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グランパス・ワンダーランドの素晴らしさ

2017年5月3日、京都サンガ戦にて、「グランパス・ワンダーランド」が開催されます。http://nagoya-grampus.jp/news/game/2017/040853fc-10000.php

小中学生が先着1万名無料招待という、本来であればゴールデンウィークのかき入れ時に太っ腹の企画になっています。この企画の狙いはどんなものなんでしょうか。

無料招待のメリット

1)本来であれば来ない顧客を引き込める

個人客は比較的可処分所得に余裕があります。チケット代がカテゴリー4で約3100円、交通費が1500円、現地での飲食費用が2000円とするとだいたい6600円くらいです。(そのうち5100円がその日の売上となり、クラブにも半額弱程度(2000円強)がクラブの粗利になります。)

ところが男女カップル+子供2名となると、チケット代がカテゴリー4で4枚で8600円、交通費が4600円、現地での飲食費用が8000円、となると21600円が必要になります。

21600円の遊興費は、決して安いものではありません。普通にどこかに買い物に出て、食事をして帰ってきてもそこまで掛からない可能性も高いです。

サッカーを見に行きたいけど、費用面でこれないという家庭も少なくないのではないでしょうか。

しかし、子供分が無料ということになれば総費用は2万円を切ります。お財布を開けさせるには、お得感がなければなりません。たかだか2400円分の差かもしれませんが、お買い得となれば、普段来ない層を掘り起こせる可能性があります。

2)サッカーの楽しさ、応援の楽しさを知らせるきっかけになる

一見さんが、常連さんになるには楽しさを知ってもらうしかありません。でもそのためには一度でいいから実際に見に来ないと楽しさを知ることはありません。でも通常だと楽しいと思わないと1)で言ったような費用を家族で払って見に行こうなんて思いません。

ここに矛盾があります。見に行かないと楽しさがわからないのに、楽しそうじゃないと見に行こうと思わないわけです。

このハードルがもっとも高いと言えるでしょう。まさに缶切りは缶の中状態です。

無料招待によって、遊興の対象にサッカーを選んで貰ったときに、良いサッカーを魅せて、何よりも勝利の美酒を味わって貰うことができれば、やみつきになる可能性があります。人間楽しいことにならお金を払っても良いものです。特に発言権の大きい子供本人や、アテンドする奥様に素敵なエクスペリエンスを積んで貰うことができたら、リピーターに一歩引き込むことに成功と言えるでしょう。

3)将来の顧客層になり得る若年層にリーチできる

マーケティング戦略の基本は、それぞれの顧客の分類ごとに、適切な打ち手を取ることです。

サッカーはそもそも若年層にとってはハードルの低い娯楽です。産まれた頃からサッカー日本代表チームが活躍しており、目が肥えています。「やっぱりバルセロナだよ、J2なんて・・・」なんて言葉を若年層から聞くことも少なくありません。

そういう顧客層に、いまのグランパスのサッカーの良さを伝えるきっかけになる可能性があります。

無料招待のデメリット

1)招待が常態化すると、お金を払うのが馬鹿らしくなる

これまで無料でもらえた飲み物が、明日から130円払ってください、と言われたら抵抗感が出ますよね。サッカーのチケットでも同様です。いつでもタダで貰えると思ったら、また次にタダで貰えるのを待ちます。

ですから、そんなにしょっちゅう貰えないということ、招待が特別であるということを明らかにする必要があります。そうじゃないと喜んで貰えません。

2)招待の分の収入が減る

無料招待をのべつ幕なしに配布すると、収入が減ります。単なる無料券の配布なら、先ほどの収入試算で、チケット代の8600円がゼロになってしまう可能性があります。乱発すると、深刻な収入源に繋がります。

グランパス・ワンダーランドの素晴らしさ

1)限定で、かつ「お祭り」とセットで、家族客にリーチし易い

限定を打ち出しているので、デメリットのうち1)招待が常態化を防ぐことができています。さらにメインターゲットであろう家族客に対しては、サッカー以外にも娯楽があることをアピールすることで、観戦に引き込むきっかけ・理由付けになります。

2)無料招待と打ち出していても、実は収入減は少ない

無料招待といっても本来カテゴリー4であれば1人1200円の小中学生分だけです。なので、子供が1人で来る可能性は少ないため、必ず保護者がついてくる可能性が高いです。

8600円のセットが1000組しかこなければ、売上は860万円です。しかし、家族4人のうち子供分を無料招待することで倍の2000組集客できれば6200円×2000=1240万円の売上になります。1万人の招待ができて、大人が1万人ついてきたら、カテ4換算で3100万円の売上が期待できます。

実際には飲食費用なども比例してあがるためにもっと差は大きくなります。

ここまで紹介してきたように、グランパス・ワンダーランドはよく考え抜かれたイベントです。

あとは良い観戦エクスペリエンスを積むことができるように、チームが勝利できれば大きな効果を生むことでしょう。なかなか満員の豊田スタジアムで勝利できていないのだけが気がかりですが・・・

 

 

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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