皆様、SDGsってご存じですか?(3年連続3回目)
一昨年、昨年と選手構成からサッカークラブのSDGs、つまり成長持続性を見てみよう、という趣旨でデータを見てきたわけですが、やはりこういうデータは定点観測してこそ味が出るもの。
今年も主に起用時間の観点から、2021年・2022年との比較を軸に、どのような変化が起こったのかを探ってまいりましょう。
<データ1 リーグ・カップ戦で最低1試合出場した選手の数、比率>
まずは資料1、リーグ・カップ戦で最低1試合以上出場した選手の数のグラフをご覧ください。
ACL出場などもあり若手の出場機会が極めて限定された2021年、ベテランの補強などで相対的に30歳以上の人数が多かった2022年を経て、2023年はとうとう26歳以下の出場選手が全体の5割を上回りました。
2023年はルヴァン杯において良い形でGLを勝ち抜き決定できたことで、最後の試合を消化試合として若手抜擢に使うことができた、という部分は極めて大きかったように思います。
残念ながらその試合は結果としては必ずしも芳しくなかった(0-1で敗戦)とは思いますが、扱いがリーグとは異なるとはいえ立派な公式戦の経験。
そして、若手は練習で課題を解消するにしても、課題の洗い出しと進捗確認に実戦経験は必要不可欠です。
2023年の経験を活かし、何人の若鯱がたくましい姿を見せてくれるか、期待したいですね。
<データ2 リーグ戦での年齢層別出場時間>
続けて、リーグ戦での出場時間数のグラフです。総時間を100とした比率のグラフとなります。
2022年と比較していただくと、D、つまり27~29歳の働き盛りの選手の出場時間比率がかなり上がっていることが分かると思います。
2023年のリーグについては明確に結果を追い、実際に前半戦は結果が出せていたシーズンでした。
その中核になったのは帰還した和泉であり、レンタル移籍でチームトップの得点をたたき出したキャスパー・ユンカーです。
彼らの加入と活躍によってチームとしては年齢バランスは格段に良化。
若手の出場時間は大きく変わってはいませんが途中交代などで定期的に(そして結果が出るのを祈るように)使われており、若手に出場機会を与えつつも結果を残しにいくという意味では理想的なバランスの出場時間だったのではないでしょうか。
<データ3 カップ戦での年齢層別出場時間>
こちらは、カップ戦(ルヴァン杯、天皇杯)の出場時間で、総時間を100とした比率のグラフです。
2022年のグラフに比べると、
- ・E・F→30歳以上の選手の出場時間比率が圧縮
- ・D→27~29歳の選手の出場時間比率が増加
- ・A→20歳以下の選手の出場時間比率が低下
あたりが特徴として見て取れると思います。
これはルヴァン杯・天皇杯ともに前年より一つタイトルに近づいたこともあり、より「タイトルという結果」を目指した出場時間の配分だったということではないかと考えます。
また個別に試合ごとの出場メンバーを見てみても、天皇杯初戦およびルヴァン杯GL最終戦以外では一度に多くの若手にチャンスをあげる、というよりは起用ローテに入っている選手を主にしてクオリティを担保しつつそこに入ったラージグループの中堅若手が何ができるかを見る、という、その後のリーグ戦などでの起用も見越したやり方だったように感じています。
2023シーズンを出場機会の面から振り返ると
タイトルを意識できそうな前半戦と、試行錯誤が実らなかった後半戦という、浮き沈みの激しい1年だった2023。
柱石を失った後半はある意味で翌年もどうなるのかと思わせるようななりふり構わぬ試行錯誤ぶりでした。
そんな中でも、しっかり若手にチャンスを与えていった長谷川監督の腹の括り方はある意味流石だったと言えるでしょう。
更に主力を失ったこのオフではありますが、あの年齢になってなお外にも新しい知見を求め、クラブからリクエストされた若手コーチと仕事ができる長谷川監督の適応能力は感心するばかりです。
その適応能力がどのように実るのか、選手がどのように応えるのかが楽しみです。