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FC町田ゼルビア戦、グランパスは本当に無策だった? #喋る机 #grampus

FC町田ゼルビア戦、グランパスは本当に無策だった? #喋る机 #grampus

最近、どういう意図なのかはわかりませんが、質問箱じゃなくてDMでいろいろいただきます。「ミシャ采配はもうワンパターン過ぎて無理じゃないですか?(優しく意訳)」というのが来ておりました。そこについて考えて見ます。


デスク「どうもデスクです。」

デスク

喋る机:用語解説:スポーツ紙や夕刊紙(『日刊ゲンダイ』『夕刊フジ』『東京スポーツ』等)の記事にたびたび登場する「デスク」の異称。『日刊ゲンダイ』の記者室に生息すると噂されるものが特に知られており、現地取材を経ずに「記者と机の対話」のみで記事を構成する独自かつ省力化された(?)取材スタイルで一世を風靡した。紙面に掲載される喋る机記事は、あくまで「記者と無機物たる机による高尚な対話の記録」という形式をとる。
野暮を承知で補足すると、ここでの「デスク」とは怪奇現象の類ではなく、新聞社で取材の統括や記事のデスクワーク(校閲・承認)を担う実在の役職者を指す。

記者「どうも記者です。デスクよろしくです」

記者

デスク「手ひどい負け方だったな。ギリギリまでチャンスはあったのに、今回もまた前半アディショナルタイムと、後半アディショナルタイムに失点。0点に抑えることは難しい相手とは思うが、点の獲られ方とタイミングが良くなかった。」

記者「早速「はやくミシャを解任しないと間に合わなくなる!」みたいな発言が多数でてきていますねぇ。」

デスク「ちょうど小中先生が順位予測を発表して、ダントツ最下位だったこともあって、解任派の人が超元気。「もうミシャは対策されて、もうダメだ」みたいなことを言っている。そうじゃない人も「さよならJ1」みたいなことを呟いている。DMにもあったようにそんな無策だったとは思わないので、短くまとめよう。」

現状のグランパスの問題点はどこにあるのか

記者「なんか2026/27シーズンから得点が取れてないよな、という印象があります。
しらべてみると、実際、平均得点が0.5ダウン。これは30%ダウンなので、かなり深刻です。
平均シュートが0.7ダウン(-6%)、奇妙なのがペナルティエリア侵入回数は微増、30mライン侵入回数は21%増なんです。

シュートに至るにはいい位置に入っている必要があるので、シュートが減っていたら普通はこちらも減っているはずですよね?」

攻撃関連スタッツの変化
攻撃関連スタッツの変化
攻撃回数・30mライン侵入回数・ペナルティエリア進入回数・シュート回数・枠内シュート回数の関係
攻撃回数・30mライン侵入回数・ペナルティエリア進入回数・シュート回数・枠内シュート回数の関係

デスク「確かにおかしな状態だよな。普通は攻撃回数・30mライン侵入回数・ペナルティエリア進入回数・シュート回数・枠内シュート回数の順位はそうそう変わるものじゃない。
それぞれの数値の意味は下のNeilSさんのNeilSメソッドでの使われ方を見て貰えればわかると思う。深く考える必要はないが、だいぶ歪な状況なのだと理解して貰えばいい。」

NeilSメソッド(攻撃編)
NeilSメソッド(攻撃編)

記者「30mライン侵入回数は増えているのに、実はチャンスクリエイト総数や攻撃回数そのものは減っているんですよね。いびつと言えばここもそうです。」

デスク「そうなんだよ。かなり上位の30mライン侵入回数(4位)・ペナルティエリア進入回数(6位)を出しているのに、攻撃回数もチャンスクリエイト総数も10位以下なんだ。
割と後ろでゆっくり回して、ここぞというとき攻撃をするというスタイル、ということなので、そこはまあそういうことなんだろうと思う。」

記者「話を戻して、シュート減少の件。これ、ひょっとしてシュートに近づくほどほかの数値の順位が悪くなっていませんか?普通は順位ってそのまま推移しそうです。」

デスク「そうなんだ。30mラインは越えていられるのに、ペナルティエリア進入回数に入れる割合は低くなっている。そしてそこからシュートに至れる回数はさらに激減している。」

記者「素人目にも、なんでいまシュート撃たないのよ!っていうシーンが結構ありますよね。」

デスク「ミシャは崩すのに”アイデアを出せ”、と求めているが、それが悪いほうに出てしまっているのかもしれないな。」

記者「クロスの回数は平均16.6から平均18まで増えています。が、良いクロスが減っているのでは?という疑惑があります。
たとえば中山選手がポケット(PA脇)を取る回数も減っていて、大外からのクロスばかりです。
これは”効く”クロスではないと思うんですよね。外からのクロスは相手DFも身構えてクリアしやすいですからね。」

デスク「そう、証明できるだけのデータがないため仮説に過ぎないが、中央突破がうまくいかないので、クロス。中山のペナルティエリア進入も警戒されているので、外からのクロス。ペナルティエリア進入回数とシュート回数が減っているロジックはここにあるのではないか。」

記者「これが研究された、ということなんでしょうか?」

デスク「そうだな。ただ、20年前のサッカーだから通用しないっていう言い方をしている人もいるが、4-1-5変形とかのベーシックなところはともかく、20年前のミシャ式とはまったく違うサッカーをしているぞ。そうじゃなくて、いまのJ1リーグでは、良いサッカーをしていても初見では通用しても2周目は通用しないもんなんだ。上位のチームはだいたい、研究されても選手の質と戦術の練度で上回っているだけだ。」

レッズ・コンサドーレ・J1百年構想リーグのグランパスの比較は次の記事で紹介しています。

記者「ほんとにJ1リーグって怖い。たしかに中山克広選手を機能させないとか、木村勇大選手には複数枚で持ち上がらせないとか、これミシャ式だからっていう対策じゃないような気がしますものね。」

デスク「ミシャ式だから、っていう弱点は、前に枚数かけ過ぎるから後ろの枚数が足りないってことくらいだよ。だから守備力の高いチームのカウンターに弱い。」

FC町田ゼルビア戦ではじゃあどういう狙いが?

記者「だいたい名古屋の現在地はわかった気がします。カウンターに弱いのはどうにかして欲しいですが。今回のFC町田ゼルビア戦はどんな試合だったでしょうか。」

デスク「全体の流れは忍者さんの記事を読んでもらうとして、この試合は、FC町田ゼルビアの特徴を踏まえてその弱点を突こうという狙いが明確だった。その狙いが浅野雄也・永井謙佑の快速フォワードの起用。」

記者「これまで浅野雄也は一貫して大外・ウイングバックでの起用でした。和泉竜司と位置を入れ替えています。これは、ゼルビアのどんな弱点を突こうとしたのでしょうか?」

デスク「まずこれを見て欲しい。」

2026/27シーズントップスピードランキング(グランパス・ゼルビア抜粋)
2026/27シーズントップスピードランキング(グランパス・ゼルビア抜粋)

記者「ゼルビアは快速フォワードが多いですね。DFでは2位に明本考浩が入っていますが14位までには望月ヘンリー海輝まで。名古屋グランパスは藤井陽也や野上結貴、徳元悠平、原輝綺が入っています。」

デスク「そう。ゼルビアの特徴としては、
①DFは守備はめっちゃ固い
②CBは昌子が15位、岡村が20位、菊池流帆が35位と、脚は速くない

というものがある。そこで、CBの裏を突こうという作戦を立てた。」

記者「なるほど、それで永井謙佑と浅野雄也の起用だったわけですね。」

デスク「しかも、スルーパスで裏を取るには、地上戦最強のゼルビアセンターバック。正直難しい。そこで考えたのがアーリークロス。GKとCBの間にどんどん放り込む。」

記者「確かにどんどんクロスを入れましたね。和泉竜司のクロスを浅野雄也がシュートしたのは惜しかったです。あれが狙いですか。」

デスク「そう。それでクロスを警戒することでCBが下がれば押し込めるから、得点に繋がる事故は起こしやすい。脚が遅めのCBを活用した戦術だな。どのチームにもできる戦い方ではない。エビデンスは和泉竜司のパスマップを見て貰うと一目瞭然だ。」

和泉竜司 FC町田ゼルビア戦のパスマップ
和泉竜司 FC町田ゼルビア戦のパスマップ

記者「和泉竜司、あんまりクロスをあげる選手じゃないですからね。うまくいかなかったものを含めて4本のクロスはこの試合の狙いを表してそうです。
そうなると、浅野雄也の怪我は痛かったですね。」

デスク「そうだな。浅野雄也の交代が山岸祐也だったのが意外だった。戦い方はいつもの戦い方に戻ってしまった。」

記者「なんで浅野雄也がいなくなったら戦術を変えなきゃいけなかったのかは謎ですが、永井謙佑1人では仕込んで来た仕組みができない、という判断だったのかもですね。」

デスク「そのあたりは外部からは知りようがないが、山岸シャドーには1つデメリットがあったな。」

記者「と、いいますと?」

デスク「和泉竜司がやるにせよ、浅野雄也がやるにせよ、グランパスのシャドーは中盤に降りて守備もできなきゃいけない。山岸祐也だとそこが穴になる。」

記者「確かに。守備はそこまで上手ではないですよね。前半、意識して低い位置まで降りてきていたのは、不得意ながらも相手MFを消そうとしていた感じでしょうか。」

デスク「もっとやりやすいようにバランスをとって4-4-2の永井・山岸の2トップにする、と言う解決策もあるだろうが、木村勇大をどうはめ込むの?とか考え出すと結局うまいことはいかない。」

記者「そもそも小屋松知哉じゃダメだったんですかね?」

デスク「実は俺もそう思ったのだが、怪我明けの小屋松知哉をあまり長時間高強度のゼルビアディフェンスに晒したくないのかな、というのが俺の予想だ。」

記者「同じポジションには菊地泰智もいました。彼ならどうだったのでしょうか。」

デスク「これは推測に過ぎないのだが、最終的には小屋松知哉を入れたい、永井謙佑はおそらく最初から60分想定。(たぶん飛ばし方からみてもそう)そうなると、菊地泰智を入れても途中出場・途中交代になってしまう可能性がある。じゃあ60分で入れる予定だった山岸をいれてしまえ、となったのではないだろうか。」

記者「うーん、ちょっと雑な気がします。結局1枠余らせていたので、IN-OUT想定でも菊地泰智を使っても良かったような気がします。」

デスク「まあ、結果論で言えばそうなんだろうがな。急な怪我で想定外。正しい判断ができるとは限らない。」

記者「ただ、残念ながら野上結貴も浅野の交代後に怪我をしてしまっており、無理矢理持たせているような状況。そんななかでグランパス右サイドを崩されて失点してしまいました。」

※ 怪我の情報は以下無料監督インタビューを参照してください(文字化けして見えますが、リンク先はインサイドグランパスです!)

デスク「判断がダメとは言わないが、そこはなんとかなるだろう、と思ったところが裏目に出たな」

記者「弱ってるときって、だいたいいろんなことが裏目にでますよね。」

デスク「「貧すれば鈍す」という言葉があるが、これは 余裕がなくなると、本来できるはずの判断やプレーまで鈍ってしまう状態を指す。今回の交代判断なんかはその典型だと思うな。」

今回のFC町田ゼルビア戦の準備はどうだった?

記者「今回、アーリークロスによる裏狙いとか、いろんな狙いがあったと思いますが、どう評価しますか?」

デスク「グランパスとしては、相手の弱点を突いた戦い方をする、というおそらくミシャとしては珍しい選択をしたのは評価できると思う。」

記者「世間の評判では、ミシャは頑固だから自分のサッカーしかしない、ということだったので自分も驚きました。」

デスク「たぶん発案はコーチ陣だと思うが、守るための方法ではなくて、攻めるための工夫だから受け入れたんだと思う。」

記者「そういう方向性であればミシャを動かせるわけですね。コーチ陣にはこれを成功事例として、いろんな工夫をチームに仕込んで欲しいです。」

デスク「相手にこちらがなにをやるか、バレてる状態で崩すのは本当に難しい。解ってるのに止められないっていう状態にはなかなかならないからな。そこへの第一歩が見られたというところがこの試合の成果だな」

記者「お題にあったような、ミシャ式はやることがワンパターンだからもう通用しないのでは?っていうことについては?」

デスク「そこまでワンパターンだけではないよ。と言いたい。20年前と同じサッカーではない。
これ、実は長谷川健太前監督のときもそうだったのだが、細かい工夫は毎試合毎試合行われているよ。それがうまくいくかどうかは別として。」

ここから反攻のための課題は?

記者「でも、まだ課題はありますよね。」

デスク「ゴール不足。これに尽きる。」

記者「30mライン進入はできているのに、シュートにいけない、シュートが減っているからゴールが減っている。これですね。」

攻撃関連スタッツの変化
攻撃関連スタッツの変化

デスク「J1百年構想リーグでは、そこが中山克広のポケット取りであり、ペナルティエリア内外でのフリックだったのだが、どちらも対策を取られている感がある。」

記者「ガッツリ中山克広に当たれば、中山克広はセーフティな選択をしがちなので、外からのクロスになる。外からのクロスには、ガチムチなCBが跳ね返せばいい、って感じでしょうか。」

デスク「クロスを上げるのが徳元悠平であっても同じで、外からのクロスは相手CBが身構えていたらそう決められない。そういう意味では高嶺朋樹が上げたアーリークロスがオウンゴールを生んだのはヒントになりそうだ。」

記者「中山克広をより活かすにはどうでしょうか?」

デスク「中山克広を小屋松知哉に代えろ!という過激な意見も出ているが、人を代えても左サイドがポイントってわかってたら、なかなか崩せない。一番の対策は右サイドからも攻められる!って相手に思わせることだ。左右で相手に守備の的を絞らせないようにしたい。」

記者「右サイド、尻上がりに調子を上げてきた浅野雄也が長期離脱になりそうなのは痛いですが・・・。そうなるとやはり小屋松知哉や甲田英將、和泉竜司に期待でしょうか。」

デスク「その3人にはもちろん期待するが、シャドーでは菊地泰智や小野雅史にも期待したい。」

記者「あとは森島司とマテウス・カストロ、マルクス・ヴィニシウスが帰ってくるだけです。」

デスク「その3人が完全体になれば、戦術の幅が大きく拡がる。期待しよう!」

記者「課題がクリアになったこと、あとなにかちゃんと手立てを打ってくれていること。それがわかったのでちょっと落ち着きました。」

デスク「苦しいときに、たとえ正論であっても、批判だけをぶつけてもそれほど効果は無い。
こんなときこそ、応援していこう」

記者「次の試合こそ、勝ってみんなで喜びたいですね」

デスク「V・ファーレン長崎に勝って、みんなで乾杯できることを祈ろう。では」

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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