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サッカークラブのSDGsを選手構成から見てみよう、のグランパス版答え合わせ~ 2021年以降を振り返る #grampus

 皆さま、SDGsってご存じですか?(1年ぶり2回目)

 世界的には色々状況が変わり、そんなことのんびり言っている場合でもなくなっている部分もあるにはあるのですが、ご存じでない方もご存じの方も、まずはこちらの記事を読み返していただけるとありがたいです。

 その記事の結びで私は、2022年以降のグランパスの状況について、

「2013を経た2014よりは若干マシなスタート地点だが、この2年の舵取りを誤ると2016シーズンの再演がありうる」

 という風に書きました。あれから1年。2022年はこの観点からみてどのようなシーズンになったのでしょうか。主に選手の起用時間の観点から2021年との比較を軸に、名古屋グランパスのSDGsが進んでいるのかいないのか、追ってみることといたしましょう。

<データ1 リーグ・カップ戦で最低1試合出場した選手の比率>

 まずは資料1、リーグ・カップ戦で最低1試合以上出場した選手の数のグラフをご覧ください。

資料1 リーグ・カップ戦で最低1試合以上出場した選手の数
資料1 リーグ・カップ戦で最低1試合以上出場した選手の数

 2021はACLなどへの出場もあり、延べで僅か26人と、リーグでも抜きんでて少ない人数に出番が集中。なおかつ、出番を得た26歳以下の人数の比率も38%となっていました。

 それに比べると2022は特別指定選手の出場機会も含めて出場機会を得た人数は急増。率としてはシーズン途中のベテラン補強もあって44%と微増にとどまっていますが、26歳以下でピッチに立った選手が5人も増えた、という事実は、起用の方針が昨季とはかなり異なっていたことを物語っているのではないかと思います。

<データ2 リーグ戦での年齢層別出場時間>

 では続けて、リーグ戦での出場時間数のグラフを見てみましょう。資料2-1をご覧ください。

資料2-1 リーグ戦での年齢層別出場時間数
資料2-1 リーグ戦での年齢層別出場時間数

 …おや?

 リーグ戦なのに年ごとでどうしてこんなに総時間数に違いがあるのだろう、と3分ほど思考が止まりました。

 …2021は20チームでリーグをやっていたことをすっかり失念していました。これでは比べづらいので、総時間を100%とした比率で比較してみましょう。資料2-2をご覧ください。

資料2-2 リーグ戦での年齢層別出場時間比率
資料2-2 リーグ戦での年齢層別出場時間比率

 まず一番目立つのは昨季いなかった33歳以上の選手の時間ですが、これはレオシルバの加入だけでなく、ランゲラックと丸山が加齢でこのカテゴリに入ったことが影響しています。同様にカテゴリ移動があったのが稲垣と長澤(30~32歳に移行)、マテウスカストロ(27~29歳に移行)、相馬と森下(24~26歳に移行)です。

 大きく減っているのは27歳~29歳のカテゴリで、これは今季も居ればここに含まれていたはずの、一定以上の出場時間を得ていた木本、シャビエル、前田、山﨑、キムミンテ、シュヴィルツォクが移籍もしくは出場停止で離脱した影響です。また、同じ年齢層で後釜となった選手の内、仙頭とレオナルドはチーム戦術とのマッチングの問題、河面酒井は怪我で出場時間が大きく限定されたため、昨季ほどの出場時間確保は出来ませんでした。本来であれば働き盛りのこのカテゴリの出場時間がこれだけ減っているのはやはり全体の戦力運用を難しくします。なんといってもシュヴィルツォクがこのカテゴリですから、やはり彼の離脱はあらゆる意味で大きかったのは間違いありません。

 一方、資料1で示しているように、僅か2名しか居なかった(つまり、大卒くらいの年齢の若手が2名のみ)21~23歳のカテゴリですが、その人数(比率でも5%強)に比してまずまずの出場時間比率(10%強)を確保しました。これは、何と言っても3バックシステムの導入に伴って、藤井が定位置をほぼ取り切ったことが極めて大きかったと思います。またシーズン途中で加入した内田も試行錯誤されながら一定以上の出番を確保しており、来季以降に希望が持てる結果となったのではないかと思います(海外移籍?知らない子ですね…?)

<データ3 カップ戦での年齢層別出場時間>

 では、カップ戦となるとどうでしょうか。資料3-1を見ていただいても分かりますが、ACLがあった昨季となかった今季では試合数=総出場時間は異なります。

資料3-1 カップ戦での年齢層別出場時間数
資料3-1 カップ戦での年齢層別出場時間数

 そこで、リーグの時と同じように、総時間に対する比率で比較してみたのが資料3-2です。

資料3-2 カップ戦での年齢層別出場時間比率
資料3-2 カップ戦での年齢層別出場時間比率

 やはりリーグの時と同じように働き盛りの27~29歳のカテゴリの出場時間は大幅に減り、その分大ベテランの奮闘でまかなっていた構図に変わりありません。ただ一方で明確に伸びているのが20歳以下および21~23歳の選手の比率。21~23歳の選手はそもそも藤井と内田しかいませんでしたからリーグの時と同様藤井の躍進が大きいのですが、20歳以下の選手については、ルヴァン杯で吉田温と甲田が2試合ずつ、天皇杯では吉田温、吉田晃、石田が2試合と豊田、貴田が1試合でスタメン出場を果たしています。

 コンペティションの違いの影響が大きい部分はあるものの、監督交代の目論見のひとつであったと思われる「若手に出場機会を与える」というミッションはある程度達成できたのではないかと思える出場比率に少し安心したのは間違いありません。

 この経験を活かして、2023シーズンに一人でも多くの若手が飛躍することを期待したいですね。

<2023シーズンに向けて>

 ちょうど新体制発表会も終わりましたので、2022シーズンと2023シーズンの選手年齢分布を比較して〆としたいと思います。資料4をご覧ください。

資料4 シーズン当初名古屋グランパスの選手年齢分布(2022年/23年)
資料4 シーズン当初名古屋グランパスの選手年齢分布(2022年/23年)

 21~23歳の選手がその時点で藤井しかいなかった(=大卒選手がマトモにとれないのが続いていた)こと、27歳以上の選手(特に30歳以上)の比率が高かったことなど、昨季時点でも編成の歪さは指摘されていました。

 それがどうでしょう。このオフの動きで年齢層の歪みはものの見事に是正。驚くほどバランスの良い布陣に仕上がりました。ポジションごとで分けていっても大ベテランと若手の組み合わせになるGK以外はベテラン中堅若手がそれなりにバランスよく在籍しており、ベテランの背中を若手が見ながらも、競争をしていくという下地は整ったのではないかと感じました。

 もちろん長いシーズンですから、怪我、移籍、伸び悩みなど、思うようにならない場面はたくさん訪れることでしょう。ただ、このオフの動きについては、この数年の「とにかくその年の稼働のみを重視したベテラン偏重の補強と起用」の負債を精算し、持続可能な方向にシフトしていくという強い意志を感じる強化方針だったことを私は高く評価したいと考えています。

 料理の材料は揃いました。2年目を迎えるシェフ長谷川がどんな料理を提供してくれるのか、開幕を楽しみに待ちたいところですね。

About The Author

青井高平
愛知の片田舎出身・在住の本業サラリーマン。Twitter上ではNackyで通ってます。バスケ(FE名古屋)サッカー(グランパス)応援をはじめ、競馬漫画アニメゲームと守備範囲の広いオタク。爽やかに見えるのは擬態です。コワクナイヨ。

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