天気や気温が気になって。「寒い、暑い」と言いながらダラダラと続く坂を上り、スタジアムを見守る川を渡る。そんなシーズンが始まった。
今シーズンもよろしくお願いします。
両チームスタメン
札幌の形
札幌はボールを持つと福森、ルーカスを上げて宮澤を最終ラインに落として中央に駒井とチャナティップの形をとる。
こうなると中央二枚(チャナティップと駒井)に米本と稲垣が食いつけば、アンデルソンロペスが降りてきて、ルーカスと小柏が前を向ける形が取れる。
しかし、飲水タイムまではそれが上手くハマらなかった。チャナティップが最終ラインのビルドアップのフォローに降りなかった事と稲垣がチャナティップを見張り続けたことが札幌が噛み合わなかった原因だ。
補足:
現地では前半の早い段階で、札幌の他の選手からチャナティップにそのポジション取りについて「降りて来い」という要求が再三聞こえた。
チャナティップとしてはルーカスと小柏、アンデルソンで相手のセンターバックに対しては数的優位が取れている状況なので、そこに当てて落としたところのボールが欲しいよ。という意図だったようにも見える。
駒井、小柏、チャナティップが稲垣と米本の周りを取り囲む形で顔を出し始めセンターバックとの間にスペースを作り始めた。
給水タイムを挟み、札幌はすぐに修正。小柏、チャナティップが名古屋の2センターの背後からあからさまに降りてくる。そうすることで米本、稲垣を食いつかせてアンデルソンロペスの足元にスペースを作る。
駒井、小柏、チャナティップが稲垣と米本の周りを取り囲む形で顔を出し始めセンターバックとの間にスペースを作り始めた。
札幌の中央3枚が稲垣と米本を釣り出すことに時間を割く一方で、名古屋の前線は札幌の最終ラインに速く強くあたりに行った。 昨シーズンの札幌との対戦時にレビューに記載したが、札幌は高い位置から奪う意識が高いのに反して、自分たちが同じ事をされるとパスをつなぎながら前進するという部分が安定しない傾向にある。
このあたりが昨シーズンからの修正があまり見られなかった為、名古屋は点は入らないけど脅威に感じなかったかもしれない。 札幌のサイドとの2対2を守りきったサイドバックとサイドハーフの存在も大きかった。
名古屋の守備ライン
後半ラスト15分はガス欠で厳しくなったが、70分近く、最終ラインをダラダラ下げずにコンパクトなまま前への圧力を維持したのは素晴らしかった。
「自信」か「変化」か。
センターが前へプレス連動した時にできる「空いたスペース」をボールの取り所にできれば。とシーズンプレビューにも書いた覚えがあるが、今回の試合に関してはセンターバックの二人はうまくそこを実現できていたと思う。
得点シーン
得点シーンはサイドでの崩しからの得点だった。選手へのピッチへの影響力を上手く利用した。
成瀬は相手に攻撃を遅らされると外から回る事より内側で受けるか1つ後ろで待つ形を取る印象が強い。
その理由としては
- ユニットとして組むサイドの選手のプレーのファーストチョイスが「内に切り込むこと」である
- 選択肢を多くとれる場所でボールをもらう事で強みが発揮される
1.に関してはユニットを組む選手がカットインした後のスペースを使う。カットインを試みて無理だった場合のボールの逃げ道になる為のポジショニングを成瀬は意識してるように見える。
2.に関してはライン際に張るサイドバックより内側に立つことで要求されるタスクや質のハードルは上がるもの、配球の選択肢、プレーの選択肢が単純に増える事になる。
この試合でも前田が外のレーンを走り、成瀬が一枚内側のポジションで併走して速攻をしようと試みるシーンがあったり、稲垣の前まで侵入してビルドに参加するなんて事も見受けられた。
一方で宮原は、名古屋加入直後から献身的に外側をオーバーラップし続け攻撃参加する姿が印象的だ。
上手い言い方があるとすれば宮原は「深さを使うのが上手い」成瀬は「幅を使うのが上手い」と言った所だろうか。
札幌としては「速い攻撃でも右から来るときはボールを大外に押し出せば名古屋の攻撃は遅らせられる。」と考えていたところに、縦に並んだ宮原が急に深さで勝負してきた形となった。足が止まった所に想定と違う方向での力のかけられ方。宮原の深さの使い方がチームを助けた。
しかし、「深さ」を活かせたのは交代まで「幅」を使って札幌に意識付けした成瀬の功績も大きい。
フィッカデンティ監督が戦術として成瀬→宮原の交代を考えているのならチームは大進化なのだが…そこは本人にしか分からない。
しかし、得点シーンで自分が3人目として、前田の仕掛けと同じ速度で逆側に入った柿谷の嗅覚。前田の仕掛けまでは相馬を囮に完全に気配が消えていた。あの存在感を消す上手さが「天才」と呼ばれる所以なんだと感じた。
良かった所
- 前線の濃いユニットが崩しの部分での意識共有をある程度できてる所
- 潰れ続けてくれる山崎
- 稲垣と米本がプレスの連動するにあたり前後関係を構築できたこと
心配な所
- 山崎がいなくなっても放たれる最終ラインからのロングボール。
- ビルドアップの脱出先もあるのに楔がつけられない現象
「試合見返しポイント!」
- 山崎のダブルタッチからのシュートシーン。
- 成瀬と宮原のタイプの違い。
- 木本のスペースの消し方のうまさ(楔が入りそうで入らないポジショニング)
- 山崎と組む選手の位置関係性(柿谷とシャビエルでどう違うのか?)
さいごに
2試合しか試合をしてないですが、「変化」や「進化」の片鱗が見えた形かなと。現地で応援パワーを送る為にも、早めに「チャレンジには溜息じゃなく拍手」を身につけようと思いました。今度は選手に煽られる前に最高の雰囲気を作ってあげたいと思いました。