早いもので今週末にはJリーグが開幕。小さなけが人などは出ましたが、コロナ感染による中断やトラブルもなく沖縄キャンプを乗り越え、昨季よりも良い形でシーズンに入ることが出来そうです。開幕にあたり、見どころはどこにあるのか、個人的な興味にはなりますが書き連ねていきたいと思います。
昨季を振り返って
昨季を振り返る際、避けて通れないのが
得点:30
という数値。「優勝するには50点必要」とされる中で、その前2季の40点台からの大幅後退となりました。その原因については一連の2022レビュー記事のうち、Neilsさんが
という記事の中で分析されている通り、
- アタッキングサードや敵陣ペナルティエリアへの侵入率の低さが前体制から継続されただけでなく、よりパスをつながない( or つなげない)チームとなり、パス数・ボール支配率ともにリーグ下位
- シュートの「量」(総本数)は昨季比で上昇しリーグ3位となったが、枠内シュート率や枠内シュートの得点率の低下が著しく、トータルでは収支がマイナスとなってしまった
といったところに帰結するであろうことは、見ていた印象からも同意したいところです。今季はここがいかに解消されるのかが見どころになるでしょう。
キャンプ報道などから見える今季のコンセプト
皆様ご存じのとおり、今オフには浦和よりスピードとサイズのあるストライカーであるキャスパー・ユンカーが加入。昨季帰ってこられずそのまま退団の憂き目に遭ったシュヴィルツォクの穴を埋め、ある部分では上回る能力を持つ存在です。「後は決めるだけ」と言わせるくらいシュートが増えていたチームを後押しするであろうことは間違いありません。それにしても、監督が変わろうとコンセプトが変わろうと、チャンスを作って点がとれていなければ「後は決めるだけ」になるわけでサッカーというのは難しいスポーツですね。
クバ→キャスパーにストライカーが替わったことで、一番大きく変化しそうなのが縦へのスピードです。皆様もご存じのことと思いますが、キャスパーは非常に速い選手。マテウスカストロや永井にも引けを取りません。その3人+森下あたりだけでロングカウンターを完遂できるレベルでしょう。
一方、新加入の山田陸の出遅れなどもあり、中盤の組み合わせが稲垣米本になっている影響か、最後方からつないでいく形はチャレンジはしているもののまだまだ発展途上、といった印象は否めません。ここは怪我人の回復・新加入の選手のフィットを待ちつつ、組み合わせを試しながら少しずつ進歩させていくことになりそうです。
このことから、開幕からしばらくはロングボールによる陣地回復をメインにボールを運ぶことになりそうです。昨季は、真ん中に張っているCFにただ蹴るというか蹴らされる形で相手に回収され、ボールを進められませんでした。今季はキャスパーをサイドに走らせたり、マテウスカストロや永井を裏抜けさせたりと、相手のいないスペースに狙って蹴りこむというシーンが増えそうです。その手段をちらつかせたところで、空いた中盤を使って前進する、というカードと組み合わせることができればどちらの手段も効果が増すはず。昨季のような「プレスをかけられると緊急避難で蹴とばす以外の手がない」状況を脱することが出来るだけでも、特に前半戦は大きな前進と感じられるのではないでしょうか。
予想開幕スタメンと、使い分けたい理想スタメン
最後に、予想開幕スタメンと、「こういうのが見たい」という理想スタメンを。
開幕予想スタメンは3-4-3。中盤の底が米本稲垣になった場合地上戦での短いパスによる前進は難しくなりそうなので、キャスパーの斜め走りやマテウスカストロ、永井の裏抜けで陣地回復を図りつつ中盤スペースを緩め、そこを和泉に使ってもらうという形になると予想します。とはいえ、そればかりでは手詰まりになりそうで、もう少しダイナミズムがあり狭いところでも闘える形が欲しい。となった場合の「こういうのが見られたらいいなあ」が下のカタチです。
こちらは3-4-2-1でもう少しボールを持ちたいときに。山田と和泉が頑張って、甲田のいいところを引き出す形が出来るとダイナミズムが産まれるのでは、という期待をこめています。
今季は派手ではありませんが必要なポジションに楽しみな選手を補強し、また成長が楽しみな選手がたくさんいるシーズンとなりました。勝利ももちろん大事なことですが、それと同じくらい大事なのは「シーズンが終わってチームと選手の成長の手ごたえがあること」です。レビュー時にそういうレビューが書けるシーズンになることを祈りつつ、見守りたいと思います。