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【ショート】#藤井陽也 が高く評価されたCIESレーティングとは? #grampus

こんな記事が公開されていました

『CIES』のデータによれば、佐藤は5大リーグ以外でプレーする若手アタッカーのなかでも有数の存在だった。

5大リーグ以外でプレーする20歳以下のアタッカー陣の格付けにおいて、佐藤は第7位にランクされていた(FC東京在籍時の評価)。佐藤のレーティングは74.7。

ちなみに、J1の日本人選手のなかで最も高いレーティングだったのは、町田ゼルビアMF相馬勇紀で80.8(29歳)。2位は柏レイソルMF小泉佳穂で80.1(29歳)、3位は名古屋グランパスDF藤井陽也で79.0(25歳)。

この記事の数字の出どころはどこ?

Qolyの記事は出典URLも公表時期も書いていないので断定はできませんが、最有力は新しい CIESのPerformance ツール(世界60リーグ、J1を含む、100点満点のレーティング)です。「5大リーグ以外のU20アタッカー」の順位と「J1の日本人選手のレーティング」が同じスケールで並んでいるのは、リーグ・年齢・ポジションでフィルタできるこのツールの挙動と一致します。

※このランキングはリーグごとに、毎週更新されるので、週がかわるとランキングも変わると思われます。J1Leagueを選択すると藤井陽也は4位ですが、日本人としては3位になっています。(1位はラファエル・エリアス)

誇らしい反面、また藤井陽也がヨーロッパに引き抜かれるのでは?というところが怖いですね

CIES Performance Index
CIES Performance Index
CIES Performance Indexの藤井陽也
CIES Performance Indexの藤井陽也

CIESってなに?

CIES Football Observatoryは、サッカーを大量のデータと統計モデルで研究する、スイスの独立系研究グループです。移籍市場価値ランキングで日本でもよく名前が出ますが、サッカーメディアでもデータ販売会社でもありません。

母体はスイス・ヌーシャテルにある CIES(International Centre for Sports Studies/国際スポーツ研究センター) です。1995年にFIFA、ヌーシャテル大学、ヌーシャテル市、ヌーシャテル州が財団として設立した独立研究機関で、スポーツを法律、経済、社会学、地理、歴史などから研究し、教育プログラムも運営しています。

そのCIESの中でサッカーの定量分析を担当しているのがFootball Observatoryです。2005年にRaffaele Poli博士とLoïc Ravenel博士が設立しました。公式説明によれば、研究者3人、ビジネスアナリスト1人、データ収集担当1人という、かなり小さな専門チームです。

研究テーマは主に次のようなものです。

  • 選手の移籍市場・労働市場:どの国からどこへ選手が動いているか、育成クラブ、外国籍選手比率など
  • 選手・クラブのパフォーマンス分析:技術・戦術・フィジカルデータによる評価
  • 移籍金・市場価値の推定:年齢、契約期間、出場状況、所属リーグ、実績などを統計モデルに入れて、移籍金の水準を推計する
  • チーム編成・スカッド分析
  • リーグ間・クラブ間の比較、ベンチマーク

一番有名なのが「選手の市場価値○○億円」という推定です。Transfermarktのようにコミュニティや専門家の評価を積み上げる方式とは作り方が違い、過去の実際の移籍を大量のサンプルとして、統計・計量経済学的なモデルから移籍価値を推定します。CIES自身も「statistical modelling of transfer fees」として方法論を公開しています。

近年はImpectのイベントデータやSkillCornerのトラッキングデータも取り入れています。2025年末に公開された選手評価手法では、空中守備、地上守備、ビルドアップなど8つの領域に分けて選手の技術行動を評価しています。

FIFAの研究機関なの?

「FIFAそのものの研究部門」ではありません。

母体のCIESを設立した主体のひとつがFIFAで、いまもFIFAとの結びつきは強いのですが、公式にはCIESは独立研究センター(independent study centre)とされています。Football Observatoryの受託先もFIFAだけではなく、EFC(欧州クラブ協会、旧ECA)やArsenal、Ajax、Atlético Madrid、Borussia Dortmund、Olympique Lyonnaisといったクラブが並びます。

ですから「FIFA公認のランキング」ではありません。ただ、サッカーメディアが独自に作った企画ランキングとも違い、スポーツ研究機関に属する統計分析の専門チームが出している数字です。そこそこの信頼は置いていい、という位置づけになります。

CIESの数字はどの程度信用できる?

CIESが出しているのは、過去の移籍事例や選手の年齢、出場状況などから計算された推定値です。専門的な手続きで算出されているので参考にはなりますが、「この選手の価値は絶対に○億円」と決まっているわけではありません。実際の移籍金は契約状況やクラブ同士の交渉、選手本人の意向でも大きく動きます。

CIESと、OptaやTransfermarktはなにが違うの?

3者はかなり性格が違います。

  • Opta:試合で何が起きたかを記録する
  • CIES:集めたデータを分析して意味のある数字を作る
  • Transfermarkt:市場を見ながら選手の値段を査定する

CIES Football Observatory

Transfermarkt

Opta

主な役割

研究・分析

サッカー情報+市場価値評価

スポーツデータ収集・提供

得意分野

移籍価値、選手評価、リーグ比較など

市場価値、移籍情報、選手データ

パス、シュート、タックル、xGなど試合データ

数字の作り方

統計モデルで計算

コミュニティ+担当者による評価

試合を観測・計測

「市場価値」

統計モデルによる推定

人間による市場評価

基本的には主目的ではない

イメージ

研究所

不動産の査定

計測機器・記録係

Optaは「材料を作る会社」

パス100本、パス成功率87%、シュート4本、ボール奪取7回、プログレッシブパス○本、選手がどこにいたか。試合で実際に起きたことをデータ化するのがOptaの中心的な仕事です。DAZNのハーフタイムや試合後に出てくるあの手の数字を作っています。

現在のOptaは専門スタッフによる記録に加えて、映像解析、コンピュータービジョン、AIも組み合わせています。Stats Performによれば、Opta Visionでは22選手の位置情報なども取得しています。(Stats Perform)

「藤井選手はパスを53本成功させた」という数字なら、その53本を数えるのがOptaの側です。

もちろん現在のOptaはxGや選手評価、勝利確率まで算出する分析サービスも提供していますから、単なる記録係ではありません。ただ出発点はスポーツデータを収集・整備する会社だと考えると分かりやすいと思います。(Stats Perform)

CIESは「材料を使って研究する人」

CIESの仕事は少し違います。たとえば、

  • 23歳
  • FW
  • 代表選手
  • 残り契約3年
  • 欧州5大リーグで2000分出場
  • 得点○点
  • 所属クラブのレベルは○○

こうした条件を集めて、「過去に似た条件の選手はいくらで移籍しているのか」を統計的に調べます。そこから「この条件なら移籍価値はおよそ5000万ユーロ」とモデルで推定するわけです。

実際の移籍事例を大量に使ってモデルを作り、契約期間、年齢、選手の実績、クラブの経済力など多くの要素から移籍価値を出しています。(CIES Football Observatory ロジックの解説(PDF))

面白いのは、CIESが使う材料もどこかの会社が集めたデータだという点です。近年はImpectやSkillCornerと組んでいますが、以前はOptaのデータを使った選手評価も公開していました。(CIES Football ObservatoryのRating解説)

データを作る側と、そのデータで研究する側。両者は上流と下流の関係にもなっています。

Transfermarktは「みんなで市場価格を査定する」

Transfermarktでよく見る「市場価値:2000万ユーロ」という数字は、統計モデルが自動計算したものではありません。

Transfermarkt自身が「アルゴリズムは使用していない」と明言しています。登録ユーザーが選手の市場価値について議論し、その意見や市場状況を担当者・管理者が検討して、最終的な市場価値を決める仕組みです。(Transfermarkt)

「今季15得点しているから3000万ユーロくらいでは?」「でも29歳だから2500万では?」「契約があと1年だからもっと安いのでは?」「この前4000万ユーロのオファーがあったという報道もある」。こうした情報を総合して、Transfermarktとしては3000万ユーロ、と評価するイメージです。

不動産に例えるなら、Transfermarktは「この地域の相場、物件の人気、築年数、最近の売買事例を見ると、だいたい5000万円でしょう」という査定。CIESは「過去10年の売買データを統計モデルに入れると、推定価格は4870万円です」という計算になります。

なお、Transfermarkt自身も掲載する市場価値について「実際に支払われる移籍金そのものではない」と説明しています。(Transfermarkt)

では、どれが一番信用できるのか?

何を知りたいかによります。

「この選手は昨日の試合で何本パスした?」ならOptaのようなデータプロバイダー。「この選手はいまサッカー界でどれくらいの値段と考えられている?」ならTransfermarkt。「過去の移籍事例や契約期間から統計的に考えると、いくらくらいで移籍しそう?」ならCIESです。

どこが一番正しいかを競わせるより、Optaは測る、Transfermarktは評価する、CIESは分析して推定する、と役割で覚えておくと使い分けやすくなります。

うまく活用しわけてください。

藤井陽也、再び見つかっちゃうかなあ・・・

おまけ:CIES URL一覧

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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