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なぜ名古屋は効率良く得点を重ねられたのか? FC東京のアプローチを分析する 2024年J1リーグ第14節 FC東京戦マッチレビュー #グランパス #grampus #fctokyo

雨のナイトゲーム、最高の展開となりました。Noble strikerの帰還。

試合結果は大満足ですが、油断は禁物?

過密日程のミニレビューで振り返ります。

試合情報

1.名古屋グランパス・FC東京のスターティングメンバー・ベンチ
1.名古屋グランパス・FC東京のスターティングメンバー・ベンチ
ポジション名名古屋グランパスFC東京
GK(ゴールキーパー)ランゲラック野澤大志ブランドン
CB(センターバック)吉田ハ・ケネディ・河面(かわづら)森重(もりしげ)・木本(きもと)
SB(サイドバック)白井(しらい)・バングーナガンデ
WB(ウイングバック)内田・小野
CMF(セントラルMF・ボランチ)椎橋(しいはし)・稲垣高(こう)・小泉
IH(インサイドハーフ)森島・永井
WG(ウイング)俵積田(たわらつみた)・安斎(あんざい)
FW(フォワード)キャスパー(K).ユンカーディエゴ(D).オリヴェイラ・仲川(なかがわ)
各チームのポジション名と選手名

非保持で優位を取られない

東京は2センターバック(森重+木本)に高を足したビルドアップ部隊で構えた。

用語解説:ビルドアップ部隊:マイボールになったときに攻撃の第1段階を担う選手達のこと。多くの場合はCB+チームごとの狙いにより、CMFだったりSBだったりする。

名古屋から勝ち星を上げてきたチームは主に名古屋のプレッシャーをかわす為、初期配置の勝負を仕掛けてきているチームが多かった(前節のガンバ然り)

そんな中でFC東京は名古屋の最前線のプレス部隊(キャスパー・ユンカー・永井謙佑・森島司)に対してがっぷり四つの3対3を挑んだ。

同数で挑んでくれるおかげもあり、手前の部分で数的優位が取られなかったり選択肢の突きつけがなかった。

それにより前線の守備部隊より後ろの名古屋の選手達にとっては「イレギュラー」が起きない盤面になった。

対名古屋の鉄板であるSBの位置を低くしたり、内側に絞ったりすることでIHやWBに選択肢を突きつける展開や、2センターバックと2ボランチの4枚で名古屋のプレス部隊から優位を取るような形が見られなかった。

2.ビルドアップ部隊に前線の3枚(ユンカー・森島・永井)を当てられる構図
2.ビルドアップ部隊に前線の3枚(ユンカー・森島・永井)を当てられる構図

そのため、名古屋としては前から順番に当てていく事で何の苦労もなく守備を行うことができた。

小泉が外側に捌ける動きや仲川が降りて来る動きは見せたものの、それは東京にとって「手詰まりからの手札選択」だった為にサポートの選手の判断が遅れる。

判断が遅れるとピッチではかなり目立つ動きになる。

名古屋の守備は目立つ動きに対して同じ速度以上で対応していく形でビルドアップのサポートに対してチャレンジしていった。

プレスがはまっている以上、かけなければいけない制限が分かりやすいが故に、フィジカルコンタクトの部分が厳しくなり、この試合ではファールが増えることになり、その結果プレーが止まる時間も多かった。

しかし、プレーが止まる理由は正の因子が強かった(守備がうまくいっていたから)ということはポジティブに捉えていいのではないだろうか?

もう一点、東京側で気になった部分といえばサイドバックとウイングの関係性。

2人とも大外と大外に立つ縦関係が目立ち、名古屋としてはボールを持たれても守備者は外の縦関係をWBとCBで対応させ、そのラインで中を見るか?外を見るかを決める事で外の縦関係では守備の配置が崩れなかった。

白井、安齋が前半の途中でようやく内側に立つようになるが、そこに+αで選手が足されることがあまりなかった為、立ち位置の速さで苦労する瞬間はあったもののそこまで脅威にならなかった。(高がアンカーの位置に立つ為、東京の右サイドは人のリソースがあまり割かれない。)

3.高をアンカーで浮かせるために、東京の右サイドは同数で守れて名古屋に選択肢を迫るようなプレーができていなかった
3.高をアンカーで浮かせるために、東京の右サイドは同数で守れて名古屋に選択肢を迫るようなプレーができていなかった

90分間名古屋が優位を取れていたか?といえばそうではなく、東京側はビルドアップのサポートが遅れてもなんとかなる理由があった。

それがディエゴオリベイラの存在

東京のビルドアップサポートに対してセンターの椎橋、稲垣。ウイングバックの小野、内田が早く出ていく分、彼らの裏のスペースは当然空いている。そこにディエゴが降りてくる動きでセンターバックを釣り出す動きだけは、ずっとワンチャンスある状態だった。

SBにWBが当たるハメ方を名古屋がしてる以上、CBが手前に釣り出されて質の部分で優位を取られてしまうとCBとWGの1v1を晒されてしまう。

質の優位が担保されているからこその遅れてもいいサポートや、サポートに入った選手の近くでボールを引き出すフォワード(ディエゴ)を見るとワンチャンスの可能性を濃くする効率の良い形ではあると感じた。

4.ディエゴ・オリヴェイラにCBが釣り出されると、安斎・俵積田が勝負をかけられる場所ができてしまう
4.ディエゴ・オリヴェイラにCBが釣り出されると、安斎・俵積田が勝負をかけられる場所ができてしまう

その延長線上で、プレスが来る前にワンタッチでスペースに叩くような動きは外から中に刺し込む時によく見られた。

いずれにせよ東京が優位を取りたかった場面で粘り強くそれに対応して大きな負けを背負うことがなかった選手達には感謝。

制限されないビルドアップ

逆に名古屋のビルドアップ3枚に対して東京は基本的に同数の前線3枚(ディエゴ・オリヴェイラ・俵積田・仲川)で対応してゆく。

その中で仲川の動きが目立つ。かなり自由に動き、プレスバックから前線の蓋に対する参加まで担う。

前線と仲川の守備の約束はわかりやすかったが、東京側で分かりづらかったのは2ボランチの高と小泉の動き

センターの稲垣、椎橋につくわけでも無く中央で構える形。

名古屋としてはセンターに選手が張り付いてこない。囲まれないという状況が良い意味でイレギュラーだった。

仲川の左サイドのフォローの動きに対して右では安斎が引いた位置を取る展開だった為、プレスはかかることは少ないが名古屋の右は小野から先が難しい状況に。右は森島が引っ張ってからという展開となった。

5.これまで各チームがやってきた名古屋対策(CMFを囲って自由を奪う)をしてこなかったFC東京
5.これまで各チームがやってきた名古屋対策(CMFを囲って自由を奪う)をしてこなかったFC東京

相手ボランチの立ち位置や仲川の動きも見てなのか、名古屋はいつも通り右サイドで内田を前にあげサイドバックを押し込み、三國と内田の間に森島が入る動きを多く見せた。

森島に対して高や小泉がついて来るとセンタースペースが空いてくる。椎橋や稲垣がサイドからボールを引き取る事が容易な場面があったのがよく分かる。

さすがにあれだけプレッシャーがない状況で、スペースがあればセンター2枚は自由に出来る。(三國の幻のゴールの前の局面なんかが分かりやすい)

6.サイドで仲川や高・小泉を引っ張り、椎橋を浮かせる仕組み
6.サイドで仲川や高・小泉を引っ張り、椎橋を浮かせる仕組み

試合雑感

  • とにかく相手チームの攻守の設定に困惑する試合となった。さすがにあれだけ名古屋のやりたいことを制限してこなければある程度闘えて当たりまえ。前節まではほとんど対名古屋的な要素があっただけに試合の濃度が薄かった。
  • 現地で見ていた人は分かるかもしれないが、稲垣が常に椎橋を見ながらプレーをしていたのが印象的。声かけの回数もガンバ戦を明らかに上回っていた。スペースもあるだけに2人とも理想のプレークオリティを発揮出来ていた。
  • 吉田の黙って外に開いて立っておける気の効き方。バタバタしないので消えて広がってプレーの余裕を作る部分は助かった。
  • ここ最近左のIHに入る選手たちのプレスバックサボり癖が気になるところ。IHの出入りがCMFの選手たちのプレーエリアをコントロールすることになるので森島だけに任せない。
  • 左は相手の関係上詰まる事もあったが、森島を脱出先にする!という明確な設定と森島の立ち位置で解決した。

さいごに

次節の鳥栖もやりたいことを突き詰めるチーム。

ここ最近は上手くいっていないところから徐々に自信をつけ始めている。

この2節で名古屋も自信をつけたい。

木本対キャスパー
木本対キャスパー

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