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ジョアン・シミッチは縁の下の影の力持ちである。

金崎夢生が名古屋グランパス縁の下の力持ちである。ならばジョアン・シミッチは縁の下の影の力持ちである。

お初にお目にかかります。やるせない鯱と申します。

twitterで他愛もないことをつぶやいていたところ、大森征之SDばりの交渉術を誇るグラぽさんからオファーをいただき、今回の記事を書くことになりました。

サッカー経験が小学生年代までしかないため、戦術的・技術的におかしな記述があるかもしれませんがご容赦ください。

この記事を読んでいる皆様はサッカーが好きな方ばかりだと思います。

そんなあなたがサッカーで一番好きなプレーは何ですか?

豪快なボレーシュート?変幻自在のドリブル?相手を欺く華麗なパス?

どれもワクワクする素晴らしいプレーですね。(私はシュートブロックが好きです)

今回取り上げるプレーは比較的地味な「ヘディング」です。

そしてピックアップする選手は名古屋が誇るマエストロことジョアン・シミッチ選手です。
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マエストロ、空を飛ぶ

シミッチ選手と言えば、広い視野と左足から繰り出される縦パスが武器の選手です。

そのあたりの詳細はみぎさんの記事やfootballistaの記事がわかりやすいので割愛します。

ジョアンシミッチ 名古屋の心臓であり、エンジンである

ジョアン・シミッチ。そのプレーの真髄は「捻り」にある。

しかし、彼の武器はそれだけではありません。

FootballLABのスタッツを見てみると

  • 自陣空中戦   4位
  • 敵陣空中戦   9位

とJリーグ屈指のエアバトラーだということがわかります。

自陣空中戦は自陣での空中戦勝利数を示す指標です。

クロスボールやロングボールに対する守備とコーナーキックやフリーキックにといったセットプレー時の守備における空中戦を対象としています。そのため、この項目の上位にランクインしている選手のほとんどはCBの選手です。一方で、前線の選手でランクインしている12位の杉本健勇選手(浦和)、17位の小野裕二選手?!(G大阪)はセットプレー時、ゴール前での守備に貢献していると考えられます。

自陣空中戦ランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=9&year=2020
自陣空中戦ランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=9&year=2020

敵陣空中戦は敵陣での空中戦勝利数を示す指標です。

こちらは自陣空中戦の反対でランクインしている選手のほとんどがCFです。橋岡大樹選手(浦和)が7位!にランクインしていますが、セットプレー(コーナーキック,フリーキック)のゴールチャンスに強いことと考えられます。

敵陣空中戦ランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=8&year=2020
敵陣空中戦ランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=8&year=2020

ここまで見ると、シミッチ選手はゴール前での守備やセットプレーのチャンスでの競り合いにかなり強い選手だということがわかります。

最近は、チームとしてもシミッチ選手の空中戦の強さを活かすようになりました。

ゴールキック、特に相手のゴールキック時にシミッチ選手が成瀬竣平選手や吉田豊選手のところまで走ってヘディングをするシーンをよく見るようになったと思います。

今シーズン、シミッチ選手がスタメンで出場し始めたのが8節の柏レイソル戦です。この試合の空中戦のスタッツを見てみましょう。

柏レイソル戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)
柏レイソル戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)

この試合までは両サイドバック、特に成瀬選手のところがゴールキックなどで狙われ、空中戦での勝負を挑まれることが多くありました。Aerial Duels(空中戦)は吉田豊選手と成瀬竣平選手で6回中勝利は1回のみ。シミッチ選手は1人で9回中4勝です。

続く浦和戦では成瀬選手、吉田豊選手合わせて空中戦の数が1、一方シミッチ選手は53分に途中交代しているにも関わらず、空中戦数が4とチームトップでした。この試合あたりからシミッチ選手が代わりに競るようになったと思われます。

浦和レッズ戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)
浦和レッズ戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)

圧巻だったのは11節の湘南ベルマーレ戦

出場停止となった成瀬選手に代わり、太田選手と吉田豊選手、後半からオ・ジェソク選手が出場しましたが、3人合わせて空中戦の機会はわずか2回。一方でシミッチ選手は空中戦10回、うち勝利数7と空中を制圧していました。

湘南ベルマーレ戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)
湘南ベルマーレ戦空中戦スタッツ(引用元:Sofascore)

このような両SBの代わりに競り合うプレーはカバーエリア(総走行距離と一定速度(時速14km/h以上)以上での走行距離を加味した指標)の項目に反映されており、シミッチ選手はリーグ8位です。(稲垣祥選手は9位)

カバーエリアランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=15&year=2020
カバーエリアランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=15&year=2020

もともとシミッチ選手は空中戦が得意な選手でしたが、その特徴をチームが活かし始めたのは今シーズンの柏戦からでしょう。少なくとも、FootballLABのスタッツを見ると、昨シーズンと比べて今シーズンは攻守において競り勝つ機会が増えたと思います。

プレイングスタイル指標(2019年)引用元:https://www.football-lab.jp/player/1624648/?year=2019
プレイングスタイル指標(2019年)引用元:https://www.football-lab.jp/player/1624648/?year=2019
プレイングスタイル指標(2020年):引用元:https://www.football-lab.jp/player/1624648/
プレイングスタイル指標(2020年):引用元:https://www.football-lab.jp/player/1624648/

このように、今シーズンは上背の無いSBの成瀬選手や吉田豊選手の代わりにシミッチが競り勝っていることがわかります。

ただ彼の凄さはこんなものではありません。。

湘南戦で実況の下田さんがこんな風に表現しました。

「ジョアンシミッチ、この人は上手いんです」

そうなのです

この人は強くて、上手いのです!

0thディフェンダー

実は浦和レッズのFW杉本健勇選手もシミッチ選手と同様、自陣空中戦12位、敵陣空中戦4位とかなり空中戦に強く、攻守にわたり貢献しています。

そんな杉本選手とシミッチ選手の違いを示す指標が「ボール奪取」です。

ボール奪取の定義は以下の通りです。

相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションからボールを奪い自チームの攻撃につなげたプレーに対してポイントが付与されます。ポイントは相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションの失敗確率から算出されるため、相手チームがパスを通しやすいはずの高い位置でボールを奪うと高いポイントがつきやすくなります。(FootballLAB)

主にパスカットやドリブル阻止によって相手からボールを奪い取るプレーに関する指標です。この項目にはボランチ、それもボールを刈るのが得意な選手が多くランクインしています。

そのような項目でシミッチ選手は

  • ボール奪取   3位

とリーグトップクラスの数字を誇ります。

ボール奪取ランキング:引用元: https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=11&year=2020
ボール奪取ランキング:引用元: https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?data=11&year=2020

1位でリーグ屈指の潰し屋の守田英正選手(川崎F)は一人だけ異次元の数値(偏差値98.3!)をたたき出していますが、2位の三竿健斗選手(鹿島)とシミッチ選手は他の上位選手と比べても頭一つ抜けています。

ここである疑問が生じます。

「稲垣や米本よりもシミッチの方がボール奪取しているの?」

たしかにシミッチ選手も前を向いての守備やパスカットは上手いのですが、リーグトップクラスというほどなのか?稲垣祥選手や米本拓司選手の方が得意なのでは?と私も思いました。

(稲垣選手はランキング圏外、米本選手はシミッチ選手と同程度だがおそらく出場試合数が少ないためランキング圏外)

そこで思い出していただきたいのが、シミッチ選手の自陣・敵陣での空中戦の強さ今シーズンのプレー、そしてボール奪取の定義です。

今シーズンのシミッチ選手は持ち前の空中戦の強さを活かしてゴール前のみならず、ゴールキックのボールをかなり競るようになりました。

そしてFootball Labのボール奪取の定義は以下のようになっています。

相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションからボールを奪い自チームの攻撃につなげたプレーに対してポイントが付与されます。ポイントは相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションの失敗確率から算出されるため、相手チームがパスを通しやすいはずの高い位置でボールを奪うと高いポイントがつきやすくなります。

これらの事から、シミッチ選手はゴールキックのボールにただ競り勝つだけでなく、マイボールにして自チームの攻撃につなげられているということが考えられます。

詳細は省きますが、ただ競り勝つだけだとボール奪取ポイントは上がらず、守備ポイントが上がるとされますが、シミッチ選手の守備ポイントは飛びぬけて高いわけではありません。

つまり、シミッチ選手は両SBの高さという弱点をカバーし、相手のゴールキックから攻撃の起点を作らせないどころかマイボールにするという、守備になる前の守備、0thディフェンダーとしてチームに貢献しているのだと考えます。

一見すると地味な、直接ゴールに関係しない位置でのヘディングでチームに貢献しているシミッチ選手は縁の下の”影”の力持ちなのかもしれません。

ヘディングが武器のストライカー

最後にシミッチ選手のヘディングシュート(ヘディングシュートを撃った本数の指標)の項目を見てみましょう。

シミッチ選手のヘディングシュートは4位です。

この項目の上位20人の内、シミッチ選手以外は全員FWです。

ヘディングシュートランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?year=2020&data=12
ヘディングシュートランキング:引用元:https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j1/?year=2020&data=12

シミッチ選手が3列目から駆け上がり、クロスからヘディングシュートを撃つ光景を見た記憶がないので、おそらくセットプレーのみの数字だと思います。

ランクインしているFWの選手はセットプレーのみならず、前線でクロスボールからのヘディングシュートも狙っています。

そんなFWの選手を差し置いて、セットプレーだけで3位に君臨するシミッチ選手、恐るべし。(ちなみに杉本選手は13位)

シミッチ選手は名古屋グランパスに加入してからこれまでに公式戦で3ゴールを記録していますが、全てヘディングシュートです。

それも全てセットプレーから、さらにアシストは全てガブリエル・シャビエル選手です。さすがサンパウロFCのユース時代からの盟友ということでしょうか。

  • 2019第3節ガンバ大阪戦

  • 2019第10節湘南ベルマーレ戦

  • 2020第9節浦和レッズ戦

湘南戦の動き出しなんてFWさながらですし、浦和戦では3人に囲まれながら決めています。

飛ぶタイミングやポジション取りが上手いのでしょうね。良く周りが見えています。

最近、実況の方がシミッチ選手をヘディングシュートが得意なFWのように紹介する理由もわかります。

今後もセットプレーのターゲットとして活躍してほしいです。

最後まで読んでいただいた物好きな皆様、誠にありがとうございました。

長くまとまりのない文章となってしまいましたが、この記事がきっかけとなって皆様のシミッチ選手の評価や見方が少しでも変わればと思っております。

特にマッシモ。

主なデータ参照元

グラぽ    https://grapo.net/2019/03/22/9493/

footballista   https://www.footballista.jp/special/65045

FootballLAB  https://www.football-lab.jp/player/1624648/

Sofascore https://www.sofascore.com/team/football/nagoya-grampus-eight/3136

About The Author

やるせない鯱
お初にお目にかかります。やるせない鯱(
@xuyzRSLkBfdhAYC
)と申します。
簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
生まれも育ちも大都会豊橋、名古屋市在住のB自由席が指定席のグラサポです。
中学校にサッカー部がなかったため、サッカーは小学校年代までで、それ以降は軟式テニスをずっとプレーしてきました。
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