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2019年明治安田生命J1リーグ第2節セレッソ大阪戦レビュー ”その名は赤﨑”

待ちに待ったホーム開幕戦。試合前には楢崎正剛の引退セレモニーが執り行われました。最初にこれだけは言わせてください。ご来場のセレッソサポの皆様、セレモニーへのご協力並びに温かい楢崎コール、本当にありがとうございました。

試合は『個の集合体』と評される風間・グランパスと、厳密な約束事による『個はチームの構成員』ロティーナ・セレッソの戦い。内容は、グランパス視線とセレッソ視線それぞれからのプレビューでの予想にだいたい合致していたように思われます。

2019年第2節セレッソ大阪戦プレビュー

http://analyzingcerezo.blogspot.com/2019/03/2-vs.html

要点を抜き出すと

  • ジョアン・シミッチに対してセレッソはどうしてくるか?
  • グランパスの止める・蹴るvsセレッソの守備時スペース管理
  • 隙の多いグランパスの守備vsセレッソの攻撃(特にカウンター)

の3点が注目でした。順番に見てみましょう。

セレッソのシミッチ対策

まずはお互いのスタメンから。

前節と比べ、グランパスでは和泉相馬がスタメンに、赤﨑前田がサブに。セレッソでは都倉がスタメンに、水沼がサブに。

柿谷と都倉によるシミッチ・ケア

ロティーナは一つ明確なシミッチ対策をしてきました。シミッチがピッチの左側にいる時は柿谷を、右側にいる時は都倉をそれぞれシミッチに当たらせ、プレーの阻害をしようというものでした。柿谷がプレスに行った場合の例を図にすると次のようになります。

柿谷がプレスに行き、その他の中盤の選手がパスコースを切りに動き、上手く追い込めそうなら中盤4枚が前に出て行く。シミッチからボールを奪えれば一気にスピードに乗ったカウンターで攻撃する、そんな意図だったと思われます。実際にその形からチャンスを作ったセレッソでしたが、総じてシミッチが冷静にプレーし、無駄にハイリスクなプレー選択をほぼしなかったこともあり、この対策はシミッチとグランパスにそれほどの脅威を与えていませんでした。

止める・蹴るvsセレッソのスペース管理守備

柿谷・都倉がプレスに行ってもシミッチを追い込めなかった場合では、速やかに全体を下げて5-4ブロックを形成していました。

特に目についたのは、この守備ブロックの維持でした。セレッソの誰かがグランパスの選手・ボールに食いついて行っても、自分の場所からボールが離れればすぐにいるべき場所に戻る。Jリーガーの悪癖として語られがちな、『守備時に場所を空けてしまう』『空けたら戻ってこない』がこの試合のセレッソにはほぼ当て嵌まりませんでした。ロティーナの守備の教えが確実に浸透しつつあるのでしょう、大変堅固な5-4守備でした。そんな堅固な守備をどう攻略すれば良いでしょうか?

順当な攻略法:5-4の4の外側から突け!

5-4ブロックで中央を絞めた場合、構造上4の外側は比較的空きます。

中央には高くて強いジョーがいるため、プレッシャーが弱いそのあたりのスペースから、良質なアーリークロスを供給してやればチャンスになる確率は高いはずでした。しかし、こちらの記事からわかるように、グランパスには良質のクロッサーがいないため、ほぼチャンスになりませんでした。そもそもアーリークロス自体ほぼ無かったですし。やけにそのスペースが空いていた印象もあり、グランパスのクロスのデータを見たロティーナが、そのスペースを捨てて、アーリークロスをある程度自由に入れさせていた可能性もあったかと思います。

風間的攻略法:止める・蹴るで無理やり中央突破だ!

狭いところでも早く正確に止める・蹴るをすれば(一瞬)フリーになりボールを運べるというのが風間さんの教えです。相手がカチコチに固めてきた5-4ブロックであっても止める・蹴るが完璧なら突破できるはず! しかし後半途中まで中央突破は不発に終わりました。セレッソの5-4ブロック、硬い。

ローリスクハイリターン攻略法:硬いところを避けよう

どうにもこうにも中央が硬く、攻めあぐねていたグランパス。ここで米本やシミッチが『一発』を狙い始めました。通れば一点モノの浮きスルーパスです。

しかし流石になかなかピタッと合いませんでしたね。セレッソも、裏を意識させられてもDFラインを必要以上に下げず、そういう部分でもロティーナの守備の教えを感じさせられました。

正攻法:相手を疲弊させる

結果的には、鳥栖戦に引き続き、この攻略法が結果を手繰り寄せたように思います。自分たちがボールを保持し、ボールを動かし、相手を後手に回らせることで、相手の体と頭の体力を奪っていく。後半途中の55分くらいまではソリッドな守備を維持していたセレッソでしたが、60分前後から段々と間延びし、守備のスペースに戻らない選手が散見されるようになりました。その状況を見た風間さんが、中央で仕留めるシュート技術を持った赤﨑を投入したのも、納得の采配でしたね。

グランパスの守備vsセレッソの攻撃(特にカウンター)

シミッチの冷静なプレーもあり、グランパスが主導権を握って攻める時間帯の増えた中、セレッソさんの攻撃はどうだったでしょうか。

不発だったカウンター

セレッソの狙いとして、カウンターは二通りありました。シミッチから高い位置(=グランパスにとって低い位置)で奪ってショートカウンターと、自陣からのロングカウンターです。シミッチから奪ってのショートカウンターは数回ありましたが、シミッチ本人のプレスバックや周囲の選手のフォローもあり、決定的なチャンスにはなりませんでした。一方、ロングカウンターも不発に終わりました。その理由はセレッソ公式ページの木本の試合後コメントに表れています。

https://www.cerezo.jp/matches/2019-03-02-14/

「後ろに重心がかかり過ぎたので前の選手もきつかったと思います。」

つまり、押し込まれ切った状態でボールを奪っても、前線に残っているのは都倉のみの状態で、長距離のカウンターを仕掛けるしかなくなります。ここで都倉に良いボールが入り、キープし、前を向いて走る柿谷と清武に良い落としをできれば恐らくチャンスになったはずですが、そうはなりませんでした。

都倉絶対潰すマン丸山

前半途中から、恐らく主審のファール基準を計算しつつ、丸山が都倉にかなり激しく当たるようになっていました。時にはファールを取られたりもしていましたが、丸山(と時々中谷)が都倉を潰しまくり、長いボールを都倉がおさめる場面はほぼ無く、セレッソさんのロングカウンターはほぼ未遂に終わりました。

その名は赤﨑

グランパスがボールを保持しつつも攻めあぐね、通らば一点!な浮き球スルーパス狙いになり(なお、通らない)、セレッソはセレッソで都倉か柿谷か清武お願いします!なロングボールになり(なお、ほぼチャンスにならなかった)、試合は膠着しました。膠着すると、体力の削り合いになるのも当然。そしてボールを持てなかった方が先に消耗するのもサッカーの定番です。グランパスにボールを握られたセレッソは疲弊し、後半途中から5-4ブロックも段々と間延びし始めました。そこで風間監督が動きます。和泉↔赤﨑の交代。これによってジョーと赤﨑のツートップになり、シャビエルが左サイドに入りました。おそらく、セレッソの硬い守備を嫌ったのであろう、中央から下がったりサイドに流れる傾向の目立ったシャビエル(結果として中央が手薄になりがちだった)と比べ、真ん中で勝負する嗅覚・シュート技術のある赤﨑に、得点を期待しての交代策だったのでしょう。一方、ロティーナも清武に代えてレアンドロ・デサバト、奧埜に代えて水沼と交代策を取りました。フレッシュな選手の投入によって、落ち気味だった守備の強度が回復したセレッソさんのペースになりかけた時間もあったのですが、相手に寄せられながらも素晴らしいパスをシャビエルに通したシミッチと、やや間延びしたセレッソ守備ブロックを見逃さなかったシャビエルと、空いたスペースを見逃さなかった赤﨑の3人の完璧なプレーによって生まれたビューティフルゴールで、大勢は決しました。

ロティーナ・セレッソは要注意クラブ

敵ながら、セレッソの守備はよく統率されていた素晴らしいもので、ロティーナの手腕を感じさせるものでした。この守備は今後のセレッソ対戦相手も手を焼くことでしょう。一方、攻撃はまだまだで、恐らく、まずは守備を徹底的に仕込んで、攻撃はそれ以降なんだろうなと思わせられます。後半戦でのセレッソはきっと今とはまったく違う完成度のチームになっているはずです。次の対戦が楽しみですね。

選手層ってホント大事

前節に交代で出てきた和泉、相馬、杉森が結果を出したように、今節も交代で出てきた赤﨑が結果を出しました。サブの、途中から出てきた選手が活躍すると言うことは、単純に言ってしまえば、サブの選手の質がそれだけ高いということです。去年のグランパスで言えば、途中交代で出てきて印象的な活躍をしたのは相馬くらいでした。去年と比べて戦力の充実度が高まっていることがよくわかりますよね。次はそんなサブの選手達の質がより試されるルヴァンカップです(ターンオーバー前提)。推しの選手がリーグでスタメンじゃないとお嘆きの皆さん、ルヴァンカップ、要注目ですよ!

最後に:広がるファン

この試合、僕(ラグ)はメインスタンドのS指定席南側で観戦していました。瑞穂だと、北側がホームゴール裏で、南がアウェーゴール裏です。メインスタンド指定席でも、やはりホーム側の北側から売れていくので、南側席は(少々語弊のある言い方かもしれませんが)熱くない・お上品なファン(と一部アウェーサポの皆さん)の集まる席という印象があります。その証拠に、過去に僕がそのあたりで観戦していた時、例えばグランパスの得点シーンであっても、席から立ち上がって喜び・歓声を上げるような方はごく少数でした。ところが、この試合では、僕も含め、得点シーンでは、同じエリアにいた方がほぼ全て立ち上がって歓声を上げ、拍手を送っていました。個人的にかなり衝撃的なことでした。また、試合中のチャントの唱和はありませんでしたが、手拍子については多くの方が参加していらっしゃいましたね。これって、人気と、熱意の高まりを端的に表しているんじゃないかと思えてなりません。どうかこの熱が健全に高まっていきますように。

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