ヴェルディとエスパルスのJ1昇格プレーオフ・決勝戦。63分、後ろから来た弾んだボールをエスパルスの選手と森田晃樹で競り合うが、そのボールが森田晃樹の手に当たってしまう。
PK。
誰もが清水エスパルスのJ1昇格を確信したときだった。キャプテン森田晃樹が、余裕を持ってPKを防ぐプレーをさせなかったのは選手のプレッシャーが与えた影響は大きい。
その選手が名古屋グランパスに加入する中山克広選手だ。
中山克広選手とは
中山克広選手は1996年生まれ、来年28歳です。
横浜FCJrユース出身で、麻布大付属高校・専修大学を経て横浜FCに加入1年目からいきなり32試合出場6得点を挙げます。
2021年より清水エスパルスに移籍、2022年は怪我の影響で出場が少なくなりましたが、3年間ほぼレギュラー格といってよいでしょう。
特徴はスピード
2023年のスピード統計ですが、中山克広選手は永井謙佑に次ぐ6位タイのスピードを誇ります。
脚の速さに関するインタビューが面白いので是非観てみて下さい。
身長180cmで、ものすごく長いストライドを活かして裏にススッと抜けていきます。
中山克広選手のプレイングスタイル指標
今年中山克広選手が所属していたのがJ2だということを差し引いても、すごい数値が出ています。
ここで注目して欲しいのはなんといっても「パスレスポンス」の値です。
「パスレスポンス力」のデータは、「パスレシーブチャンス構築ポイント」「ペナルティエリア内パス受け」「スルーパス受けからのシュート数」「ロングパス受け(空中戦除く)」を合成した数値です。
「パスレスポンス力」が15という値を記録しています。これは偏差値に直すと「70」という値になります。1000人いたら、そのなかで23位、全体の2.3%です。
快足を活かして、パスを受け、それでクロスを上げたりシュートしたり、というのがウリだということがわかります。
ちなみに目立ったインタビューを見つけることはできなかったのですが、中山克広選手は乾貴士選手との相性が抜群で、互いにアシストしあっている関係というところも注目です。
「今年1年で一番伸びた選手」と語る記事もあったくらいで、これからに期待できそうです。
ただJ2でのデータではちょっと・・・という不安もあるでしょう。そこで2021年(J1)のデータを見てみます。
やはりパスレスポンス、ドリブル・クロスチャンスが高い傾向は変わりません。あと何気にカバーエリアの値が14というのは献身的に動き回れるということを示しています。
こういったところも期待したいところですね。
参考までに他の名古屋グランパスの選手の数値を見てみましょう。速度ではほぼ同格の永井謙佑選手を見てみましょう。
永井選手、パスレスポンスの高さは同じ快足FW同士って感じで全体の傾向は近いものがありそうです。ただ、実は右側の指標があまり高くないのがわかります。守備系の値とカバーエリアが特に低いですね。
続いて森下龍矢選手のデータを見てみましょう。
意外にも、パスレスポンスの値は低めです。7という値は偏差値で言うと50相当。ですがやはり、ドリブルとクロスの数値は素晴らしいですね。
Sofascoreのデータ比較
試合出場データの比較
Sofascoreは、J2のデータを提供してくれませんので、2022年の数値をご紹介します。ただし、2022年は中山克広選手は怪我で長期欠場をしていた上に、チームも降格してしまった最悪の状態、ということは差し引いてデータを読む必要があることだけは申し添えておきます。
怪我の影響か、中山選手は出場時間が短くなっています。
攻撃データの比較
あまりシュートにいけてない2022年ですが、決定率は森下龍矢並の13%。
枠内シュートが少なめなのと、決定機を逃した数が多めなのが気になります。決定機逸では永井謙佑の6もどうにかして欲しいところではありますが。
パスデータの比較
不調時の2022年であっても、敵陣パス成功率やロングボール、クロスも永井謙佑・森下龍矢よりも高い値なのは心強いところです。
でもこうしてみてみると、永井謙佑・森下龍矢の作った決定機の数、というのが大きいのが素晴らしいなと思います。
中山克広選手は、どちらかというと決定機を演出するよりも、決定機に絡むほう。やはり受ける側・活かされる側の選手、ということのようです。
守備データの値の比較
これに関してはどちらも低め安定というところでしょうか。中山克広選手はやはり前目の選手ですね。
その他のデータの比較
これに関して注目したいのは平均ボールロストの低さですね。だいたい前目の選手はボールロストが多くなるのですがヒトケタの値。
ちなみに、名古屋では少なめの和泉竜司が10.2、キャスパー・ユンカーが10.1なので、どれだけ中山克広選手がボールを不用意に失わないのか、がわかります。これは前の選手として心強いですね。イエローカードが少ないのも好印象です。
中山克広選手はどう使われるのか?
3-4-3継続の場合
3トップのシャドー or ウィングバック
キャスパー・ユンカーが残留し、山岸祐也が加入したら、前線の枠はあと1つ。どちらかのシャドーをこなすか、森下龍矢選手が移籍してしまったので、右ウィングバックのポジションを久保藤次郎と争うか、によって変わると思います。
シャドーの場合のライバルは、森島司・和泉竜司・山岸祐也・永井謙佑・榊原杏太・倍井謙・甲田英將・ターレスらになるはずです。
ウィングバックの場合のライバルは、久保藤次郎・野上結貴でしょうか。野上結貴は3バックに入ることが濃厚なので、こちらのほうが手薄かもしれません。
4-4-2変更の場合
この場合はサイドハーフ一択でしょう。
右サイドハーフなら榊原杏太・甲田英將・ターレスらがライバル。
左サイドハーフなら和泉竜司・森島司・倍井謙らがライバルになりそうです。
ちなみにプロ生活のなかでほとんどの時間を右サイドハーフで過ごしています。
さいごに
なにげにグランパスにいままでいなかったタイプの選手です。
それを活かせるかどうかで、2024年が変わって来そうです。期待しましょう。