5月末にJリーグクラブの経営情報が部分的に開示された。
まだ限られた情報ではあるが、そのデータの中から名古屋グランパスの現在地を考察してみたい。
まず、いわゆる売り上げにあたる「営業収入」について、J1クラブ間で比較してみる。浦和が1位、以下川崎F、G大阪と続き、名古屋はJ1で10位となっている。
名古屋はトヨタグループに支えられているため、スポンサー収入が極めて大きいように思われがちだが、少なくないものの極端に多いわけでもない。比率としては高めだが、絶対額では中位と言うところだ。スポンサー収入の金額は関東のクラブが上位を占めており、町田に至っては全収入の3分の2に達している。一方、名古屋は各収入源のバランスが良い構成となっている。
入場料収入はスタジアムのキャパシティに上限があるため、全収入における割合は今後徐々に低下していくと予想される。特に新瑞穂は豊田スタジアムより収容人数が少ないために割り切って考える必要があるだろう。
編注:名古屋グランパスの現時点の観客収容率は79%とかなり高め。これ以上増やす余地はあまりない。
そのため、より割合の大きいスポンサー収入を伸ばすべく、スポンサーの露出を増やす努力をすることが営業戦略上重要になる。
名古屋の場合、有料入場者数が目標値を超える見込みが立った時点で、将来のファン獲得への投資としてキッズ向けの無料招待を積極的に行った可能性がある。無料で招待してでも観客動員数を増やすことが、結果的にスポンサーへのアピールに繋がるからだ。
営業収入全体を前年比で見ると、全体では減少しているものの、内訳を見るとスポンサー収入と入場料収入は増加しており、「その他」の項目が減少している。「その他」の詳しい内訳は2025年度版では未発表だが、過去の事例から推測すると、移籍金収入の減少が大きく影響していると思われる。 言い換えればファン離れに起因するものではないために悲観的になる必要はないだろう。
次に、名古屋の赤字報道について触れておきたい。今回発表されたクラブの中では、神戸に次いでワースト2位の赤字額となっている。但し、神戸と名古屋では赤字の質が異なる。神戸は高収益に高額な人件費。オーナーの志向もあり、恒常的に赤字が起こってもおかしくない体質となっていますが、名古屋は移籍に伴う一時的なものであり、構造は本質的に異なっている。
前述の通り、移籍金関係での収支マイナスが響いているのだろう。端的に言えば、補強費の増加に加え、2025年度はチーム成績が振るわず、リーグなどからの分配金が想定を下回ったことが主な原因ではないかと推測される。但し、チーム人件費全体で言えば収入に占める割合は38%と大きいわけではなく、J1で考えればむしろやや控えめな部類に入るくらいだ。
経常的な赤字体質ではないので、BS上で債務超過になるリスクは少ないと考えられる。
より詳細なデータが揃い次第、改めて深掘りしてご紹介したい。




