はじめに
ガブリエル・シャビエルは「コンウェン」の恩人である。
と言っても、なにも降りしきる雨の中ダンボール箱に捨てられ震える「コンウェン」を拾ってくれた訳ではないし、
時速50マイルを下回ると爆発するバスから救ってもらった訳でもない。
でも、彼がいなければ「コンウェン」はこの世にいないのだ。
17年7月
昨年2016年シーズン、名古屋グランパスはどうにもうまく噛み合わず、クラブ初のJ2降格という憂目を見ていた。風間八宏監督を迎え、ボール保持を信条とするサッカーで巻き返しを図る。しかし、要求される技術レベルの高さや、超攻撃的な反面として守備の脆さが顕出し、勝ちきれない試合が続いていた。
「彼」は、グランパスファンではあった。全試合とは言わないがスタジアムには行くし、降格の際にはかなり凹んだりもした。ただ、それほど積極的に情報を取りに行く程でもない、SNSなどもやっておらず情報源は主にネットニュース、それぐらいのファンだった。「彼」は、風間監督を迎えたクラブに面白さは感じていたものの、どうにも一年でJ1に戻るのも簡単じゃないぞと思い始めていた。
魔術師、来日
そんな中、名古屋グランパスに新外国人が来るとの情報が入ってきた。名はガブリエル・シャビエル。24歳とまだ若いブラジル人だそうだ。170cmと小柄だが、テクニシャンなレフティで、キック精度も高いらしい。誰が呼んだか「魔術師」、名古屋の志向するサッカーに会うのかもしれない。
シャビエルは来日早々にやってのけた。選手使いの荒さに定評のある、もとい選手を信頼し、使える選手は躊躇なく使う風間監督により、来日よりわずか数日後にスタメンに名を連ね、同点ゴールを、しかも逆足で叩き込んだ。その後試合には負けたものの鮮烈な印象をサポーターに残したのだった。
「彼」は興奮した。凄い選手が来てくれたのかもしれない。まだ見ぬグランパスの目指すサッカーを体現し、チームを高みへと導いてくれる選手が。
「コンウェン」誕生
もっと、彼のことを知りたい。そんなとき「彼」はTwitterに出会った。これまでSNSには興味もなかったが、グランパスの、シャビエルの情報を得るのにいいツールなのでは無いか。
「まぁ見るのに便利そうだしアカウント作っとくか…アカウント名は、見る専門用だし、適当で…好きな漫画のキャラから取って@konwenga、名前は一息で読めたほうが良いか…『コンウェン』で…」
シャビエル無双
そのシーズンシャビエルは当初の印象に違わぬ大車輪の活躍を見せる。フットサル仕込の細かいタッチ、小柄ながらも身体とボールの位置の妙でボールをキープ。持ち前のキック精度で雨のロスタイム、追いつかれ、突き放しきれないチームを救う「魔法」のフリーキック。
そして、ブラジル時間で呟いてんのかと思わせる唐突に深夜に呟く公式Twitter…。
途中加入ながら終わってみればアシストはチーム最多の14。チームは自動昇格は逃すものの昇格プレーオフを勝ち進み、見事1年でのJ1復帰を決めたのだった。
「コンウェン」は思った。シャビエル一人で成したとは思わない。が、シャビエルが居なければ名古屋に厳しい結果が、未来が待っていたのでは、と。ありがとう、シャビエル。
こうして「コンウェン」は、シャビエルのおかげで生まれた。彼が居なければ生まれなかった。
その後、コンウェンはツイッターにどはまりし、日々よくわからないネタを投下しながらフォロワーさん達と楽しいグラファミライフを過ごすのだが、それはまた別のお話…
おしまい
最後に
シャビエルは本当にいい選手でした。本文にも書いたボールタッチとキープが私は本当に好きでした。チーム戦術の変遷や、スピード感のあるプレースタイルに起因する怪我に苦しむことも有りましたが、総じて、J1でも変わらずチームの攻撃の要として戦いぬいてくれたシャビエル。タイキャンプで虎の檻に入らないのか問われ「ここから見るのが良いんだよ」と謎の言い訳をしていたシャビエル。笑顔のかわいいシャビエル。貴方は紛れもなく名古屋グランパスを救ってくれたヒーローです。
Obrigado mago. Até mais.