったため、サッカーは小学校年代までで、それ以降は軟式テニスをずっとプレーしてきました。
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