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受け継がれる魂・受け継がれた背番号7というバトン #和泉竜司 #grampus

今回もお題箱からです。以下のようなお題をいただきました。

本題に入ります。今、和泉選手が海外に行くため、代表に選ばれるためにより必要な要素、欠けている要素は何だと思われますか?本人のスキルもですがその他まわりの環境やタイミング、人的関係等についても思うことあれば教えていただきたいです、そして教えていただいたことを脳内でリュ…和泉選手に教えてあげたいです!海外と代表とでは話がまた別やろがい、めんどいな…とお思いのところ大変お手数ですがよろしくお願いいたします。

わかります。キモチはわかりますとも。いやさすがにいろんな理由は和泉竜司選手本人が一番判ってると思うので、脳内だけにしておいてください。

和泉竜司には正直すまなかったと思う

和泉竜司(横浜FC戦)
和泉竜司(横浜FC戦)

和泉竜司選手は、1993年生まれ。今年11月で30歳になります。

そのキャリアのなかで、グランパスには5年目の在籍になります。2019年オフに鹿島アントラーズに移籍したときには悲しみと怒りが混在するタイムラインになっていたのは覚えています。でも、16年から19年のグランパスの成績を見ていたら、出ていきたくなってもしかたないよね、と思います。

リーグと順位個人成績
2016年J1 16位17試合1ゴール2アシスト
2017年J2 3位41試合1ゴール7アシスト
2018年J1 15位37試合2ゴール1アシスト
2019年J1 13位36試合6ゴール2アシスト
2020年(鹿島)30試合3ゴール2アシスト
2021年(鹿島)29試合2ゴール2アシスト
2022年(鹿島)40試合2ゴール2アシスト
2023年(21節終了時点)J1 3位17試合3ゴール1アシスト

加入時に「グランパスの伝説になる」と語ったのに、4年で出ていってしまったことを揶揄する人もいましたが、悲しみはしたものの、責める気持ちは(私の場合は)ありませんでした。田口泰士と和泉竜司が残ってくれたからこそ、2017年のJ2は生き延びられたように思っていましたから。2人が去り、玉田圭司もいなくなったあとは、誰を応援しようか、と迷う部分がありました。

和泉竜司という選手

和泉竜司(柏レイソル戦)
和泉竜司(柏レイソル戦)

和泉竜司の長所を語れ、といわれたら、データから見てみるととても難しい選手です。

和泉竜司のプレイングスタイル指標(Football LAB)
和泉竜司のプレイングスタイル指標(Football LAB)

見て貰うと、2桁に至っているのは決定力だけ。それも10。ギリギリです。

同じポジションで、今年の夏海外に挑戦した金子拓郎(北海道コンサドーレ札幌)のデータを見てみましょう。

金子拓郎のプレイングスタイル指標(Football LAB)
金子拓郎のプレイングスタイル指標(Football LAB)

データでは金子拓郎に完敗と言えます。守備やボール奪取、カバーエリアでは上回るものの、多くの項目で金子拓郎のほうが高い数値をたたき出しています。

データ上、和泉竜司は平凡な選手です。

ゴールの数もそう多いわけではなく、アシストもそうでもない。記録には残っていません。

それなのに何故、プロ入り後一貫して、怪我やコンディションに問題があるとき以外で試合に出続けられるのでしょうか。

和泉竜司は記録やデータよりも記憶に残る選手

今年、話題を呼んだのが、この川崎フロンターレ戦でのゴール。ゴールそのものよりも、その前の剥がすプレーです。引っぱられてバランスを崩しながら倒れずに、そのままドリブルを続けてゴール前に切り込むプレーは、心に響くものがあった人も多いのではないでしょうか。

とにかく和泉竜司はうまい。

このご時世なので、合法じゃない動画は一杯あるのですが合法な動画は少なく・・・

これはワッキーさんも震えた絶妙なヒールパス。

ただ和泉竜司の真骨頂は、僕が「いずみんターン」と呼んでいる、大きくて深い切り返しでクルっと相手を剥がすプレーです。開幕戦でも何度も見せて、相手を剥がしまくっていました。

和泉竜司(横浜FC戦)
ドリブルで運ぶ和泉竜司(横浜FC戦)

これまでの名古屋グランパスでは相馬勇紀選手が左WBを務めている際に、自分で縦に抜くか、横に抜くかの2択で、相手に縦を切られて苦しむ、というシーンを良く見てきました。しかし和泉竜司は自分の力で相手を剥がし、ボールを持ち上がることができます。

和泉竜司(柏レイソル戦)
突破をしかける和泉竜司(柏レイソル戦)

今年の名古屋の変化の一つは、この和泉竜司がサイドで剥がしてボールを持ち上がることができること、ではないでしょうか。

和泉竜司(柏レイソル戦)
シュートモーションに入る和泉竜司(柏レイソル戦)

また、和泉竜司はゴール前によく顔を出してくれます。

復帰後初ゴールは、ここに走り込んでいることが今までの名古屋のWBではあまり見られなかった姿です。

森下龍矢もゴール前に顔を出すようになり、名古屋グランパスの攻撃は今年、分厚く改善されたと思います。

和泉竜司は今から代表になれる?海外に行ける?

和泉竜司は今年30歳。

「僕は目標を立てない」と言い切ります。こうなりたいというようなことは、あまり言わない選手です。

2018年のアンケート
2018年のアンケート

かつて、「すぐにドイツへ」という言葉も発して、一部のサポーターの間で物議を醸したことがありました。

キャラクター的なところから考えると、乗せられて言わされた感がある言葉なのではないでしょうか。

大学時代のインタビューでも、まずは名古屋で試合に出ることを挙げていて、地に足がついた選手です。

海外への夢はなくはないでしょう。

ただ、条件のいい移籍は難しいのが30歳という年齢です。

また代表についても、これだけの実績を残している稲垣祥がお試し招集しかされていないことを考えると、日本代表の主力に、というところも難しいのでは、と思います。

ただ、ここから桁違いの働きを見せれば、それは変わるかも知れません。もしそんな働きを見せてくれたら、名古屋グランパスの逆転優勝も夢ではないでしょう。

タイトルを獲る、その夢を果たすために戻ってきてくれました。優勝ができたらきっと、なんの心残りもなく挑戦ができるかもしれません。

和泉竜司(柏レイソル戦)
ボールをキープする和泉竜司(柏レイソル戦)

和泉竜司はうまいから愛される?多分違う

中間発表ではありますが、今年のユニフォームの売れ行きで2位。待望のストライカー、キャスパー・ユンカーに次いでの2位です。

一度は移籍してしまった選手に対してここまでの評価をされることは多くありません。

名古屋グランパスの歴史で、うまい選手はたくさん居ました。でも多くのサポーター・ファミリーに愛された選手は限られていると思います。

和泉竜司は愛されています。

一度はチームを離れた選手なのに。

それは何故でしょうか。

もちろんプレーに魅力があることは愛される前提条件でしょう。

和泉竜司は一度は「グランパスの伝説になりたい」と覚悟を示してくれました。

そして戻ってきてくれた今。多くは語らないものの、強い覚悟があってのことだろうと容易に想像がつきます。

同じく復帰した永井謙佑も、2016年末に去ったときとは大きな変化を見せてくれました。

この記事のなかで、小川佳純がこう語っています。

「ただね、新潟戦については、僕は直志さんになったつもりでやってましたよ。僕はずっと直志さんがボールを奪う姿を見てきましたからね。あのボールを狩る姿をイメージして、バチッて当たれば取れると思ってやっていました。監督も言っていたけど、僕は守る選手ではないです。でもボランチならやらなければいけない。だから直志さんをイメージしてやったんです」

受け継がれていたのは市船の伝統だけではなく、名古屋の偉大な先輩の精神もだった。今季で9年目を迎える小川は、同じ大卒で14年間を戦い続けた高校の先輩を深く尊敬している。「僕も直志さんの姿を見てきて、大卒で入って、同じように名古屋でずっとやりたいと思っているんです」という思いも、彼の心には秘められている。

高校が同じで大卒でプロ入りしたことも同じだった2人のキャリアは今、攻撃の選手から守備を担うようになったというところまで似かよってきた。よくよく振り返れば柏戦での小川のプレーは中村直志にそっくりだ。ディフェンスで体を張り、危険な局面に急行する。そう思って観ていると、彼らの絆にちょっとジーンときてしまう。ちなみに「でも、次に受け継ぐ市船の後輩がいないね?」と言うと、「そうすね、じゃあ和泉には来てもらわないといけないっすね」と笑った。この日練習参加していた明治大の和泉竜司は市船出身で、高校と大学ともに小川の直系の後輩であった。

https://www3.targma.jp/akasyachi/2015/06/22/post2402/

そして、今年2023年、和泉竜司は中村直志の背番号7を受け継いでいます。

かつて中村直志・田口泰士の後、移籍してきたジョー・阿部浩之が付けていた時代もありましたが、背番号7は名古屋グランパスの看板選手が付けるべきエースナンバーです。

Q:あとは背番号、7番ですね。

「そうですね(笑)。自分にとって大切な、特別な選手がつけていた番号です。それが空いていたので、付けさせてほしいと言いました。それをもらえたからには、番号に恥じないように頑張りたいと思います」

https://www3.targma.jp/akasyachi/2023/01/10/post91536/

和泉竜司はあまり多くは語りません。その選手が示した新たな覚悟だからこそ、多くのサポーターの胸に響いたはずです。

そして背番号7というバトンは、渡された。

和泉竜司(柏レイソル戦)
ドリブルで運ぶ和泉竜司(柏レイソル戦)

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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