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楢崎正剛、俺等の誇り

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結論から書く。楢崎正剛はスーパーでグレートなゴールキーパーである。

そのスーパーでグレートなゴールキーパーの、どこがスーパーでグレートなのかについて、この機会にまとめていく。

楢崎正剛との出会い

彼の、「楢崎正剛」という名前をはじめて見たのは彼が高校3年のとき、第73回全国高校サッカー選手権大会が最初だった。僕自身は縁のある清水商の応援で観戦したのだけど、その清水商を止めまくって、完封したのが楢崎正剛。

これ、なんて読むんだろ?ならさきまさたけ?そんな風に思ったのが最初だ。

その頃はサッカーを真剣に見始めたばかりで、キーパーは派手な動きをできる選手が良い選手だと思っていた。ワールドカップアメリカ大会でホルヘ・カンポスが大活躍をし、派手なアクションの身軽なキーパーがこれからの新時代のキーパーなんだ!と無邪気に思っていた。

それなのにひょろっとデカいキーパーに、いくつもあったチャンスをすべて止められた。なんでなんだろう。その時は「このキーパーの当たり日だったんだな」って自分に言い聞かせてその日は帰った。それっきり一度は忘れてしまった。

まさかそのゴールキーパーが名古屋グランパスの正ゴールキーパーとして19年もの長きに渡って君臨し続けることになるとは、そのときは想像もしなかった。
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楢崎正剛のスーパーでグレートさ

次の動画を見て欲しい。

全盛期ではない、2017年。この時点では膝に致命的な怪我を負っており、だましだましの出場だった。最初の印象通り、その当時としてはかなり大型の、背のひょろっと高い身長と長い手足を活かしたセービングはできても、身体能力の衰えは隠せなかった。

それなのになぜこれだけのセービングができたのだろうか。

動画はセービング集なので比較的派手目ではあるが、本来、他のゴールキーパーと比べると反射神経や派手な動きでセービングは少ない。

良いゴールキーパーの条件

https://wift.jp/articles/3/

こちらで紹介されているキーパーに求められる条件を引用する。
1.身長
2.動体視力
3.反射神経
4.瞬発力
5.コーチング能力
6.コミュニケーション能力
7.判断能力

麒麟も老いては駑馬にも劣る、とも言われる。加齢はすべての敵だ。

それでも身体能力は鍛え続けることで加齢による衰えを遅らせることはできるが、それを邪魔するのが怪我だ。楢崎正剛は深刻な怪我を膝に抱えており、キックだけではなく、悪い方の脚への動きが悪くなっていた。反射神経そのものは衰えなくても、怪我は瞬発力にも影響をしていただろう。

対策の取りようがないのが目の衰え。動体視力とは「動くものを見る能力」だ。ゴールキーパーは100kmを超えるスピードのボールだけでも大変だが、複数のDFの動きも含めて追いかけることが必要。目のピントを合わせる機構というのも筋肉と一緒なので、これも衰える。しかし目は筋トレをするわけにもいかないので衰えは顕著になる。

また楢崎正剛も42歳。早い人では40を超えてから老眼になる。目がかすむ。焦点がつかめない。ピントが合わない。50を超えた自分もここ数年はボレーを空振りすることが増えてしまったのでよく分かる。

では、それだけの逆境になる条件のなか、なぜ楢崎正剛はこれだけスーパーでいられたのか。

それは判断能力に尽きる。

ホルヘ・カンポスのような横っ飛びを見せたりしなくても楢崎正剛がゴールを守れたのは、適切なポジショニングをできる判断能力に優れていたからだ。

GKは準備が9割

FC岐阜でGKコーチをされていた川原元樹さんの記事だが、言いたいことはすべて言語化されている。https://www.sakaiku.jp/column/mental/2018/013654_2.html

――テレビやスタジアムで試合見る時に、ゴールキーパーのどこに注目すれば良いでしょうか?
ひとつはポジショニングです。たとえばクロスボールの対応のときに、どこに立っているのか。ゴール前の相手選手の位置を把握した上で、どのポジションに立っているのかなど、細かいところですが、見るべきところはたくさんあります。
私は「GKは準備が9割」と考えています。相手のプレーに対してリアクションをしているだけでは、ゴールを守ることはできません。状況に応じた正しいポジションを取り続け、瞬時に判断できることが重要です。「ここに来たら、こう止める」と予測を頭の中で描けていると、相手をコントロールしている感覚、GKがリアクションではなくアクションを起こす感覚を持つことができます。
――来たシュートに反応して受け身になるのではなく、ゴールキーパーが主導権を握ってゴールを守るのですね。
FC岐阜ではGKに対して常に「次の展開を読んでプレーしよう」と言っています。狩りと同じで、相手を誘い込んで仕留める。GKのポジショニングひとつで、相手選手にシュートを打たせなくしたり、あえて片方を空けて誘っておいて、反対に来たときにストップするといったように、駆け引きで止めることもできます。それがGKの醍醐味のひとつで、リアクションがプレーのすべてではないんですね。受け身の「キーパー」だけではなく、待ち構えて仕留める「ハンター」、そういう面白さがあることも知ってもらえたらと思っています。

ピッチのなかで起きたことに対してリアクションだけをやっているだけでは、どんなに身体能力があってもゴールを守り切ることはできない。現役時代の川口能活くらいのスーパーな身体能力があってはじめてなりたつものなのだ。どれだけ準備をして、味方を動かして防ぎながら、相手アタッカーと駆け引きをできるか。それができるのがスーパーなキーパーであり、それをこともなげにこなすことができるキーパーがグレートなのだ。
188cmという、当時としてはかなり恵まれた体躯だけではなく、まさにこういう駆け引きに長けていたのが楢崎正剛の強みだったし、それが日本を代表するキーパーになれた要因なのだとグラぽは考えている。
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マザロッピの教え

楢崎正剛を語る上で、欠かせない人物がいる。それがマザロッピ(Mazarópi)ことジェラルド・ペレイラ・デ・マットス・フィーリョである。

  • コパ・リベルタドーレス:1983
  • インターコンチネンタルカップ:1983(トヨタカップ)

というタイトルも獲得している名選手でもあった。名古屋では監督代行も務めた。


彼は基本に忠実であることがもっとも大事であると説いたという。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48271?page=2

昨秋にインタビューした際、彼はこう言っていた。
「正面でボールをしっかり取る、しっかりと足を運ぶ。そういった基本の大切さを僕はこれまでのキャリアのなかでずっと言われてきましたからね。蓄積されてきたものがあると感じているし、すべては基本だと思う」
奈良育英高ではシュートに対して横っ跳びでもしようものなら、監督からお叱りの声が飛んできた。卒業後、横浜フリューゲルスに入団し、2年目にGKコーチでチームに入ってきたブラジル人指導者マザロッピもまた基本の大切さを口酸っぱく言う人だったという。
(中略)
若手時代に基本を嫌というほど叩きこまれ、土台をしっかりつくったからこそ彼は20年以上にわたってコンスタントに出場し、40歳を目前に控えながら今なお日本のトップレベルでプレーを続けていることができているのかもしれない。
基本こそが、己の根幹。
たとえば自分でうまくいっていないと感じたとき、そこにスッと立ち戻ることもでき、シーズン通してムラの少ないパフォーマンスにつながっているのではないかと思えてしまう。

基礎の練習というのは、面白みはない。横っ飛びのセービングなどは見た目にも派手だし、やった自分も自己満足してしまいそうだ。

だが、ボールの扱い、ポジショニング、判断。これらは派手さはないので、まだ若かった僕にはその凄さがわからなかった。後に元プロのキーパーと対峙したときに、「どこにも(シュートを)打てる気がしない」という感覚を味わった。これこそ、絶え間なく修正されるポジショニングの妙だったのだ。

あの日、なんで清水商業は負けたんやろか・・・、当たり日だっただけだな、と運のせいにしていたのは間違いだった。楢崎正剛のゴールキーパーの基本に忠実で、しっかりとしたポジショニング、細かい足運び。こういったものの積み重ねに負けたのだ。

身体条件と、判断能力を兼ね備えた選手というのはなかなか産まれない。楢崎正剛は得がたい選手だった。

楢崎正剛が僕たちにもたらしたもの

楢崎正剛というスーパーでグレートなゴールキーパーが20年もグランパスにいて、グランパスのサポーターは、そしておそらくは一緒にプレイしていた選手達も楢崎正剛に甘えてしまっていた。

ぼくらのゴールマウスは、楢崎正剛という神が守ってくれている。そんな安心感があった。

楢さんが点を奪われたら、それはしょうがないんだ。ほとんどの名古屋サポーターはそう思っていたに違いない。

楢崎正剛は、ぼくらにゴールキーパーというポジションの大事さと、そして信頼できるゴールキーパーがいるという安心感を教えてくれた。

明日からのグランパスの世界に、楢さんはもういない。

でもグランパスにはまだミッチと、武田洋平と、渋谷飛翔がいる。彼らを信頼して、またゴールマウスを大事に守って貰えるように応援をしよう。楢崎正剛に恥ずかしくないように。

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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