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試合勘が薄いからこそわかるコミュニケーションの大事さ 第102回天皇杯2回戦 vs 同志社大学戦マッチレビュー #grampus #dusc #天皇杯

なんとかルヴァンに向けてターンオーバーしておきたい気持ちが見えた前半でしたが、個人のクオリティの差を押し付けられる選手を後半に投入して2-0でフィニッシュ。

カップ戦は「勝てば良かろうなのだ!」なので盤面に興味がない人が多いかもしれませんが振り返って行きます。

試合情報

名古屋グランパス・同志社大学のスターティングメンバー・ベンチ・フォーメーション
名古屋グランパス・同志社大学のスターティングメンバー・ベンチ・フォーメーション

名古屋は3142、同志社は442。名古屋はアンカーに吉田温、左のセンターバックに吉田晃、右のインサイドに内田でスタート。

名古屋が落ちた穴

前半から選手個々のボールの扱いがふわついたこともあり、まあまあ攻め込まれる展開に。それには名古屋の守備の曖昧さも関係していたかもしれない。

名古屋は試合開始から前から追う形を見せる。同志社の4バックに対して金崎、阿部、仙頭でプレスに行く場面が多かった。その際にインサイドグランパスでも長谷川監督が触れていたが、仙頭のプレスがパスコースを絞りきれない状態があった。

天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 2回戦 同志社大学戦後 監督会見 | インサイド・グランパス

そうなってもアンカーがスペースを埋めに入ればなんという事もないのだが、同志社の選手の2枚に挟まれていた吉田温はスペースを埋めに行けず、前線の選手達も戻ってきてスペースを全力で埋め直すような素振も少なかった為、スペースのケアを任されたのは内田だけになった。あまりにもケアしなければいけないスペースが広い上に、サイドの石田が数的不利を背負わないようにサイドも常に気にしなければ行けない状況。守備では常にボールが動くたびにやらなければいけないタスクが変わる内田は「自分の良さを出していく」以前のプレーを強いられた。また、アンカー脇に立たれる事が気になったのか吉田温は高い位置が取れずチアゴとの前後の距離感が以上に近い時間帯もかなりあった。

前半、同志社に簡単にボールをスライドされてシュートまで行かれたりするのは誰もどうするのかを決める事が出来なかった中央のスペースが原因だった。

内田が見なければいけない場所と前半の名古屋の陥った形
内田が見なければいけない場所と前半の名古屋の陥った形

穴に落ちた名古屋を…

この名古屋が陥った形から同志社はどうしたかというと、吉田温の脇に立つ選手が降りてきて名古屋の両脇のセンターバックを釣り出し、釣り出したスペースに選手が走り込み、チアゴをスライドさせるという勝負の形。仙頭は高い位置でのプレスに意識が行き、後ろの制限が出来ずにスポペースを作る。内田はサイドのケアと中央の二択迫られた結果後ろにスペースを作ってしまい攻撃のスイッチの起点となる場所を作ってしまう。

同志社の名古屋攻略
同志社の名古屋攻略

縦の攻略を見せられるため、名古屋のインサイドハーフ(仙頭、内田)は余計に外に意識が行き、中央が空く悪循環になってしまっていた。

後半からの修正

とにかく中が空くのが嫌だった名古屋は後半から343(阿部がフリーマンの形)に変更。ウイングバックでふわついていた石田を前へ、タスク過多だった内田を外へおく。アンカーがボールを取るチャレンジが出来なかった事もあり2センターへ変更。どちらかがチャレンジしてもどちらかはカバーに入っている形にしてきつく(タイト)に当たれるようにした。

形を変えてから直ぐに吉田温が前へチャレンジして頑張ったことによって金崎にボールが渡り先制点へとつながる。

守備では相手の2列目までには持たせてもいい形を作り、中央を狭くする。(絞る)先制点を取ったことで無理に中央に楔を打ってくれば名古屋の選手が密集した場所でボールを取る形を作る。

ウイングバックは前半より構える回数を増やして前半同志社が攻略してきたサイドの縦の選択肢を消す事に集中した。

後半からの形
後半からの形

宇水、マテウス、酒井が入ってからは酒井が降りてきて人を引き付けながら展開や大外の内田を使う動きが目立った。しかし、この時に内田は前半のタスク過多での疲労と低い位置での後ろのフォローに回っていた為、中々リスクを取って上がれなかった。

宇水はマテウスに預けたら直ぐにダイアゴナル(斜めに入って行く)を恐らく個人的な決め事としていた。youtubeのハイライトでマテウスの2点目を蹴る前に人影がカメラを横切るがあれが宇水。あの宇水のランニングでマテウスが縦に来ることが匂ったキーパーはニア側を絞って結果的にファーに伸びていったボールがゴールネットを揺らした。藤井も同年代の対人性能なら文句なしの出来だった。

交代で入った選手達の役割
交代で入った選手達の役割

近道は技術だけにあらず

前半で丸山がチームメイト同士がコミュニケーションを取らない事に閻魔の如く 怒っている(最早怒るという表現を越えている)場面があった。スクランブルでポジションについた選手、普段実戦に絡めない選手達が出ていたのでミスや決め事が明確にならないのは十分承知だが、だからこそ短い時間で点を線にするために出来る事は「コミュニケーション」が一番手っ取り早い。齋藤、丸山、阿部。後半からの酒井。試合に中々出れていないその辺りの選手はコミュニケーションの為に声を出す事をレギュラーより意識してやらないと1stチョイスに絡んで行くのは難しい。

試合後感想

ビルドアップに関しての盤面把握能力と認知力が試合で使うには厳しい選手がいた中で、金崎が背負って、齋藤から阿部で決める「チームベテラン」のパワーと、理不尽な飛び道具で勝った事は正直助かった。

先制点の場面。起点は吉田温が前半と比べてプレッシャーに行けたこと=2センターに修正した事だった。吉田温のチャレンジと2センターの修正が良かった。内田は立ってる位置や待ってる位置がいいだけに今回は最終ライン(特に吉田晃)が受け手の状態を確認せずに無理に出してボールロストの事実を背負わされたり、アンカーの迷いを一手に引き受けてどうにかしようと悩んでる姿は見てて苦しかった。彼もまだ今日(2022年6月2日)で24歳。貧乏くじ係にはまだ早い。

宇水選手はハーフタイムのアップで右足も左足も同じ軌道で綺麗なボールを蹴っていたのが印象的。より良く、遅い選択肢ではなくサッカーのプレー選択に間違いは無いのでとにかく早い判断、選択肢をきるピッチでのプレーも印象的だった。

最後に

天皇杯が継続するという事は試合数が減らないという事。これから当分“全員サッカー”が続く。

おまけ

背中を押してくれる監督と共に
背中を押してくれる監督と共に

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