セレッソ大阪戦・サンフレッチェ広島戦と負けましたね。 怪我人に代わって出た選手もよくやってくれましたが、やはり同じようにはいきません。 さらにVARで名古屋グランパスの得点が認められなかったり、相手の得点が認められたり。 モヤモヤするところもありました。
VARの介入条件は皆さんご存じだと思いますが、以下の4件のみです。
- 得点か、得点ではないか
- 得点前のオフサイド
- 攻撃側のファウル
- 攻撃側のハンド
- ボールが先に外へ出ていたか
- ボールがゴールラインを完全に越えたか
- PKか、PKではないか
- PKを与えるべき反則の見逃し
- PKが誤って与えられた場合
- 反則位置がペナルティーエリア内か外か
- PK前に攻撃側の反則があったか
- 退場か、退場ではないか
- 重大な反則行為
- 乱暴な行為
- 決定的得点機会阻止
- 暴言・侮辱的行為など ※通常、2枚目の警告による退場は対象外です。※北中米W杯では対象になります
- 人違い
- 警告・退場を出す相手を間違えた場合
北中米W杯では2枚目の警告以外に、明らかに誤ったCKについて「迅速に訂正が可能な場合のみ」介入可能となっている5項目めが追加されています。
押さえておきたいのは、VARは「最良の判定を探すため」のシステムではない、ということです。はっきりとした明白な間違いまたは見逃された重大な事象を正すための仕組みであって、IFABもJFAも、対象を得点・PK・退場・人違いに限定しています。(theifab.com)
そんなVARで主審がやる動きを、今回はまとめてみました。
VAR関連の主なジェスチャー
場面 | 主審のジェスチャー | 意味 |
|---|---|---|
VARがチェック中 | 片手を耳・イヤホン付近に当て、もう片方の手や腕を伸ばす | 「VARまたは他の審判員から情報を聞いている。再開を待て」 |
レビューに入る | 両手で空中に四角形を描く | いわゆる「TVシグナル」。レビューを行う、またはVARオンリーレビューで最終確認する合図 |
オンフィールドレビュー | TVシグナル後、ピッチ脇のモニターへ向かう | 主審自身が映像を見る。主観的判断が絡む場面で多い |
最終判定 | もう一度TVシグナルを出してから、通常の判定ジェスチャー | VAR確認後の正式な結論を示す |
前述の通り、IFABのVARプロトコルでは、VARが介入できるのは「得点かどうか」「PKかどうか」「一発退場かどうか」「人違い」のような重大事象に限られ、最終決定はVARではなく主審が下します。レビュー終了時には、主審がTVシグナルを示してから最終判定を伝える、という順番が決まっています。(IFAB)
得点取消のときに見える流れ
得点が入った後にVARが入る場合、観客からはだいたい次の順番で見えます。
- ゴール後、主審がイヤホンに手を当てる →「チェック中」です。まだ得点確定ではありません。
- 主審がTVシグナルを出す → レビューに入る、またはVARからの情報で判定を整理する段階です。
- 必要なら主審がモニターを見に行く → ハンド、ファウル、妨害など、主観的判断が絡むときに多いです。 オフサイドやボールアウトなど事実確認中心なら、モニターに行かずVARオンリーレビューで処理されることもあります。JFAも、事実に基づく判断は通常VARオンリーレビュー、主観的判断はOFRが適切と説明しています。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
- 主審が再びTVシグナルを出す →「VAR確認後の最終判定を出します」という合図です。
- 得点取消の理由に応じた通常ジェスチャーを出す → ここが一番大事です。実は「得点取消専用の公式ハンドサイン」があるというより、取消理由に対応した再開方法・反則のジェスチャーを示します。
得点取消時の見分け方
取消理由 | よく見る最終ジェスチャー | 観戦時の意味 |
|---|---|---|
オフサイド | 副審が旗を上げる/主審が間接FKの腕を上げることがある | 「得点前にオフサイドがあったのでノーゴール」 |
攻撃側のハンド | TVシグナル後、守備側ボールの直接FK方向を示す | 「得点前に攻撃側のハンドがあった」 |
攻撃側のファウル | 守備側のFK方向を指す | 「得点前に攻撃側の反則があった」 |
ボールが先に外へ出ていた | ゴールキック、スローイン、コーナー等の再開を示す | 「得点前にボールアウトがあった」 |
ゴールラインを完全に越えていない | ノーゴールとしてプレー再開を指示 | 「そもそも得点ではない」 |
得点取消の場面で見るべきポイントは、
「TVシグナル」 →「最終判定」 →「どちらのボールで、どこから再開するか」
この3点に絞られます。
ありがちな誤解
「主審が四角を描いた=得点取消」ではありません。TVシグナルはVARレビューに関する合図でしかなく、判定変更そのものを意味するわけではありません。レビュー後にゴールが認められることもあります。
また、選手や監督が主審に向かってTVシグナルを過度に示してレビューを要求する行為は警告の対象になります。VARは自動的にチェックする仕組みなので、選手・監督から「VARを見ろ」と要求するものではない、という整理です。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
サンフレッチェ広島の1点目のジェスチャーは?
主審は、2回目のTVシグナルのあと、手を中央から真横に広げ、セーフのシグナル、そのあとにゴールのシグナルをしました。
「得点を取り消す反則・オフサイド・ボールアウト等はありません」 「よってゴールを認めます」
という意味を観客・選手に見せるための補助的なジェスチャー、となります。
今回の動作を分解すると、こうなります。
動作 | 意味 |
|---|---|
2回目のTVシグナル | VAR確認が終わり、最終判定を出す合図 |
両手を中央から真横に広げる「セーフ」っぽい動作 | 「取消理由なし」「反則なし」「オフサイドなし」「ボールは出ていない」などを示す補助説明 |
ゴールのシグナル | 最終結論として「得点認定」 |
つまり、「セーフ」そのものが得点の公式シグナルというわけではなく、疑われていた取消要素を否定するための“見せる判定”だった、ということです。
特に得点後VARでは、観客側からすると「何を見ていたのか」が分かりにくい。だから主審はあえて大きめに、
- 「ノーファウル」
- 「ノーハンド」
- 「オンサイド」
- 「ボールアウトなし」
のようなニュアンスを身体で示してから、最後にゴールを認める。VARの最終決定はVARではなく主審が下すので、こうしたジェスチャーには判定を広報する、選手・観客に納得してもらう意味もあります。(IFAB)
VARプロトコルで明確に定められている流れは「TVシグナル → 最終判定の伝達」までです。プレミアリーグの説明でも、主審はレビュー中は耳に手を当て、完了時にTVシグナルを出し、その後に最終判定を伝える、と書かれています。(プレミアリーグ) 今回の「セーフ」はVAR専用の必須公式サインというよりも、最終判定を分かりやすく補強するための実務上のジェスチャーということになります。
端的にまとめると、
「VARで見たけど、取り消す理由はない。ゴールです」
を、 TVシグナル → セーフ → ゴール という順番で示した。これが今回の動作です。
セーフのシグナルと取消のシグナルの違いがよくわからないんですけど
これは自分も間違えそうになります。
両方とも「両腕を体の前でクロスする状態から始まる」という出発点を共有していて、そこから動きの方向だけが違う、という設計だからです。
開始姿勢 | 動きの方向 | |
|---|---|---|
ゴール取消 | 両腕をクロス | 複数回開いて閉じる(ナシナシの感じ)※一番上の画像のDisallowed Goal |
セーフ(反則なし) | 両腕をクロス | 真横に水平に開く(一回) |
野球の「アウト」と「セーフ」が明確に異なる動作(片腕を斜め上に挙げる vs 両腕を水平に開く)で区別されているのと比べると、サッカーのこの2つは出発姿勢が同じで、動きのベクトルが90度違うだけ。スタジアムで遠目に、しかも一瞬で見分けろというのはなかなか酷な話です。
実際に誤解が起きやすい要因
- テレビ中継でも、ちょうどそのタイミングでカメラが選手の喜びや落胆を映していて、シグナルそのものが見切れることがある
- 主審によって動作の振り幅やキレが違う。腕の開きが小さい主審だと、セーフなのか取消なのか判別しにくい
- 腕を「振り下ろす」のか「横に払う」のか、中間的な動きをする主審もいる
- スタジアム放送やDAZNの実況が判定を明言するまでにタイムラグがあり、その間スタジアムは集団的に困惑する
なんでそうなるの?
擁護側の論理を組み立てるなら、「反則なし→得点認める」という流れを2モーションで完結させる必要があり、「クロス→開く」のセーフは「(疑念を)払拭する」という意味で身振りとしての一貫性がある。「取消サイン」は「(得点を)却下する」という強い否定。両方ともクロスから始まるのは「VARで議題に上がっていた事象を一度ゼロベースに戻して提示する」というニュアンスの共有、と見ることもできます。
見分け方
主審の動作だけで判定しようとせず、その直後の動作を見るのが確実です。
- セーフの場合 → そのままセンターサークル方向を腕で指す(キックオフへ)
- ゴール取消の場合 → ファウルがあった地点を指したり、ハンドの動作を真似たり、オフサイドの動きをしたり、何らかの反則の説明動作に移る
「両腕の動き単体」ではなく「両腕の動き + その次の所作のセット」で読み解く。これだけで誤解の余地はぐっと減ります。
今回のように、
TVシグナル → セーフっぽい動作 → ゴールのシグナル
であれば、意味は、
「VARで確認したが、オフサイド・ハンド・ファウルなどの取消理由はない。よってゴール」
です。
ただ、見せ方としては分かりにくい。「セーフっぽい動作」が大きく見えると、観客はそこで一度「何の判定?」となりますし、逆に「ゴール取消のために何かを打ち消したのか」とも見えてしまいます。
分かりやすさだけで言えば、理想はこうです。
TVシグナル → 少し間を置く → はっきりセンター方向を指す/ゴール認定
実際、ゴール認定の際にセーフシグナルを挟まない審判もいます。むしろそのほうがスッと頭に入ります。
審判の動きもよく知って、変なストレスをためないようにしましょう。
