再びアジアへ。
ACLに出場するということは、Jリーグに所属しながら海外のリーグのチームと真剣勝負をできる機会になる。新たな経験を積めることは、選手・チームにとって大きな成長の機会になる。
リーグ戦がヌルいわけではない。ただ中国超級のスーパーな外国籍選手との戦いや、ヴィッセル神戸のACL準決勝を見ていればわかるように横浜FC戦のジャッジなんて誠実だったと思えるような、そんな理不尽と戦えるのだ。
高ければ高い壁のほうが、登ったとき気持ちいいもんな
そんな歌があったが、そんな壁に挑めるチャンス。勝って自力で掴みとりたい。
そんな試合をプレビューする。
サンフレッチェ広島の状況
- 出場停止はなし
- チームのトップスコアラーレアンドロ・ペレイラが帰国で不在
- ハイネル、エゼキエウ、永井龍も欠場の見込み
- 4戦勝ちなし
- 城福監督が前戦で退場(今年から選手同様イエローカード・レッドカードの対象に)
- スタンドから指揮を執る見込み
- 中2日
- MF青山敏弘やMF柏好文、FWドウグラス・ヴィエイラといった30代の選手たちが柏戦で長い時間(40分近く)プレーした
以下Optaファクトからのデータ引用
- 広島は現在、2019年5月以来となる2試合連続無得点での連敗中(当時3試合連続)。また、直近9試合でもわずか2勝しか挙げていない(5分2敗)。
- グラぽ補足:その2勝のうち1つが名古屋
- 広島は今季、空中戦勝率がリーグ2位(54.8%)。対する名古屋は、今季同項目がリーグワースト2位(44.7%)。
データ引用元:https://www.nikkansports.com/soccer/news/202012180000279.html
サンフレッチェ広島の戦い方
11月に対戦しているので、大幅に戦い方が変わるわけではありません。変化といえば、外国籍選手と永井龍選手が欠場決定的というくらいでしょうか。
3バックがサンフレッチェ広島の生命線
ポジションを上下動に限って、それでいて時には相手ゴール前まで激しく攻めたてる。ミシャ式3−4−3の進化形とも言えるのがサンフレッチェ広島。
スピードがあり、読みの良い荒木を中心に、惜しみない上下動と激しい守備のできる野上結貴と佐々木翔。この3人はグランパスの4バックと並んで、今年最高レベルの守備ラインだと思われる。
佐々木翔(サンフレッチェ)のヒートマップ
引用元:https://www.sofascore.com/player/sho-sasaki/224022
守備タスクをしっかりと行い、ポジションの基本を守ることを大切にしている。
それだけにカウンターに強い。
サイドで勝負し、シャドーが勝負できるスペースを作る
チーム全体のホットゾーンを見てみよう。
引用元:https://www.football-lab.jp/hiro/preview/
名古屋グランパスと違って、中央に色の濃いところがほとんどない。
引用元:https://www.football-lab.jp/hiro/style/
これは自陣ポゼッションが極端に低いことが原因。攻撃は自陣からのロングカウンターの指数が極端に高く、ボールを持ったらすぐカウンターという姿勢が見える。
実際前回対戦時も危ないシーンはほとんどカウンターだった。
信頼性の高い3バックでボールを奪い、そこからのロングカウンター。そこで活躍するのが青山敏弘だ。彼が出す長短のキラーパスが、そのロングカウンターの成否を握る。彼はダイレクトでパスをサイドにさばき、チャンスを演出する。
彼を自由にさせないことが求められる。
グランパスの状況
- 金崎夢生が全治8ヶ月の重傷(今シーズン絶望)
- 中谷進之介が腕の負傷も問題はなさそう
- マテウスが1日多く休みを与えられた模様。厳しいマークで受けている負傷を考慮した模様
- ただし先発は問題なさそう
- 山﨑凌吾は柏戦でベンチ入りも、先発はなさそう
- リハビリ中の長谷川アーリアジャスール・渡邉柊斗も不在
- 長谷川アーリアジャスールは練習には合流済も、筋力や心肺などがまだ戻っていない模様
- 稲垣祥と米本拓司、中谷進之介、阿部浩之がイエローカードリーチ
以下Optaファクトからのデータ引用
- 名古屋対広島の通算55試合では、名古屋が24勝11分20敗と勝ち越している。名古屋にとっては、浦和(99)に次いで2番目に総獲得勝点の多い相手(83)。
- 名古屋は2012年以降の広島戦直近15試合でわずか3勝(6分6敗)。しかし、ホームでの今カードで敗れたのは2014年4月の対戦が最後(2-5)。
- 名古屋は現在5試合連続無敗であり(3勝2分)、この間わずか1失点しか喫していない。また、ホーム戦では現在、同一シーズン内で2011年8月以来となる10試合連続無敗(8勝2分:当時11試合)。
- 名古屋は今季、無失点試合数がリーグ最多(16)。今節でも無失点に抑えると、同一シーズン内のクリーンシート数としては34試合制においてリーグ史上最多タイとなる(2008年の大分と並び)。
- 名古屋は今季、被シュート数がリーグで2番目に少ない(349本)。対する広島は、同項目が今季リーグで3番目に少ない(357本)。
- 中谷進之介(2,176本)と丸山祐市(2,149本)は、パス本数が今季リーグで2番目と3番目に多い。両者は今季リーグのフィールドプレイヤーで、全試合にフル出場している3選手のうち2人(その他:マテイヨニッチ)。
データ引用元:https://www.nikkansports.com/soccer/news/202012180000279.html
サンフレッチェ広島対策
前回対戦時と対策はあまり変わらない
相手を引きつけて裏のスペースを使う
サンフレッチェの守備の弱点はこの通り。これも変わらない。
- ボールの奪いどころが定まっていないのか突然選手が飛び出してボールホルダーに食いついてしまうことがあり、その裏のスペースを使われやすい
- WBがサイドに釣り出されてもCBはカバーに行かず、DHが最終ラインに降りてカバーすることになっている
食いついた時点で本来、相手(グランパス)の選手を遅らせることが前提なので、そこで遅らせることなく、マークを剥がせればカバーリングも追いつかない。
今年グランパスが本当に上手になった「レイオフ」という、横にサポートの選手をおいて、1−2でボールを前進させるプレーを積極的に使っていきたい。
手厚くない中央を攻めよう
川辺駿も青山敏弘も、攻撃的なタスクの得意な選手だ。
よろしい、ならば戦争だ。
米本拓司・稲垣祥のグランパスの誇るツインルンバで攻めたてよう。荒木隼人は確かに素晴らしい選手だが、ショートカウンターで直接脅威にさらされたときにすべてをカバーできる神様ではない。セントラルMFを突破して、守備陣にダイレクトでアタックしよう。
セットプレーに要注意
前回対戦時には森島司のスーパーなフリーキックでゴールを奪われた。
ゴール前のいい位置で、不用意なファールを起こさないこと。これが必要だ。
フィッカデンティ監督なので当然修正は入っていると思うが、同じことを何度もやられないことが重要だ。
クリーンシートでしめくくろう
戦術的にはよく訓練されているサンフレッチェ広島だが、ここ数試合得点力不足に悩んでいる。名古屋グランパスも同じと言えば同じだが、レアンドロ・ペレイラを欠いた攻撃陣ならば、ランゲラックのクリーンシート新記録も十分に狙える。守備陣の質の高さで相手をシャットアウトし、マテウス、相馬勇紀、前田直輝で殴り続けよう。指揮を執る阿部浩之に高い期待がかかる。
勝利すれば文句なしで3位が確保できる。
自力で勝利を勝ち取り、再びアジアへ。良い試合になりますように。