グラぽ

楢崎正剛様へ

2001.3.24 フランス ５ー０ 日本

突然何を、嫌なことを思い出させるな、とお思いでしょう。

『楢崎正剛』あなたの名前をを見たときに私が一番に思い浮かぶ試合です。本当なら、あなたの輝かしい経歴のなかで数えきれないほどの名試合、名プレーの中からピックアップされるべきなのですが。

私は、当時は今ほどサッカーに興味がなく、応援してるチームも特に無し、たまにテレビでみる程度でした。それでもあなたが日本を代表する超一流選手であることは、当然知っていました。

そのあなたが、手も足も出ない。

衝撃でした。世界はこんなにも強いのか、と。

もちろん、あなたの能力だけでそうなったわけではないし、当時世界最強クラスだった、あのジダン擁するスーパースター軍団フランス相手ならどんな名手でもなり得る状況なのは承知の上です。

時は流れ、縁あってグランパスを応援するようになった時、ゴールマウス前には常に鉄壁・楢崎正剛が立ちはだかっていました。崩れない、本当に安定した立ち回り。改めて確信しました。やっぱりあなたは日本最強のGKだと。長年名古屋のゴールを守りきったあなたは、名古屋の、日本サッカー界のレジェンドです。これは疑いようの無い事実です。

それでも私は今でも『楢崎正剛』の名を聞くとあのフランス戦が思い浮かぶのです。あなたがあの試合をどう感じたのかはわかりません。もう一回やれば違う結果もあるでしょう。でも、世界の壁の高さを感じたあの試合をあなたの名前と共に思い出すのです。

だから、楢さん、ちょっと勝手なお願いを書かせてください。

まずは、長年本当におつかれさまでした。多くの喜びをありがとうございました。あなたは紛れもなく私たちの誇りです。いじめぬいてきた体を、ゆっくりと休めてください。

ここからお願いです。

そうしたら、いつか名古屋に戻ってきてください。後輩へ、あなたの持っている全てを伝えてほしいのです。名古屋の、そして日本の守護神を育ててほしいのです。

そして、あなたのDNAを持ったGKが世界をシャットアウトしたとき、あの試合の記憶を払拭し、世界ーの楢崎正剛を改めて誇りたいのです。

『あのGKの師匠は、｢俺たちの楢崎｣なんだぜ』と。

本当に、本当におつかれさまでした。
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