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配置のズレから動きのズレへ 鹿島アントラーズ戦マッチレビュー #grampus Y0251

1-2という悔しいスコアで幕を閉じた鹿島戦だが、そこには単なる敗戦で済ませるには惜しい試行錯誤が詰まっていた。立ち位置で相手を釣り出す狙い、失点時の守備のズレ、そして4-4-2への修正。試合の中で名古屋が見せた新しい挑戦を読み解いていく。

試合情報

第1節の清水と、ビルドアップ部隊に対しての食いつき方がほぼ同じ鹿島。吉田が1センターを見る形になるが、中央で構える時間が稲垣から高嶺に変化した。マテウスから内田への変更で、高嶺と2センターの高さまで降りてくる内田がワンポイント。

前半20分、名古屋は鹿島の守備を動かしにいった。その優位性と課題

ビルドアップが激変したわけではないけれど、保持局面では1センターの高嶺を見張る吉田が、最終ラインに落ちた稲垣やピサノに対してもアプローチすることで、8分25秒からのように鹿島の2トップと2ボランチの間の空間が大きく空く形は作ることができた。吉田の守備の出入りに加えて、中央にいる高嶺がSBから顔を出して受けることが大きかった。

1センターは基本的に相手1枚でその役割を消すことができる。その分、そこにベクトルの付くアクションが加わると、相手も薄い分、居なくなったスペースをどうケアするかが難しくなる。そもそも1枚でパスコースが消えたりマークについたりできるので、相手にとっては圧倒的に守りやすい。だが、ローリスクであるがゆえに枚数を割けない。そこを名古屋が逆手に取る、ハイリターンからの攻撃の優位性は分かりやすかった。

👍補足

実際に8分25秒からで言えば、高嶺がSBからもらう動きを入れたことで、吉田とブエノがその動きに釣られていった。鈴木も稲垣対原のところの守備の面倒を見なければいけない中で、中央の内田に絞りづらかった。

惜しかった点で言えば、12分37秒からのような、1センターにボランチが食いついたから藤井が運んで、降りてくるIHのところに入れようとした場面。思ったよりレオセアラの寄せが速くて、外に出してミスになった。4-1-5の1センターのところでの相手守備の変化(ブエノが出てきた)で、IHが受けるスペースができる(三竿の脇のスペース)。人を配置すれば相手にズレができるという典型的な場面だったが、ズレている展開なだけに、寄せの速さを超えて攻撃のスイッチを無理やり入れに行く展開を作ろうとしてミスになった。鹿島も陣形自体が左に寄っている展開だっただけに、やり直していればあの高さで相手ボールになることはなかったと感じる。こういう展開から分かるのは、自分たちから設計している保持の展開なのに、相手の守備がズレるタイミングをコントロールできないこと。ずっと相手の守備の出方によって「ズレそう…!」という反射神経を問われている状態になっていた。

逆に、自分たちからズレるまで待ってから攻撃した展開で言えば13分21秒からのところ。10分過ぎから吉田もレオセアラも1センターのところを気にせずに守備に出ていく時間になる。この展開で、ピサノを含めた最終ラインで2トップのプレスを左右に振りながら、1センターのところを曖昧にさせる。このタイミングで鈴木のところに和泉が降りてきたことで、ブエノも鈴木も和泉が気になった。鈴木が気にして見ていた原のマークが外れ、ブエノもIHに降りてきた和泉に寄せる。結果的にSBのところで2対1を作ることができた。20分以降も、右サイドはWBとIH、CBのローテーションで2ボランチを引き出し、中央を空ける動きを続けるところは非常にGOOD👍

サイドの2対1と中央のスペースを空ける、その両方に効いていた(内田、和泉、原のローテーション)。

4-1-5を作って、相手のプレスやブロックの噛み合わせでズレるタイミングを相手主導で待つ。それよりも、前述したように1センターがサイドに出張して中央を空ける、あるいは大外で数的優位を作るために鈴木とブエノを引っ張るように降りてくる。こうした、立ち位置でズレるのを待つ展開より相手を動かす展開の優位性が、よく分かる前半の20分間だった。

失点してからマンツーマンで挑むことになるが、それも前半で感じた「相手を動かす目的」につながってくることになる。

🤖AIくんの要約

・中央(CMF・IH)の動的な動きによる空間創出

相手1枚で消されやすい1センターに対し、サイドバックからパスを引き出すような動的変化を加えるアプローチが見られた。これにより相手マークを引き連れ、吉田の守備の出入りとも重なって、鹿島の「2トップと2ボランチの間」に広大なスペースが生まれていた。

・位置取りの工夫による「2対1」の創出と総括

最終ラインでプレスをいなしつつ1センターへの警戒を曖昧にし、中盤に降りてくる動き(和泉)で相手DFの意識を釘付けにしたことで、サイドバックの局面で意図的な2対1の数的優位を作り出せていたように見受けられる。陣形を整えて崩れを待つ受動的な展開よりも、「自らの立ち位置で相手を動かす」設計のほうが有効だった時間帯で、失点後のマンツーマンへの移行もこのアプローチの延長線上にあるのではないだろうか。

守備構造の成立と失点シーンに潜む意識のズレ

試合開始直後から、4-4-2の鹿島は保持でSBが低い位置を取る局面が多かった。それに対して名古屋は、山岸と木村を2CBに噛み合わせ、内田を下げて高嶺と2センターに。稲垣がアンカーとCBを行き来しつつ、中山と和泉が2センターの脇に立つ。5-3-2と4-4-2の中間のような形を取る。ビルドアップのスタートでSBが低い鹿島に対して、SBを捨てながらボールを持たせ、SBが出てくるなら中山、和泉で迎撃する形。これは名古屋も4バックにしたときにやられて嫌な構え方。

ブエノ、鈴木、マテウスがサイドにダイアゴナルに流れることもあって、鹿島的にはSBまで押し上げるよりも、SBが低いことで相手を釣り出す起点にしたいようにも感じる(10分3秒から)。

SBが上がってこないことで、名古屋は吉田や鈴木が積極的に中盤で受けようとする展開を、中山、和泉が絞ることでケアしてきた。

しかし、失点シーンを見ると鹿島の両SBが高い位置を取っている。この時点で中山と和泉が大外に押し込まれる。ブエノが降りて内田を引き出し、高嶺を1枚にする。内田視点ではブエノが降りているから前残りしているわけだが、ブエノが降りた代わりに両SBが上がっており、1枚降りる代わりに2枚上げた状況。マンツーマンっぽく見えるのでカバーに入らなくてもよいように見えるが、名古屋の試合開始からの守り方を考えてみると、マンツーマンで守っているわけではなく、立ち位置によってハーフスペースを塞ぐ形を選択している。

これまではハーフスペースへの差し込みを絞って消すことがチームの守備としての第一選択だった。そこからブエノが降りただけで、なんとなくマンツーマンに切り替えた選手が出たことが始まりだった。マテウスが持ったタイミングで、高嶺は「内田が絞っているはず」、内田は「高嶺が行くはず」になってしまった。

どれだけハーフスペースを絞っていても、本来ボールを取る「取り所」は最終ライン+稲垣であり、「CBが出ていくカバーに稲垣が入る」が原則の取り所になっていた。それをサポートする形で2列目以降がハーフスペースを消していたわけで、この試合ではマンツーマンディフェンスの設計ではなかった以上、SBに押し込まれたときに取り所をサポートするため「埋めていた場所は可能な限り埋めたかった」というのが本音。

野上が出たタイミングで稲垣も吉田に出ていった。その瞬間、取り所のサポートとして稲垣が空けた場所を埋める選手が前残りしていたのが切なかった。

🤖AIくんの要約

・序盤の成功:鹿島の「低いSB」をあえて捨てたハーフスペース消し

低いSBで誘い出そうとする鹿島に対し、名古屋はSBが前に出てきたタイミングで中山、和泉が迎撃する対応を選択。相手の釣り出しを無力化し、ハーフスペースへの差し込みも効果的に防げていた印象を受ける。

・失点のきっかけ:鹿島の「両SB押し上げ」

鹿島が両SBを押し上げて迎撃役を大外へ貼り付けにし、ブエノが降りてインサイドを引き出すなど「1枚下げて2枚上げる」揺さぶりをかけてきた。ここで名古屋の守備に歪みが生じている。

・課題:「ボールの取り所」の考え方

本来は最終ラインと稲垣で奪うために周りがスペースを埋める設計だったが、押し込まれたことで「ゾーンで埋める意識」と「マンツーマン意識」が混在。奪いどころのサポートが機能せず、危険エリアを空けてしまった形と言えそうだ。

配置のズレから動きのズレへ。噛み合いの中で生まれた保持の葛藤

ゾーンとマークという戦術的な設定の曖昧な部分から失点したこともあってか、名古屋側が明確に4-4-2へ変更する。内田がボランチからIHへと縦幅を取ることで4-1-5の形自体は継続しているものの、配置のズレを狙うというよりは、噛み合わせをあえて同じにしたことで、単純に各選手がボールを持ったときに「動かすべき選手は誰か」がはっきりした。

このあたりから攻撃の局面で何気ないパスのエラーも目立ってくるわけだが、4-1-5と4-4-2で立ち方の意味が違うことが響いてくる。名古屋の中盤より前の選手のベースの立ち方は、基本的に守備対面を避ける立ち方。要するに、守備者が対応すれば次の選手がズレてくる立ち方であり、立ち方自体に相手をずらす素養がある。一方で4-4-2で完全な噛み合いを選んだ以上、立っている状況ではずっと噛み合い続ける。そうなると、各選手が噛み合いから外れるためにアクションが必要になる。単純に、出し手と受け手の2つのアクションがない状況でのパスは、鹿島側に詰められたりエラーになったりしていた。それこそ、普段は剥がす、運ぶができる藤井でも、51分7秒からのようにボールを持ってからレオセアラに対してアクションを入れず、マテウスの降り受けに反応してカットされている。こういう場面でも、レオセアラを剥がす、越えて運ぶというアクションと、受けるアクションがセットになると展開がよくなる。和泉、原、中山は後半に入って、噛み合いから逃げる受け方、運び方が目立っていた。

4-1-5で前線が配置上ポジションの間にいる状況で、出し手が守備を剥がしてパスを出す。これは結局、完全な噛み合いにおける出し手と受け手の2アクション分を、立ち位置のズレと出し手の1アクションで2つ分のズレとして出しましょう、という話で、今回の4-4-2の噛み合いになったときに、出し手と受け手が対面の選手を「動かす」ことと本質は変わらない。

4-4-2から4-1-5っぽく各選手が動くことで、選手たちは受け手側のアクションが自然と多くなった印象だ。

ここまで攻撃面での話をしてきたが、結局、噛み合わせを相手に合わせたほうが守備と攻撃の局面のつながりは圧倒的にシームレスだった。4-1-5で1センター、相手のSBの外にWBを立たせるために守り方も攻撃の形のまま、という状態よりも、マンツーマンで守備をして、持って保持局面で時間を作る、という落ち着きが圧倒的に出ていた印象を受けた。

🤖AIくんの要約

・4-4-2への変更による役割の明確化と守備の落ち着き 守備の曖昧さから失点した反省もあり、明確に4-4-2へ噛み合わせを揃える修正が行われた印象。これによりボール保持時に「誰がどの相手を動かすべきか」がハッキリし、守備と攻撃のつながりにおけるチーム全体の落ち着きが出た。

・「立ち位置のズレ」から「出し手と受け手の2アクション」への変化

立ち位置だけでズレを作れる4-1-5とは異なり、完全に噛み合った4-4-2では静止しているとマークがついたままとなる。藤井のミスシーンに象徴されるように、対面を破るには「出し手が剥がす・運ぶ動き(1)」と「受け手が外す動き(1)」という両者の連動したアクションが不可欠になったと言えそうだ。

・噛み合いからの可変が生んだ変化

4-4-2でハッキリ噛み合っている状態から自然と4-1-5へと移行していくことで、受け手側のアクションが自然と増える展開を作れた。あえて噛み合わせを作ることで「相手を動かす意味」や「攻守の整理」を実戦で得られたのは、チームにとって大きな収穫だったのではないだろうか。

さいごに

この敗戦が実り多き試行錯誤になっていることを期待して。

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