満員御礼、新瑞穂の杮落し。
会場の雰囲気の後押しもあり勝ちをもぎ取ったものの、前半から厳しい試合展開に。
前半の福岡の狙いと後半の名古屋の修正ポイントを中心に振り返る
試合情報
- 2026年4月19日
- 名古屋 – 福岡:2-2 (PK 5-4)
- 天候/気温/湿度:曇り/21.5℃/51%
- 主審:中村 太
結局なんで前半は苦労したのか?
神戸戦では、相手の守備の噛み合わせのズレに加え、ボールサイドでの縦渋滞からズレを継続させ、ビルドアップの抜け出すポイントを1.5列目に定める展開がうまく刺さった試合となった。前半からうまく回った神戸戦と違い、福岡戦は前半がうまく回らなかったが、明確な違いはどこにあったのかを考えていく。
前半を通して目立ったのは、WBの部分での手詰まり感だ。2失点目のきっかけとなった高嶺のエラーを筆頭に、外からボールを回すところで苦労した。
福岡の構え方は5-3-2スタート。4-1-5の名古屋に対し、2CBには重見を降ろして碓井と北島で当たりに行く。名古屋的にはSBの部分がオープンになる形ではあった。もちろん、そこからアプローチする展開だ。
ただ、福岡はSBを空ける展開は織り込み済みのように見えた。中盤3枚(特に奥野と重見)がセンターから斜め方向に、SB(原、高嶺)に対して出足を掛けてくる。外側から角度を付けてパスを出す部分で、内側にしか角度が付けられないポジションであるため、斜めに当たりに来ると同サイドの縦向きか、やり直しの選択に限定されていく。
名古屋が大事にしているのは、ボールを預ける前からズレていることだ。ズレるタイミングを限りなく遅らせるには、”放置”を作ってからアプローチすると先ズレが起きづらい。
福岡が放置したポイントが”脅威になる形”とは何か。その部分を探したい名古屋。一番分かりやすいのは、放置したポイントはいずれ守備者が当たりに来るポイントなので、そこに人数を掛けることだ。そうすれば、守備者が遅れて当たるタイミングで2枚入ることになるので、守備側としては噛み合わせるか撤退か、の2択になってくる。
要するに、最終ラインのボールホルダーがキャリーしてからビルドアップしましょうね!の部分に、もっと輪郭を付ける方向性を取りたかったのが名古屋の理想だ。
👍ポイント
4分3秒からの藤井のキャリーの部分を見ると分かりやすい。
福岡の撤退の判断と、原のフリーの状況。
ここでは藤井がキャリーで抜けなかったので、原のところと北島が近くなったこともあって外選択はなかったが、これの繰り返しをどれだけやれるか、の話だ。
SBがキャリーする形でも問題ないけれども、結局、遅らせて出てくる中盤の両脇がキャリー待ちしているのが前半の特徴。前進を明らかに誘っていた。2失点目などは特に分かりやすい。列を越えてから出ていないパスは、結局、出す場所など制限されている状況。外側に制限しにきている奥野を剥がし切るか、ビルドアップキャンセルをしたかった。キャリーした後に相手の2ボランチが動いていない状況も、後ろから運びづらいだろうな、とは感じて見ていた。
選手の性質の違いとプランニングの関係性
福岡の中盤の立ち振る舞いが「大外に向けて!」となると、やり直したら中央が空くよね?が分かりやすい判断だ。この試合でもSBに預けてから中央の藤井ー森島ー稲垣に預け、縦パスに覗いている選手を探すシーンも多かった。しかし、稲垣を落として森島が中盤1枚から、後ろのキャリーなしで福岡の2ボランチの壁を捌くのは、さすがにきつかった。稲垣を下げずに3バックで〜という展開も探ったが、結局のところは、森島ー稲垣が福岡の2ボランチを挟むような縦関係を作ってSBから無理やり角度を付けてもらうチャレンジがあるわけでもなく、森島ー稲垣がボールを晒して2ボランチと力比べ!もできなかった。
中盤の締めた壁を緩めるには、対面した選手に対してアプローチしないとやられる、という状況を作るしかなかった。森島も稲垣も、後ろの選手がズレを生んだところからボールを晒す時間に充てるような特徴である以上、今回の前半のように後ろがキャリーしてズレを出す!がうまくいかない状況においては、配球力の部分で違いを出しづらかった。ただ、それは森島ー稲垣の地力の是非の問題ではなく、特徴と構造の噛み合わせでしかないことは強く強調しておきたい。
守備原則の基準を挫く
前半の難しいポイントにクリティカルな修正を入れてきたのが、後半の選手交代だ。同列に渋滞する森島ー稲垣の横ラインを解除。ボールを晒して相手を引き付けることができる菊地を入れることで、後ろの選手のキャリーがなくても森島のところに時間を与えられるように。稲垣ー森島がサイドのフォローに入って捌けたタイミングでも、菊地であれば中央のレシーバーとしても作用する。同様に、高嶺もボールを晒すことを得意としないので、菊地に相手のヘイトを買ってもらい、時間を作る展開へと動かしてゆく。保持は4バックから3バックへ変更し、中盤の3枚を2枚に減らす。
編注:用語解説:ボールを晒す:ボールホルダーが相手守備者に対して「敢えて見える位置・奪いに来られる距離」にボールを置き続ける行為。
相手守備者のヘイト(=意識・プレス)を自分に集める。相手が「今なら奪える」と判断してアプローチに来た瞬間、周囲の味方へのマークが一瞬緩む。これが味方のフリー化を生む。
森島は選手間のスキマに入り込んでプレーをする特徴があるが、そのスキマを作れないと活きない。菊地はヘイトを取って剥がすことで味方を活かすスキマを作れる。(ただ1回後ろからのヘイトをいなすことに失敗したことでピンチを招いたが)
3バックに戻すことで、2FWに対して常にポジション間に藤井がいるので、サイドへのズレから戻した時に、圧倒的に次のレシーバーが顔を出しやすい。福岡が2CBに2FWを当てたということは、向こうの設計は後ろの出し手を消すのが第一優先事項だった。相手のやりたい枠組みに付き合わず、3バックにしたことで相手も3トップで当たる形になる。前半のような斜め方向の守備の出足と、詰めに対するディレイがなくなり、高嶺も真っ直ぐ速く来る相手に対しての剥がしが圧倒的に楽になった。相手の出足が直線的になったことで、ボールにも角度が付けられるようになった。

福岡の中央の3センター状態がなくなると、浅野・和泉が覗きやすくなり、覗けない時は森島ー菊地が相手のセンターに対して縦関係でワイドから受ける角度を作りながら——というような形で後半を展開していくことになる。
試合雑感
- 健太さんの時からIH的な役回りがうまかった浅野。後半は良いボールの引き出し方をしていたのはもちろん、IHポジションから縦に抜け出すのは相変わらずのうまさだった。
- 前監督時代も今もPKは挙手制の中で、今まで手を挙げてこなかった杉浦がここで手を挙げたところは、本当に成長を感じるところだった。そのメンタルを持ってからがプロのスタートだ。
- 前半はほぼほぼ自分たちが丁寧にやっていないところからだった中で、福岡の北島の立ち位置がファジーで、名古屋的には苦労した。ポジションを外れてフリーマン的な立ち位置を取るのでマンツーマンが外れるきっかけだったりと、前半は北島のところから守備も崩されていった。
- ボールホルダーのキャリーでボールを晒す時間を作る森島、ボールを晒すことでホルダーのキャリーをサポートする菊地。ここの使い分けが光る試合になった。(高嶺から速くボールを引き出す意味合いもありそうだったが。)
最後に
PK勝利のため、400万円追加。第11節終了時点で、
今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く): 3600万円
次の勝利で4000万円台突入!


