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なぜグランパスは大量の期限付き移籍を出したのか? #grampus #グランパス

LOAN貸: 9名 行德(期限付き移籍延長)・貴田(昨年末に期限付き移籍延長)・加藤(期限付き移籍延長)・倍井(期限付き移籍先変更)・三國・森・鈴木・吉田・榊原

このうち今季トップの実働から新たに抜けたのは三國・森・鈴木・吉田・榊原の5名で、残りは継続中の貸し出しです。

上記のように沢山の若手が期限付き移籍に出していることに不安を感じている人が多いようです。

そういう方に向けて、どうしてこうなったのかをまとめます。

大前提:選手は出場機会が欲しい

2026年6月27日、ファジアーノ岡山の始動に伴うテレビ番組で、今回期限付き移籍になった森壮一朗選手のコメントが紹介されていました。一部だけ引用します。

半年思うような出場、結果がなく悩んでいたところに岡山さんに声をかけてもらいました。
自分の近い年代で佐藤龍之介や小倉幸成が活躍しているのを目の当たりにして、先輩から話も聞いて、頑張るという熱意や確信を持ったので決断しました。 」

引用元: 2026.6.27YouTube『ファジアーノチャンネル』新体制

森壮一朗も比較的出場機会があったほう(20試合中12試合出場2先発305分出場)なのですが、それでも前年に比べると減ってしまっています。現実的に、浅野雄也や甲田英將からの3番手という扱いが我慢できなかった、ということが大きいのだと思います。

「チーム愛より自分の出場機会」

これは間違いないでしょう。

でも出場機会をキープするためにU21リーグがあるのでは?という疑問が出てきます。

U21リーグがあるのに大丈夫なの?

U21リーグ、個人としては肩透かしの内容になってしまったと思っています。理由は東西分割して西は5チームでホームアンドアウェイ=8試合+交流戦ラウンド6試合+プレーオフラウンド最大2試合だけ。正直試合数が足りません。

若手に公式戦出場のためのリーグを作るのはとても良いと思います。実際J3のセカンドチームで経験を積んだ選手は成長しているし成果も出ています。域内の数チーム相手に、J1〜J3の年間38試合の半分以下しか試合数がないのでは、試合経験という点で物足りなく感じます。

またレギュレーションも、OAの範囲が大きすぎます。

U21リーグのレギュレーション
U21リーグのレギュレーション

U24=22歳から24歳を4名+25歳以上6名が使える。U21の選手は最低4名先発しなければなりませんが、U21リーグという名前がイマイチ実態にそぐっていないものだということがおわかりいただけるでしょうか。

この中途半端感が、「練習試合と変わらないのでは?」という疑念を抱かせます。ぬるい試合では成果は出ないのではないでしょうか。

ここはこの名古屋グランパスの動きを見た上での解釈ですが、この試合数とぬるさでは経験があまり積めないので、U21リーグ向けに確保していた人材の活躍の場を模索した上で、その結論が期限付き移籍に出す、だったのではないでしょうか?

Jリーグにおける期限付き移籍のメリットとデメリット

あらためて定義しなおしてみます。

期限付き移籍は、選手を完全に手放すのではなく、所有権を残したまま別のクラブでプレーさせる仕組みです。「レンタル移籍」と呼ばれることもあります。

この制度の一番大きなメリットは、出場機会の確保です。

特に若手選手の場合、所属クラブでベンチ外や途中出場が続くよりも、別のクラブで公式戦に出続けたほうが成長につながりやすくなります。公式戦はJリーグの場合昇降格に関わるので、ある意味命がけの真剣な試合になります。練習だけでは得られない判断の速さ、試合勘、責任感、対人強度を身につけられる点は大きいです。

クラブ側にもメリットがあります。将来性のある選手を完全移籍で手放さずに、実戦経験を積ませることができます。出場機会を与えづらい選手を外に出すことで、選手本人の停滞を防げますし、移籍先で評価を高めれば、復帰後の戦力化や完全移籍時の価値向上にもつながります。また、選手層が厚いクラブにとっては、編成の整理にもなります。

移籍先クラブにとっても、期限付き移籍は有効です。完全移籍で獲得するには費用や契約面のハードルが高い選手でも、期限付きであれば獲得しやすくなります。そしてあわよくば借りた選手を返さない、俗に言う「借りパク」を狙えるというところが大きな要素でしょう。

一方で、デメリットもあります。

まず、貸し出すクラブにとっては、手元の選手層が薄くなるリスクがあります。シーズン中に怪我人や代表招集が重なると、「あの選手を残しておけばよかった」という状況になりかねません。若手育成を優先しすぎると、クラブ内の試合運用に影響が出る可能性もあります。

選手本人にとっても、期限付き移籍が必ず成功するとは限りません。移籍先の監督や戦術に合わなければ、結局出場機会を得られないこともあります。環境が変わることで生活面やメンタル面の負担もありますし、「戻れるのか」「完全移籍になるのか」という将来の不透明さを抱えることにもなります。期限付き移籍は決して「選手が要らないから不要選手を整理する」という目的ではないのですが、そのように受け止められるのもデメリットです。その場合、選手のチームへの忠誠心に大きな影響を与えます。

移籍先クラブにもリスクがあります。期限付き移籍の選手は、活躍しても翌年に戻ってしまう可能性があります。チームの中心として使った選手が1年で抜けると、翌シーズンの編成をまた作り直さなければなりません。また、親クラブとの対戦で出場制限がつく場合は、重要な試合で使えない可能性もあります。

さらに、期限付き移籍が多くなりすぎると、クラブが選手を抱え込みすぎているように見えることもあります。若手を育てるための前向きな貸し出しなのか、トップチームで使う見通しがないまま人数だけを抱えているのかは、外から見ると判断が難しいです。そのため、サポーターから「なぜ出したのか」「なぜ戻さないのか」という疑問が出やすい制度でもあります。

結局のところ、期限付き移籍はメリットもデメリットもある制度で、クラブがその選手を将来どうしたいのか、移籍先でどのくらい出場機会を得られる見込みがあるのか、復帰後の役割をどう考えているのかを考えておく必要があります。

出場機会を得るための前向きな移籍であれば、期限付き移籍は選手・貸し出すクラブ・受け入れるクラブの三者にメリットがあります。しかし、場当たり的な人数整理になってしまうと、選手の成長にもクラブ編成にも中途半端な結果を残しかねません。

Jリーグにおける期限付き移籍は、若手育成とクラブ編成をつなぐ重要な仕組みです。ただし、その成否は「どこへ出すか」ではなく、「何のために出すか」によって決まる制度だと思います。

じゃあなんのためにグランパスは期限付き移籍を増やすことを選んだのか

もともとJ1百年構想リーグ時点で、35名の陣容。35名中怪我の吉田温紀と新卒の久保遥夢を除いて33名をリーグで使い切るのは、全員ターンオーバーしたV・ファーレン長崎戦がなかったら難しかったというのが事実です。

今後も、ターンオーバーの機会はゼロではないでしょうし、ヤマザキビスケットルヴァンカップなどの公式戦でチャンスがありそうです。それでもリスクもある期限付き移籍を選んだのでしょうか?

それは本気でタイトルを獲りにいくため

現時点で名古屋グランパスは30名。移籍が噂される選手を入れても31名の体制です。

これはまったく少ないわけでなく、十分U21リーグを含めて戦える陣容です。

2026-2027シーズンの名古屋グランパス 2026年6月28日16:00時点
2026-2027シーズンの名古屋グランパス 2026年6月28日16:00時点

各ポジションに2人以上メンバーがおり、競争もあります。

このような陣容を揃えた理由は1つ。タイトルを本気で獲りにいくためだと思われます。タイトルを獲るためにバランスよく出場機会を得させることを諦め、結果を最大化するためにこのような選択をしたのではないでしょうか。

もちろんこのようにしたからといってタイトルを取れる保証はありません。しかし、本気の姿勢を見せてくれたことは評価したいと思いますし、応援をしたいと思っています。皆さんはどう感じられますか?

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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